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第1章
Ⅲ,神様
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「今僕が呼んでみるよ、おぉぉい神様!」
まるで友達に声をかけるかのような勢いで、フレイは空に向かって叫んだ。
空は相変わらず満点の星々が広がっている。
雲ひとつない、晴天だ。
神からもこちらがよく見えることだろう。
「……」
「……」
「……あれぇ?」
しかし神はいつまで経っても姿を現さない。
じっっと星空を見つめるが、特に変化はない。
「あの方は忙しいのよ。そんなホイホイとこちらに来れないわよ」
「えぇ……ちょっと前は来てくれたのに」
「あれは私たちが星の涙を、いえこの話はやめ、ね」
フレイヤは自分の、その腰まで伸びた髪を撫でた。
彼女は青い髪をしている。
染めているのだろうか、青い地毛なんて少なくとも私は聞いたことがない。
綺麗なことに変わりはないが。
一方でフレイは金髪だ。
あれは地毛だろうか、外国の人?
そして2人とも、かなり整った顔立ちをしている。
羨ましいと、単純に思った。
とにかく、2人とも日本出身ではなさそうだ。
それでも言葉が通じているのは、今更ながらどういうことなのだろう。
「ねぇリン」
フレイヤが話しかけてきた。
「は、はい?」
「神様にあって、どうしたかったの?」
「えぇ?えっと……」
こんなこと言っていいのだろうか。
こんな、子供じみたこと、言っていいのだろうか。
ついさっきまで、直接本人に言う気満々だったのに、逆に聞かれると尻込みをしてしまった。
「言ってみてよ!ね?」
またフレイが両手を握ってきた。
顔を覗き込んで、私の目を直接みてくる。
顔が整っているせいもあるのか、ドキッとした。
でもそのドキッとは違う気がした。
今のはおそらくもっとこう、ネガティブな方のドキッだ。
「……」
所詮2人は、赤の他人だ。
話しても特に、問題はないだろう。
馬鹿にされたって、どうせ最後はさようならをするんだから、わからない。
何を言われてもいいと、思えた。
私は口を開いた。
「お、お願いしたかったんです。過去に、また中学生に戻してくださいって。そして、なんでいつまで叶えてくれないんだって文句を……っ、すいません」
握られた手を離した。
力を入れてしまった気がする。
フレイに申し訳なかった、痛くなかっただろうか。
顔を見ることができず、下を向いた。
波は穏やかなはずなのに、波の音がやたらとうるさく聞こえた。
夜風が、強く感じた。
2人が好きであろう神様に文句を言おうとしていたことを、どう思われただろう。
嫌な奴だと思われただろうか。
私が2人の立場だったら嫌だ。
好きな人の文句を聞かされるなんて。
「そっかぁ」
そう言ったのはフレイだった。
どんな顔を彼はしているのだろうか、怖くて私は顔を上げることができなかった。
本当は、嘘だ。
何を言われてもいいだなんて。
本当は怖い。
彼らの次の言葉が怖い。
でも言ってしまったことは消せない。
やっぱり、言わなきゃよかった。
またいつもみたいに後悔した。
あぁ、なんで私っていつも……
すると、
「よいしょ、なんだか疲れたわ」
フレイヤは砂浜に腰を下ろした。
「そういえば僕ら、ずっと立ちっぱなしだったね」
「座って話しましょう。砂のお城でも、作りながら」
そういうとフレイヤは私に笑いかけてくれた。
初めてフレイヤの表情が変わったところを見た。
下を向いていたから、座っているフレイヤには顔が丸見えだった。
私、どんな顔をしているのだろう。
「リンも、座りましょう」
手を引かれる。
「あ、はい」
私も座った。
「砂のお城、作る?」
フレイが笑顔でそう聞いてきた。
「作ったこと、ないです」
「なら作ろう!」
フレイが海の方から泥をかき集める。
一方でフレイヤは砂浜を掘って、窪みを作っている。
その隣にフレイが泥を置く。
「このままだとこの泥は使えない。少し水気を取らなきゃ」
「リンも、この泥と乾いてる砂、一緒に混ぜてくれる?」
「もちろんです」
袖を捲って、早速作業を始めた。
泥遊びなんて100年ぶりくらいだった。
そして意外と混ぜる作業が大変だった。
混ぜる、といってもただ混ぜるのではなく、内容はこうだ。
まず泥をギュッと握って海水をあらかじめ取る。
次に、海水を出した泥を窪みに入れ、そこから混ぜ始める。
これが結構水が飛んできて、服が汚れてしまった。
2人は相変わらず綺麗なままだ。
一体どうしてなの?
