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第五話 力の秘密
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カナは今日の天気を確認する。晴れ渡っていて眩しいくらいの太陽だった。
ライルの喫茶店に行く気にはなれない、しかし携帯が鳴っている嫌な予感がするメールだったが、一応返信で聞いてみる。内容は
【おはようー、ちょっとミーティングしたいから、喫茶店にきてねー】
「拒否権は?」
【ないよー】
内容と返答によって大きなため息が出る。拒否権がない時は何時だって奇妙なことがメインで話が進むだろう。タンクトップからワイシャツを着てスカートを履いて、鍵もせずに家をのんびりと出ていくと、太陽がジリジリと彼女の皮膚を焼き付けるようなくらいの温度だと判る。
ーめんどくさい、ユウの力があれば楽なんだろうけど・・
喫茶店に居るメンバーの能力は把握している、逆にカナの力を知っている者は居ない。不公平だと言われるが、自分自身でも判らないくらいの力が、いくつかあるが声帯以外は無事なので自らの口からは言えない。
ライルも不思議に思っているだろうが聞かれないので無視をする、判っている力は〈透明化〉〈意識の糸〉〈青い炎〉その他にもあるが、今現在の状態で使うのはこの三つだけなので言う必要はない。青い炎については、まだ使ったことがないこともあり、実験台が必要と感じているが知り合いを実験台にするとどうなるか判らないのでしていないだけで、カナの中でくすぐっている。
喫茶店に着くとガイも居たが、真剣な面持ちで珍しく笑っていない。カナにとっては関係ないことだが珍しいとは思った。その次にユウがハヤトを連れてきた。店の前で三人、いや四人が集まることは珍しい。
中から真剣な面持ちで現れたのはライルだった。
昨日見たライルの表情とは一変して、真面目な顔をするときは、いつだってややこしい依頼が来る時だ。
「皆来たね。中に入って」
薄暗い店内に入ると蝋燭だけが灯っており、不思議そうにガイが質問する。
「今回の依頼、三人でってことだよな?」
「さん・・にん?」
ユウが聞くと、ライルは不思議そうに首を傾げながらライルを見つめる。もちろんハヤトは意味を分かっていない。カナにとっては苦手な依頼だ、力を隠しつつの依頼となると制限が出来てしまう。見られないように単独行動をするために、わざと一人になるために二人を撒かなければならない。
「今回はでかいぞ、王族の副官になるが俺の調べでは、そいつも力を持っているが力を利用して王族のボディーガードとして王権を自由にしているらしいが、影で王族の妃に取り入っているという話だ。あと・・・」
チラリとカナを見るが、カナは視線に気づくと別段気にしていないようだった。カナの記憶は見たが彼女が、どう感じ取っていたのかは分からないし、教えてくれない。それでもこの手の仕事でもやってのける辺りは普段の彼女と同じようなものだったが・・・
「お姉ちゃんだ!」
「・・・」
ユウを引っ張ってカナの手を繋ぐハヤトは嬉しそうに笑っていた。カナはユウを見るとユウもまた無表情のままで、ハヤトの好きにさせている。しかしだ、その三人を見ていたガイとライルがハヤトからカナの手を離すことをした。ハヤトはキョトンとして二人を見つめると、ユウがハヤトの頭を撫でた。
「・・いや・・その・・・はぁ・・・」
「カナは俺のだ!それをまるで親子のようにしやがって!」
ライルは判らないが、ガイの方は嫉妬のようだった。カナとユウは呆れてため息をつくとカナもハヤトの頭を撫でた。そこでライルは「やっぱり」と思った。カナの記憶の中にハヤトが居たことに、記憶を覗いたとき昨日までの記憶と力を確認するために頭を覗いたはずなのだが、ハヤトの記憶が消えていた。
「・・・カナは少し奥に来い。三人は適当に店のもの飲み食いしてくれ」
「肉はあるか!」
「適当に買ってあるから」
そう言ってカナは不本意だがライルの後ろについていき奥の部屋に入っていった。ユウは本を開きハヤトはユウの膝の上でゴロゴロと転がっていたが、ガイがちょっかいを掛けてきた。
「おう、名前はなんて言うんだ?俺はガイだ!!」
「・・・ハヤト!お兄さん大きな声だね!」
まるで競うようにハヤトも大声で返すと、ガイはハヤトの頭をグリグリと力加減なく撫でるとユウがそれを止めた。ハヤトの首がガイの力加減に負けてしまいそうだったからだ。ハヤトも目を回している状態を見てガイは、自分の力加減を忘れていたようで、慌てて謝った。
「すまん!ハヤト!生きてるか!!?」
「う・・るさ・・い」
