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16:初めてのお庭
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今日は完全回復祝いに庭でピクニックの日だ。嫁いでいた長女やその旦那さんのエイダン・トランドシル公爵までやってきての勢揃いピクニック。
「ローリー、しんどくなったらすぐに言うんだからね?」
「はーい!」
庭に向かうあいだホリナス兄さんに抱っこされていた。楽しみでウキウキだったため、自分で歩きたかったけれど、また前みたいにテンション上がって体調を崩したくないので、大人しく抱っこされている。
「わぁ…」
初めて玄関を通ったため、それだけでなんだか感動してしまった。
「そっか、ローリーは初めて外に出るんだもんな」
「ずっとお外に出られていなかったものね」
「ローリーってば、かわいそう」
「こらナナ!そんな言い方しないでちょうだい」
「だって!私はお庭でお昼寝が大好きなんだもん。それが出来ないなんて可哀想じゃん!」
「…まぁまぁ、どう?ローリー、初めてのお庭は」
姉さん達がわいわいとしている間に庭に着いて、ロリアナ姉さんが感想を求めてきた。
「すっごい!みろりで、かじぇが、きもちい!」
今世では初めての風に嬉しくて、思わず涙が滲んだ。風が気持ちいい。前世でも、こんなに風が気持ちいいと感じたことなどなかったと思う。
「あらあら、感動しちゃったのね」
「ローバリアスくんはかわいいな」
「そうでしょう?」
姉夫婦が微笑んでいる。
「ろーりー」
「ん?」
「ろーりーって、よんで、いいでしゅよ!えいらんおじしゃん」
「あぁ、じゃあ、ローリーと呼ばせてもらうよ」
どさくさに紛れて俺もエイダンおじさんと呼んでみると、叔父さんは優しく微笑んでそっと撫でてくれた。
「さぁローリー、こっちへおいで。父さんの膝の上に座っていいよ」
抱き上げるように父さんは俺を膝に座らせた。
「ローリー、何が食べたい?私が入れてあげる!」
もってきた食べ物の中からナルコーナ姉さんがいくつか選んでお皿に入れて渡してくれた。
「私はこれが好きなんだけど、ローリーにあげるね!食べてみて」
「ありがとう!」
姉さんからお皿を受け取ろうとすると、スッと父さんが受け取り、どれから食べる?なんて聞いてきた。
「じぶんれ、たべれ」
「ううん、父さんが食べさせたいんだよ。ほら、あーん」
「…じぶんで、たべ、たい、です」
1口大にカットされてピックのついたサンドイッチを食べさせようとする父さんに、噛まないようにゆっくり話して自分の意思を伝え拒む。流石に元気な時のあーんは恥ずかしい。
「お父様、ローリーは自分でするのが好きなのですよ。元気になったのだから、自分で食べさせてあげてください」
次女のアリシア姉さんが説得してくれた。父さんは納得したようでしょんぼりしてしまった。
「じゃあ、ローリー、これだけ、食べなてくれないかい?」
「…」
「これだけだよ。他に食べたいものがあったらそれに変えてもいい」
これだけと言われたため仕方なく差し向けられたサンドイッチをパクッとたべた。すると父さんは嬉しそうにして、次は何を食べる?と聞くようにお皿を見せてきた。後は自分で食べてもいいみたいだった。
「あら、あなただけずるいわ!私だって食べさせたいわ!ローリー、私にも一つだけ食べさせてくれないかしら?」
「……じぶんで…」
「でも、お父さんのは食べたでしょ?だからお母さんのも一つだけ、ね?お願い、ローリー」
「…」
母さんが1口大の焼き菓子を差し向けて言う。そんなことを言われては断れない。仕方がないのでパクッと食べた。
「ふふ、ありがとう、ローリー」
「父さんも母さんも、ずるいです。ローリー、お兄ちゃんのも食べてくれるかい?1回だけ」