しばらくするとフレイが、
「もういいかも」
といって、窪みから泥を取り出した。
「ここからどうするんですか?」
「泥でお山を作るのよ。そこから削ったり掘ったりして、お城を作るの」
「へえ……」
大変そう、そう思った。
城が完成する前に崩さないかが心配だ。
「やろう!」
フレイとフレイヤが早速やり始めた。
私も真似してやり始める。
それはいいが、2人はさっき私が言ったことをなんとも思っていないのだろうか。
思っていないから何も言ってこないのだろう、それは頭ではわかっている。
しかし不安だった、怒っているのではないかと。
悲しんでいるのではないかと。
気がもめて仕方がなかった。
頭で考えていることと感情が、たまに真逆になってしまう。
それは困る、今の状況がまさにそうだった。
「……」
2人は楽しそうに作業を進めている。
何も思っていないのだろう。
でも、
「……フ、フレイヤと、フレイは、私がさっき言ったこと、怒ってますか?」
私は面倒くさい人間だから、気になって聞いてしまった。
2人は手を止めて、私を見てきた。
そして、フレイヤがこう聞いてきた。
「怒っているように見える?」
「……」
私は2人の目を見た。
フレイヤの青い目、フレイの茶色い目、しっかり見た。
そうして、考えて、こう答えた、
「わからないです。怒っていないように見えますが、気持ちは怒っているんじゃないか、って。さっきはごめんなさい。お2人が大切にしている神様に対して」
私は頭を下げて、謝った。
申し訳なかった。
やっぱりまた、私の悪い癖が出てしまった。
やってから気づく、やってから過ちに気づく。
やり始めた後の、先のことが考えるられない、私の悪い癖が。
「頭上げてリン」
「私たちは別に怒ってないわ」
フレイとフレイヤの声が聞こえて、私は頭を上げた。
フレイは私にこう聞いてきた。
「僕らが仮に怒っているとして、君にとってそれはそんなに重大な問題?」
「!はい。とても重大です。とても、申し訳ないことです」
「それはどうして?結局怒っているのは僕らであって、リンじゃないよ。リンには全く問題がないよ」
「どうしてって……」
私は答えた。
「怒らせてしまって申し訳ない気持ちでいっぱいで、何より神様のことを悪く言ってしまってお2人を傷つけてしまったんじゃないかと、すごく申し訳なくて。他人を傷つけるなんて、最低なことじゃないですか」
思った通りのことを言った。
頭の整理がついておらず上手く言えるか自信がなかったが、意外にも上手く言えた。
自分でも驚いた。
「リンは優しいのね」
「え、えぇ!?そんなこと全くないです……」
「優しいよリンは!」
2人とも私に笑いかけてくれた、なんて素敵な人たちなんだろう。
「ねぇリン。神様は、嫌い?」
「はっきり言ってくれちゃっていいよ」
私ははっきり言ってやった。
「嫌いです」
「本当にはっきり言ったね」
「うふふ、それでいいよの」
そしてフレイヤは続ける。
「それはどうしてかしら。やっぱり、あなたの願いを叶えてくれないから?」
「そうです。毎日祈っているのにちっとも叶えてくれない。叶うわけがないってわかっていますが、それでもこんなに祈っているのに。そろそろ叶えてくれてもいいじゃない」
「そう……」
私は本音を暴露してしまった。
こんなの、失礼以外の何者でもない。
「生き物は、自分にとって都合の良い存在が好きよ。これは全員そう、そしてあなたも。逆に都合の悪い存在は、嫌うの。邪魔で、役に立たないから。あなたにとって都合が悪い存在、それがたまたま神様だったのね」
フレイヤが私の背中を撫でてくれた。
私は鼻をすすって咳き込んでしまった。
「うぅん、難しい話は僕はできないけど」
フレイが頭をかきながら話す。
「神様はそんな、願いを叶える道具じゃないよ。もっと、こう、すごいんだ!いつもあの星のどれかから、見守ってくれてるんだ。僕だったらそんなことできない、そんなの途中で放り出しちゃうよ」
フレイは苦笑いをした。
私も、つられて笑った。
「そう、笑って」
「泣くことないわ、リン」
私の顔はもう、涙でぐちゃぐちゃだった。
どうしてだろう、何でこんなに泣いているんだろう。
「僕もわかるよ。上手くことが運ばないと嫌になるよね」
「ずっと、溜め込んでいたのね」
歳下に宥められて、情けないと思った。
でも、それと同じくらい安堵の気持ちも湧いていた。
やっと誰かに話せて、理解してもらえて、それが全部溢れてしまった。
まるで友達に声をかけるかのような勢いで、フレイは空に向かって叫んだ。
空は相変わらず満点の星々が広がっている。
雲ひとつない、晴天だ。
神からもこちらがよく見えることだろう。
「……」
「……」
「……あれぇ?」
しかし神はいつまで経っても姿を現さない。
じっっと星空を見つめるが、特に変化はない。
「あの方は忙しいのよ。そんなホイホイとこちらに来れないわよ」
「えぇ……ちょっと前は来てくれたのに」
「あれは私たちが星の涙を、いえこの話はやめ、ね」
フレイヤは自分の、その腰まで伸びた髪を撫でた。
彼女は青い髪をしている。
染めているのだろうか、青い地毛なんて少なくとも私は聞いたことがない。
綺麗なことに変わりはないが。
一方でフレイは金髪だ。
あれは地毛だろうか、外国の人?