「んー目がぐるぐるするー、首もいたーい」
ユウは持っていた本でガイの頭を力いっぱいに殴るが、ガイにとってはかすり傷にもならない。ハヤトはすごい音がしたけれど大丈夫なのかな?と思ったぐらいで、すぐさまユウの膝の上に頭を乗せて、ユウの白く長い髪を触って遊び始めた。
その頃、奥の部屋の手前の部屋になるが、監視カメラと防音録音とされる部屋がある。ライルはそこにカナと入った。
カナはその部屋が何の部屋か判らないままに入っていくと、すぐさま監視カメラと録音機があると感じた。
二つある椅子と、話し合いの合間に飲むように冷蔵庫まである部屋だったが、尋問室そのままだろうと思いながら椅子に座ると、ライルはコーヒーをとり出しカナと自分の前に置く。
「カナ、俺に言ってないことがあるだろう?」
カナは筆記でペラペラと書き始める、だがライルが逆に問われた。
『あんたこそ力があるし、それも二つ以上、判っているのは記憶を盗み見?それだけじゃない』
ライルは頭を仰ぎながら天井を見上げる、天井には豆電球ほどの光しかないが、窓からの明かりで十分に明るいのだが、カナの力を聞きたければ自分の力も言わなければならないというしかなのかと思う。
しかしライルには言えないのだ。カナと睨めっこの続きとして視線を落とし、カナの目を見るとカナは殺気立ているのが判った。答えなきゃ殺す。と感じるくらいだったが、ライルは目を閉じて
「お前の力は、〈意識の糸〉だった。代わりに声帯がないよな?だが俺はどこも失っていない。答えはそれだ」
『納得が行かない』
そうだろうとライルは思ったが、お手上げとばかりに両手を上げるがカナにとっては馬鹿にされているようにも感じたのか、隠し持っていたサバイバルナイフで首を狙ったはずが、ピッタリとライルの手によって止められた。思い切り振り降ろしたはずだが、腕力だけの問題ではないはずだとカナはナイフをゆっくりと戻した。
「俺には力はないと言えばウソになるが、お前も何か隠しているだろう?例えば・・・そうだな。自由に力を入れ変えれる、または力の性質を変えられる」
今度はカナが天井を仰ぐ、だが決定打ではない。ライルが追撃するように指をコツコツと鳴らしながら続ける言葉は、カナを驚かせた。
「例えば、下街で捨てられそうになった力を持つ子供を庇って、力を自分の中に取り込む・・・とか?」
カナはハンと鼻で笑い、一枚の紙を出した。既に筆記として書いたものなのか、いつ聞かれても良いように用意されていたのか判らない、彼女のメモを見るとライルは言葉を失った。
『あんたには関係ないし、他人なんてどうでも良い』
カナは冷たい表情のままライルを見据えると、ライルも頭をガシガシと乱暴に掻きながら、行き場のない考えにカナをこれ以上、問い詰めても無駄だと思った。カナにとっては自分もガイもユウもハヤトの事も、どうでも良いという考えなのかと思うが、昔の彼女を知っているライルにとっては嘘だと思う。
しかし自分の所為で彼女が変わってしまっていたら?と考えると、本当にどう聞けば良いのか判らない。
「OK,お互いに触れないようにしよう。けど俺は、お前の味方だ。これは変わらない、お前がどうかなりそうな時は必ず駆けつける」
カナは呆れた顔で立ち上がり、部屋を出ていった。残されたライルは机に突っ伏した。妹のように可愛がっていたのに、どうして捻くれた答えしか出さないのだろうか?なんて笑えて来たくらい自分が情けなかった。
ライルの喫茶店に行く気にはなれない、しかし携帯が鳴っている嫌な予感がするメールだったが、一応返信で聞いてみる。内容は
【おはようー、ちょっとミーティングしたいから、喫茶店にきてねー】
「拒否権は?」
【ないよー】
内容と返答によって大きなため息が出る。拒否権がない時は何時だって奇妙なことがメインで話が進むだろう。タンクトップからワイシャツを着てスカートを履いて、鍵もせずに家をのんびりと出ていくと、太陽がジリジリと彼女の皮膚を焼き付けるようなくらいの温度だと判る。
ーめんどくさい、ユウの力があれば楽なんだろうけど・・
喫茶店に居るメンバーの能力は把握している、逆にカナの力を知っている者は居ない。不公平だと言われるが、自分自身でも判らないくらいの力が、いくつかあるが声帯以外は無事なので自らの口からは言えない。
ライルも不思議に思っているだろうが聞かれないので無視をする、判っている力は〈透明化〉〈意識の糸〉〈青い炎〉その他にもあるが、今現在の状態で使うのはこの三つだけなので言う必要はない。青い炎については、まだ使ったことがないこともあり、実験台が必要と感じているが知り合いを実験台にするとどうなるか判らないのでしていないだけで、カナの中でくすぐっている。
