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15.昔は気付かなかったきもち
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あれから半年が経ちました。
薬が効いても、完全に回復するのにはかなり時間がかかった。
俺の症状は主に、咳、頭痛、目眩、熱、身体の痛み、胸の痛みの計6個だ。
胸の痛みはどうやら体力が無くなると引き起こる仕組みのようで、その痛みや苦しみを抑える薬が、あの日投与された薬だった。そのため、咳や頭痛、熱に対しては別の薬が必要だった。しかしそれらの症状は以前からあったため薬が既にあり、効力を強くしたみたいだが特に新しく作ったということはないようだった。もともと病名が分からず手探りで治療をしているため、症状を抑えることしか出来ない。そのため回復には時間がかかった。なにせ一つの症状が起これば連鎖的にほかの症状にも繋がるからだ。
頭が痛いと思い始めれば強い眩暈を起こし、かと思えば眩暈のせいで吐くし、そうすれば噎せて咳が出る。すると呼吸が乱れてずっと咳をする。すると体力をなくし胸が痛くなる。薬を飲んで胸の痛みを抑える。そのまま眠る。体力が無くなり胸が痛くなったため熱が出る。するとあまりの熱に節々が痛くなる。節々からやがて全身へとなり、苦痛に呻く。呼吸が乱れ咳が出る。肺と喉がボロボロなので喀血する。体力がどんどんなくなり、胸が苦しくなる、薬を飲む、眠る、熱を出す、頭痛が起こり、目眩になる、吐く、噎せる………エンドレスだった。
それをどうやって回復させたかと言うと、ひたすら眠らされたのだ。
頭が痛くなるととにかく眠らせる魔法を使われた。そしたら絶対寝るのだ。そのうえで、キツめに調合し直した頭痛薬で頭痛を落ち着かせる。
熱が出るとまた眠らせる魔法を使われた。眠ってから熱を下げた。
咳は呼吸補助の魔道具マスクを装着しているので、単独ではあまり出なかった。ただ、肺も喉もボロボロだったため、呼吸や唾液が詰まってむせたりすると、連続で咳が出るのでそれでも眠らされた。
とにかく眠らされ続けた。
初めは薬の方が魔力を失わないためいいと言われたんだが、あまり強い薬を飲むと熱が出て引かなかったり、痙攣を起こしたりしてしまった為、魔法使いを部屋に待機させる形が採用された。
そんなこんなでひたすら症状が出る度に眠り少しずつ体力が戻り回復して行った。
だんだんと頭痛が起こらなくなり、熱もでずらくなっていった。そうすると肺も喉も回復していき、呼吸も楽になっていった。少しずつ良くなって行く様子に自分も家族も安心していった。
帰ってきていた長女も嫁ぎ先へ戻り、学生組も通い始めた。ずっと部屋にいた家族みんながいなくなっていく様子は寂しかったけれど、みんな用事が終わると部屋へ来てくれるため平気だった。なによりも、死にかけているような状態の時に皆が俺に会うことを優先してくれたことが嬉しかった。だから、それ以上、みんなの生活を邪魔しようなんて気持ちにはならなかった。
前世、父さんが倒れて運ばれる度に俺や祖父母が会いに行くと、喜んだけれど、すぐに申し訳なさそうな顔をしていた。なぜそんな顔をするのか分からなかった。何よりも優先して心配されているのに、嬉しい以外の感情を抱くのはよく分からなかった。迷惑をかけたくないとか言っていたけれど、迷惑とは思っていなかったため全然理解ができなかった。俺だったらずっと喜ぶのにって羨む気持ちからは深く考えられていなかった。だけど、今回のことでよくわかった。父さんがなぜ申し訳なさそうな顔をしていたのか、見舞いに行くと来なくていいと言うくせに、帰ろうとすると寂しそうな顔をしていたのかが。
薬が効いても、完全に回復するのにはかなり時間がかかった。
俺の症状は主に、咳、頭痛、目眩、熱、身体の痛み、胸の痛みの計6個だ。
胸の痛みはどうやら体力が無くなると引き起こる仕組みのようで、その痛みや苦しみを抑える薬が、あの日投与された薬だった。そのため、咳や頭痛、熱に対しては別の薬が必要だった。しかしそれらの症状は以前からあったため薬が既にあり、効力を強くしたみたいだが特に新しく作ったということはないようだった。もともと病名が分からず手探りで治療をしているため、症状を抑えることしか出来ない。そのため回復には時間がかかった。なにせ一つの症状が起これば連鎖的にほかの症状にも繋がるからだ。
頭が痛いと思い始めれば強い眩暈を起こし、かと思えば眩暈のせいで吐くし、そうすれば噎せて咳が出る。すると呼吸が乱れてずっと咳をする。すると体力をなくし胸が痛くなる。薬を飲んで胸の痛みを抑える。そのまま眠る。体力が無くなり胸が痛くなったため熱が出る。するとあまりの熱に節々が痛くなる。節々からやがて全身へとなり、苦痛に呻く。呼吸が乱れ咳が出る。肺と喉がボロボロなので喀血する。体力がどんどんなくなり、胸が苦しくなる、薬を飲む、眠る、熱を出す、頭痛が起こり、目眩になる、吐く、噎せる………エンドレスだった。
それをどうやって回復させたかと言うと、ひたすら眠らされたのだ。
頭が痛くなるととにかく眠らせる魔法を使われた。そしたら絶対寝るのだ。そのうえで、キツめに調合し直した頭痛薬で頭痛を落ち着かせる。
熱が出るとまた眠らせる魔法を使われた。眠ってから熱を下げた。
咳は呼吸補助の魔道具マスクを装着しているので、単独ではあまり出なかった。ただ、肺も喉もボロボロだったため、呼吸や唾液が詰まってむせたりすると、連続で咳が出るのでそれでも眠らされた。
とにかく眠らされ続けた。
初めは薬の方が魔力を失わないためいいと言われたんだが、あまり強い薬を飲むと熱が出て引かなかったり、痙攣を起こしたりしてしまった為、魔法使いを部屋に待機させる形が採用された。
そんなこんなでひたすら症状が出る度に眠り少しずつ体力が戻り回復して行った。
だんだんと頭痛が起こらなくなり、熱もでずらくなっていった。そうすると肺も喉も回復していき、呼吸も楽になっていった。少しずつ良くなって行く様子に自分も家族も安心していった。
帰ってきていた長女も嫁ぎ先へ戻り、学生組も通い始めた。ずっと部屋にいた家族みんながいなくなっていく様子は寂しかったけれど、みんな用事が終わると部屋へ来てくれるため平気だった。なによりも、死にかけているような状態の時に皆が俺に会うことを優先してくれたことが嬉しかった。だから、それ以上、みんなの生活を邪魔しようなんて気持ちにはならなかった。
前世、父さんが倒れて運ばれる度に俺や祖父母が会いに行くと、喜んだけれど、すぐに申し訳なさそうな顔をしていた。なぜそんな顔をするのか分からなかった。何よりも優先して心配されているのに、嬉しい以外の感情を抱くのはよく分からなかった。迷惑をかけたくないとか言っていたけれど、迷惑とは思っていなかったため全然理解ができなかった。俺だったらずっと喜ぶのにって羨む気持ちからは深く考えられていなかった。だけど、今回のことでよくわかった。父さんがなぜ申し訳なさそうな顔をしていたのか、見舞いに行くと来なくていいと言うくせに、帰ろうとすると寂しそうな顔をしていたのかが。
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