「ロス!俺のも!」
「ローリー、私のも頼む。1回だ。」
「………」
こうなると思った。
「ローリー、しんどくなったらすぐに言うんだからね?」
「はーい!」
庭に向かうあいだホリナス兄さんに抱っこされていた。楽しみでウキウキだったため、自分で歩きたかったけれど、また前みたいにテンション上がって体調を崩したくないので、大人しく抱っこされている。
「わぁ…」
初めて玄関を通ったため、それだけでなんだか感動してしまった。
「そっか、ローリーは初めて外に出るんだもんな」
「ずっとお外に出られていなかったものね」
「ローリーってば、かわいそう」
「こらナナ!そんな言い方しないでちょうだい」
「だって!私はお庭でお昼寝が大好きなんだもん。それが出来ないなんて可哀想じゃん!」
「…まぁまぁ、どう?ローリー、初めてのお庭は」
姉さん達がわいわいとしている間に庭に着いて、ロリアナ姉さんが感想を求めてきた。
「すっごい!みろりで、かじぇが、きもちい!」
今世では初めての風に嬉しくて、思わず涙が滲んだ。風が気持ちいい。前世でも、こんなに風が気持ちいいと感じたことなどなかったと思う。
「あらあら、感動しちゃったのね」
「ローバリアスくんはかわいいな」
「そうでしょう?」
姉夫婦が微笑んでいる。
「ろーりー」
「ん?」
「ろーりーって、よんで、いいでしゅよ!えいらんおじしゃん」
「あぁ、じゃあ、ローリーと呼ばせてもらうよ」
どさくさに紛れて俺もエイダンおじさんと呼んでみると、叔父さんは優しく微笑んでそっと撫でてくれた。
「さぁローリー、こっちへおいで。父さんの膝の上に座っていいよ」
抱き上げるように父さんは俺を膝に座らせた。
「ローリー、何が食べたい?私が入れてあげる!」
もってきた食べ物の中からナルコーナ姉さんがいくつか選んでお皿に入れて渡してくれた。
「私はこれが好きなんだけど、ローリーにあげるね!食べてみて」
「ありがとう!」
姉さんからお皿を受け取ろうとすると、スッと父さんが受け取り、どれから食べる?なんて聞いてきた。
「じぶんれ、たべれ」
「ううん、父さんが食べさせたいんだよ。ほら、あーん」
「…じぶんで、たべ、たい、です」
1口大にカットされてピックのついたサンドイッチを食べさせようとする父さんに、噛まないようにゆっくり話して自分の意思を伝え拒む。流石に元気な時のあーんは恥ずかしい。
「お父様、ローリーは自分でするのが好きなのですよ。元気になったのだから、自分で食べさせてあげてください」
次女のアリシア姉さんが説得してくれた。父さんは納得したようでしょんぼりしてしまった。
「じゃあ、ローリー、これだけ、食べなてくれないかい?」
「…」
「これだけだよ。他に食べたいものがあったらそれに変えてもいい」
これだけと言われたため仕方なく差し向けられたサンドイッチをパクッとたべた。すると父さんは嬉しそうにして、次は何を食べる?と聞くようにお皿を見せてきた。後は自分で食べてもいいみたいだった。
「あら、あなただけずるいわ!私だって食べさせたいわ!ローリー、私にも一つだけ食べさせてくれないかしら?」
「……じぶんで…」
「でも、お父さんのは食べたでしょ?だからお母さんのも一つだけ、ね?お願い、ローリー」
「…」
母さんが1口大の焼き菓子を差し向けて言う。そんなことを言われては断れない。仕方がないのでパクッと食べた。
「ふふ、ありがとう、ローリー」
「父さんも母さんも、ずるいです。ローリー、お兄ちゃんのも食べてくれるかい?1回だけ」
「ロス!俺のも!」
「ローリー、私のも頼む。1回だ。」
「………」
こうなると思った。
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