そして2人とも、かなり整った顔立ちをしている。
羨ましいと、単純に思った。
とにかく、2人とも日本出身ではなさそうだ。
それでも言葉が通じているのは、今更ながらどういうことなのだろう。
「ねぇリン」
フレイヤが話しかけてきた。
「は、はい?」
「神様にあって、どうしたかったの?」
「えぇ?えっと……」
こんなこと言っていいのだろうか。
こんな、子供じみたこと、言っていいのだろうか。
ついさっきまで、直接本人に言う気満々だったのに、逆に聞かれると尻込みをしてしまった。
「言ってみてよ!ね?」
またフレイが両手を握ってきた。
顔を覗き込んで、私の目を直接みてくる。
顔が整っているせいもあるのか、ドキッとした。
でもそのドキッとは違う気がした。
今のはおそらくもっとこう、ネガティブな方のドキッだ。
「……」
所詮2人は、赤の他人だ。
話しても特に、問題はないだろう。
馬鹿にされたって、どうせ最後はさようならをするんだから、わからない。
何を言われてもいいと、思えた。
私は口を開いた。
「お、お願いしたかったんです。過去に、また中学生に戻してくださいって。そして、なんでいつまで叶えてくれないんだって文句を……っ、すいません」
握られた手を離した。
力を入れてしまった気がする。
フレイに申し訳なかった、痛くなかっただろうか。
顔を見ることができず、下を向いた。
波は穏やかなはずなのに、波の音がやたらとうるさく聞こえた。
夜風が、強く感じた。
2人が好きであろう神様に文句を言おうとしていたことを、どう思われただろう。
嫌な奴だと思われただろうか。
私が2人の立場だったら嫌だ。
好きな人の文句を聞かされるなんて。
「そっかぁ」
そう言ったのはフレイだった。
どんな顔を彼はしているのだろうか、怖くて私は顔を上げることができなかった。
本当は、嘘だ。
何を言われてもいいだなんて。
本当は怖い。
彼らの次の言葉が怖い。
でも言ってしまったことは消せない。
やっぱり、言わなきゃよかった。
またいつもみたいに後悔した。
あぁ、なんで私っていつも……
すると、
「よいしょ、なんだか疲れたわ」
フレイヤは砂浜に腰を下ろした。
「そういえば僕ら、ずっと立ちっぱなしだったね」
「座って話しましょう。砂のお城でも、作りながら」
そういうとフレイヤは私に笑いかけてくれた。
初めてフレイヤの表情が変わったところを見た。
下を向いていたから、座っているフレイヤには顔が丸見えだった。
私、どんな顔をしているのだろう。
「リンも、座りましょう」
手を引かれる。
「あ、はい」
私も座った。
「砂のお城、作る?」
フレイが笑顔でそう聞いてきた。
「作ったこと、ないです」
「なら作ろう!」
フレイが海の方から泥をかき集める。
一方でフレイヤは砂浜を掘って、窪みを作っている。
その隣にフレイが泥を置く。
「このままだとこの泥は使えない。少し水気を取らなきゃ」
「リンも、この泥と乾いてる砂、一緒に混ぜてくれる?」
「もちろんです」
袖を捲って、早速作業を始めた。
泥遊びなんて100年ぶりくらいだった。
そして意外と混ぜる作業が大変だった。
混ぜる、といってもただ混ぜるのではなく、内容はこうだ。
まず泥をギュッと握って海水をあらかじめ取る。
次に、海水を出した泥を窪みに入れ、そこから混ぜ始める。
これが結構水が飛んできて、服が汚れてしまった。
2人は相変わらず綺麗なままだ。
一体どうしてなの?
