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29話 第一発見者になりまして
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次の日、ミキがアパートの前で待っていると、バイクの音を響かせ浅井が到着した。朝の五時半前である。
――ちょっとうるさいかな……。バイクだから仕方ないけど。
浅井は、バイクを降りるとヘルメットを取った。
「おはようございます」
「あ、うん。おはよう……」
ミキは、呆気に取られていた。
いつもとは違う雰囲気だったからである。
灰色のライダージャケットにジーンズ。グローブもはめていた。
背負っているリュックはいつもと違う物で、ブラックだった。
「はい。ヘルメット」
収納スペースからヘルメットを取り出すとミキに手渡した。
「ありがとう」
「それと、ジャケットとグローブ。ジャケットは着た方が暖かいですよ」
リュックから取り出したジャケットとグローブを手渡す。
「ほ、本格的ね……」
ミキはジャケットを着て、グローブを付ける。
「悪いんだけど、運転している間だけ、リュック背負ってもらっていいですか?」
「いいわよ」
受け取るとリュックを背負う。そして、ヘルメットをかぶった。
バイクに乗ると、浅井はゆっくりとバイクを発進させた。
三十分ほどで、佐藤宅に到着する。
浅井は、脇にバイクを止めると、ミキが被っていたヘルメットをしまい、リュックを受け取り背負う。
ミキは、玄関のベルを鳴らした。
しかし、返事がない。というより、気配がなかった。
「あれ? いない?」
「夜の六時だったって事、ないですよね?」
「普通ないでしょう? 急いでいたみたいだし……あ」
そう言いながら、ミキはドアを開けてみると、施錠されていなく開いた。
「鍵かかってないですね。近場に出かけたんでしょうか?」
「うーん。取りあえず、浅井さんは玄関にいてもらっていい? 私、中見て来る」
「え? 勝手に上がっていいんですか?」
「来る時間に在宅の気配がなく、鍵もかかってないのよ? 心配じゃない」
ミキは、驚く浅井にそう言い返すと、靴を脱ぎ家の中に入っていく。
「佐藤さん、若狭です……」
そう言いながら居間を覗き込むと、頭をこちらに向けうつ伏せに佐藤が倒れていた!
「佐藤さん! 大丈夫ですか!」
ミキは、佐藤に近づいた。
ふと見ると首に何かの跡が見える。
――まさか、首絞められたとか……。
「どうしました!」
ミキの声を聞き、浅井も家に上がり込んで来た。
「……あの、佐藤さん大丈夫なんですか?」
浅井が、倒れている佐藤を見て言った。
ミキは、佐藤の口元に手を当てるが呼吸をしている様子がない!
そっと、手首にふれるが慌てて手を離した。
「つ、冷たいわ。亡くなってる……」
「ど、ど、どうし……」
「警察に連絡するわ」
ミキは、鞄からスマホを取り出すと、一一〇番した。
電話を切り、ふと浅井を見るとリュックからカメラを出し、写真を撮り始めた。
「え? 何してるの?」
「現場の基本でしょう?」
「……そう。でも、警察に没収されると思うけど」
「心得てます!」
浅井はそう言うと、ミキが呆気に捕らわれている中、メモリーカードを入れ替えた。
「そういう事は、言われなくても出来るんだ」
「僕、そう習ったんですけど、違いました?」
浅井は、首を傾げながら、ミキに聞いた。
「パーフェクトよ! やればできるじゃない!」
「はい!」
ミキの褒め言葉に、浅井は嬉しそうに返事をした。
――ちょっとうるさいかな……。バイクだから仕方ないけど。
浅井は、バイクを降りるとヘルメットを取った。
「おはようございます」
「あ、うん。おはよう……」
ミキは、呆気に取られていた。
いつもとは違う雰囲気だったからである。
灰色のライダージャケットにジーンズ。グローブもはめていた。
背負っているリュックはいつもと違う物で、ブラックだった。
「はい。ヘルメット」
収納スペースからヘルメットを取り出すとミキに手渡した。
「ありがとう」
「それと、ジャケットとグローブ。ジャケットは着た方が暖かいですよ」
リュックから取り出したジャケットとグローブを手渡す。
「ほ、本格的ね……」
ミキはジャケットを着て、グローブを付ける。
「悪いんだけど、運転している間だけ、リュック背負ってもらっていいですか?」
「いいわよ」
受け取るとリュックを背負う。そして、ヘルメットをかぶった。
バイクに乗ると、浅井はゆっくりとバイクを発進させた。
三十分ほどで、佐藤宅に到着する。
浅井は、脇にバイクを止めると、ミキが被っていたヘルメットをしまい、リュックを受け取り背負う。
ミキは、玄関のベルを鳴らした。
しかし、返事がない。というより、気配がなかった。
「あれ? いない?」
「夜の六時だったって事、ないですよね?」
「普通ないでしょう? 急いでいたみたいだし……あ」
そう言いながら、ミキはドアを開けてみると、施錠されていなく開いた。
「鍵かかってないですね。近場に出かけたんでしょうか?」
「うーん。取りあえず、浅井さんは玄関にいてもらっていい? 私、中見て来る」
「え? 勝手に上がっていいんですか?」
「来る時間に在宅の気配がなく、鍵もかかってないのよ? 心配じゃない」
ミキは、驚く浅井にそう言い返すと、靴を脱ぎ家の中に入っていく。
「佐藤さん、若狭です……」
そう言いながら居間を覗き込むと、頭をこちらに向けうつ伏せに佐藤が倒れていた!
「佐藤さん! 大丈夫ですか!」
ミキは、佐藤に近づいた。
ふと見ると首に何かの跡が見える。
――まさか、首絞められたとか……。
「どうしました!」
ミキの声を聞き、浅井も家に上がり込んで来た。
「……あの、佐藤さん大丈夫なんですか?」
浅井が、倒れている佐藤を見て言った。
ミキは、佐藤の口元に手を当てるが呼吸をしている様子がない!
そっと、手首にふれるが慌てて手を離した。
「つ、冷たいわ。亡くなってる……」
「ど、ど、どうし……」
「警察に連絡するわ」
ミキは、鞄からスマホを取り出すと、一一〇番した。
電話を切り、ふと浅井を見るとリュックからカメラを出し、写真を撮り始めた。
「え? 何してるの?」
「現場の基本でしょう?」
「……そう。でも、警察に没収されると思うけど」
「心得てます!」
浅井はそう言うと、ミキが呆気に捕らわれている中、メモリーカードを入れ替えた。
「そういう事は、言われなくても出来るんだ」
「僕、そう習ったんですけど、違いました?」
浅井は、首を傾げながら、ミキに聞いた。
「パーフェクトよ! やればできるじゃない!」
「はい!」
ミキの褒め言葉に、浅井は嬉しそうに返事をした。
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