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9:ヘンリスの睡眠を妨げる視線

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「眠ったね…」
「父さん、ありがとう」
「ローリーが泣くなんて……」
「そうだね、しんどくて泣いてるのはたまに見かけたけれど、初めてじゃないかい?」
「そうですね…」

フドナスに抱えられ泣いているところを見た時は驚いた。本人もよく分かっていないようだったし、何より泣き慣れていないような感じがした。

父さんがあやして今は落ち着いて眠っているが、体力を使ったから、心配になる。

「どうやら外へ出たかったみたいだね。少々閉じ込めすぎたみたいだ」
「……」
「ヘンリス、心配なのはわかるけどね、そんなに見つめたら寝心地が悪くなってしまうよ」
「あ…すみません…」
「フドナス、ローリーは庭へ行きたがってたんだね?」
「はい。どこ行こうとしてんだって聞いたら、おにわって…それから、暇だったからだと思って、部屋に行って一緒に遊ぼうと言ったら、分かったって……だから部屋へ……」
「そうか。庭といえば、今の時間は、ティーナとナナがお茶をしているんじゃなかったかな」
「朝食の時にそう言ってましたね」
「場所はどこだろうね」
「あ…」

もしかしたら、ローリーの部屋から見える位置だったんじゃないだろうか。だから、庭に?
母さんは最近ナナが1人で寂しそうだからといってよく一緒に過ごしている。私やホナリスはローリーの苦しむ姿を見ていたから不安でそっちに意識が向きがちだったし、フドナスはあまり妹たちと絡もうとしない。嫌いでは無いみたいだが、話が分からないといっていた。アリシアは王宮に呼ばれがちで…母さんの心配もわかるし、任せていた。それをみて、羨んだのだとしたら、ローリーが泣くのも、わかる。1人だけ、部屋から出るなと言われてじっとしている所に、そんなのを見たら……泣きたくもなるかもしれない。

「そろそろ部屋から出ていいよと伝えた方がいいね…また庭まで1人で行くより、誰かと一緒に行った方が安心だ。」
「……ロスを寝かせてくる」
「あぁ、頼んだよ」
「……」
「ヘンリス」
「あ……」
「私たちは仕事に戻るよ」

ローリーをずっと見ていると父さんに注意をされてしまった。渋々見送り、仕事へ戻った。

「父さんだって、ローリーと過ごしたいけれど、仕事があるからね」
「はい…」 
「早く終わらせて、ローリーと話をしに行こうか」
「はい」

そしてまた盗賊の後処理におわれるのだった。


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