しばらくするとフレイが、
「もういいかも」
といって、窪みから泥を取り出した。
「ここからどうするんですか?」
「泥でお山を作るのよ。そこから削ったり掘ったりして、お城を作るの」
「へえ……」
大変そう、そう思った。
城が完成する前に崩さないかが心配だ。
「やろう!」
フレイとフレイヤが早速やり始めた。
私も真似してやり始める。
それはいいが、2人はさっき私が言ったことをなんとも思っていないのだろうか。
思っていないから何も言ってこないのだろう、それは頭ではわかっている。
しかし不安だった、怒っているのではないかと。
悲しんでいるのではないかと。
気がもめて仕方がなかった。
頭で考えていることと感情が、たまに真逆になってしまう。
それは困る、今の状況がまさにそうだった。
「……」
2人は楽しそうに作業を進めている。
何も思っていないのだろう。
でも、
「……フ、フレイヤと、フレイは、私がさっき言ったこと、怒ってますか?」
私は面倒くさい人間だから、気になって聞いてしまった。
2人は手を止めて、私を見てきた。
そして、フレイヤがこう聞いてきた。
「怒っているように見える?」
「……」
私は2人の目を見た。
フレイヤの青い目、フレイの茶色い目、しっかり見た。
そうして、考えて、こう答えた、
「わからないです。怒っていないように見えますが、気持ちは怒っているんじゃないか、って。さっきはごめんなさい。お2人が大切にしている神様に対して」
私は頭を下げて、謝った。
申し訳なかった。
やっぱりまた、私の悪い癖が出てしまった。
やってから気づく、やってから過ちに気づく。
やり始めた後の、先のことが考えるられない、私の悪い癖が。
「頭上げてリン」
「私たちは別に怒ってないわ」
フレイとフレイヤの声が聞こえて、私は頭を上げた。
フレイは私にこう聞いてきた。
「僕らが仮に怒っているとして、君にとってそれはそんなに重大な問題?」
「!はい。とても重大です。とても、申し訳ないことです」
「それはどうして?結局怒っているのは僕らであって、リンじゃないよ。リンには全く問題がないよ」
「どうしてって……」
私は答えた。
「怒らせてしまって申し訳ない気持ちでいっぱいで、何より神様のことを悪く言ってしまってお2人を傷つけてしまったんじゃないかと、すごく申し訳なくて。他人を傷つけるなんて、最低なことじゃないですか」
思った通りのことを言った。
頭の整理がついておらず上手く言えるか自信がなかったが、意外にも上手く言えた。
自分でも驚いた。
「リンは優しいのね」
「え、えぇ!?そんなこと全くないです……」
「優しいよリンは!」
2人とも私に笑いかけてくれた、なんて素敵な人たちなんだろう。
「ねぇリン。神様は、嫌い?」
「はっきり言ってくれちゃっていいよ」
私ははっきり言ってやった。
「嫌いです」
「本当にはっきり言ったね」
「うふふ、それでいいよの」
そしてフレイヤは続ける。
「それはどうしてかしら。やっぱり、あなたの願いを叶えてくれないから?」
「そうです。毎日祈っているのにちっとも叶えてくれない。叶うわけがないってわかっていますが、それでもこんなに祈っているのに。そろそろ叶えてくれてもいいじゃない」
「そう……」
私は本音を暴露してしまった。
こんなの、失礼以外の何者でもない。
「生き物は、自分にとって都合の良い存在が好きよ。これは全員そう、そしてあなたも。逆に都合の悪い存在は、嫌うの。邪魔で、役に立たないから。あなたにとって都合が悪い存在、それがたまたま神様だったのね」
フレイヤが私の背中を撫でてくれた。
私は鼻をすすって咳き込んでしまった。
「うぅん、難しい話は僕はできないけど」
フレイが頭をかきながら話す。
「神様はそんな、願いを叶える道具じゃないよ。もっと、こう、すごいんだ!いつもあの星のどれかから、見守ってくれてるんだ。僕だったらそんなことできない、そんなの途中で放り出しちゃうよ」
フレイは苦笑いをした。
私も、つられて笑った。
「そう、笑って」
「泣くことないわ、リン」
私の顔はもう、涙でぐちゃぐちゃだった。
どうしてだろう、何でこんなに泣いているんだろう。
「僕もわかるよ。上手くことが運ばないと嫌になるよね」
「ずっと、溜め込んでいたのね」
歳下に宥められて、情けないと思った。
でも、それと同じくらい安堵の気持ちも湧いていた。
やっと誰かに話せて、理解してもらえて、それが全部溢れてしまった。
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