喫茶店に着くとガイも居たが、真剣な面持ちで珍しく笑っていない。カナにとっては関係ないことだが珍しいとは思った。その次にユウがハヤトを連れてきた。店の前で三人、いや四人が集まることは珍しい。
中から真剣な面持ちで現れたのはライルだった。
昨日見たライルの表情とは一変して、真面目な顔をするときは、いつだってややこしい依頼が来る時だ。
「皆来たね。中に入って」
薄暗い店内に入ると蝋燭だけが灯っており、不思議そうにガイが質問する。
「今回の依頼、三人でってことだよな?」
「さん・・にん?」
ユウが聞くと、ライルは不思議そうに首を傾げながらライルを見つめる。もちろんハヤトは意味を分かっていない。カナにとっては苦手な依頼だ、力を隠しつつの依頼となると制限が出来てしまう。見られないように単独行動をするために、わざと一人になるために二人を撒かなければならない。
「今回はでかいぞ、王族の副官になるが俺の調べでは、そいつも力を持っているが力を利用して王族のボディーガードとして王権を自由にしているらしいが、影で王族の妃に取り入っているという話だ。あと・・・」
チラリとカナを見るが、カナは視線に気づくと別段気にしていないようだった。カナの記憶は見たが彼女が、どう感じ取っていたのかは分からないし、教えてくれない。それでもこの手の仕事でもやってのける辺りは普段の彼女と同じようなものだったが・・・
「お姉ちゃんだ!」
「・・・」
ユウを引っ張ってカナの手を繋ぐハヤトは嬉しそうに笑っていた。カナはユウを見るとユウもまた無表情のままで、ハヤトの好きにさせている。しかしだ、その三人を見ていたガイとライルがハヤトからカナの手を離すことをした。ハヤトはキョトンとして二人を見つめると、ユウがハヤトの頭を撫でた。
「・・いや・・その・・・はぁ・・・」
「カナは俺のだ!それをまるで親子のようにしやがって!」
ライルは判らないが、ガイの方は嫉妬のようだった。カナとユウは呆れてため息をつくとカナもハヤトの頭を撫でた。そこでライルは「やっぱり」と思った。カナの記憶の中にハヤトが居たことに、記憶を覗いたとき昨日までの記憶と力を確認するために頭を覗いたはずなのだが、ハヤトの記憶が消えていた。
「・・・カナは少し奥に来い。三人は適当に店のもの飲み食いしてくれ」
「肉はあるか!」
「適当に買ってあるから」
そう言ってカナは不本意だがライルの後ろについていき奥の部屋に入っていった。ユウは本を開きハヤトはユウの膝の上でゴロゴロと転がっていたが、ガイがちょっかいを掛けてきた。
「おう、名前はなんて言うんだ?俺はガイだ!!」
「・・・ハヤト!お兄さん大きな声だね!」
まるで競うようにハヤトも大声で返すと、ガイはハヤトの頭をグリグリと力加減なく撫でるとユウがそれを止めた。ハヤトの首がガイの力加減に負けてしまいそうだったからだ。ハヤトも目を回している状態を見てガイは、自分の力加減を忘れていたようで、慌てて謝った。
「すまん!ハヤト!生きてるか!!?」
「う・・るさ・・い」
「んー目がぐるぐるするー、首もいたーい」
ユウは持っていた本でガイの頭を力いっぱいに殴るが、ガイにとってはかすり傷にもならない。ハヤトはすごい音がしたけれど大丈夫なのかな?と思ったぐらいで、すぐさまユウの膝の上に頭を乗せて、ユウの白く長い髪を触って遊び始めた。
その頃、奥の部屋の手前の部屋になるが、監視カメラと防音録音とされる部屋がある。ライルはそこにカナと入った。
カナはその部屋が何の部屋か判らないままに入っていくと、すぐさま監視カメラと録音機があると感じた。
二つある椅子と、話し合いの合間に飲むように冷蔵庫まである部屋だったが、尋問室そのままだろうと思いながら椅子に座ると、ライルはコーヒーをとり出しカナと自分の前に置く。
「カナ、俺に言ってないことがあるだろう?」
カナは筆記でペラペラと書き始める、だがライルが逆に問われた。
『あんたこそ力があるし、それも二つ以上、判っているのは記憶を盗み見?それだけじゃない』
ライルは頭を仰ぎながら天井を見上げる、天井には豆電球ほどの光しかないが、窓からの明かりで十分に明るいのだが、カナの力を聞きたければ自分の力も言わなければならないというしかなのかと思う。
しかしライルには言えないのだ。カナと睨めっこの続きとして視線を落とし、カナの目を見るとカナは殺気立ているのが判った。答えなきゃ殺す。と感じるくらいだったが、ライルは目を閉じて
「お前の力は、〈意識の糸〉だった。代わりに声帯がないよな?だが俺はどこも失っていない。答えはそれだ」
『納得が行かない』
そうだろうとライルは思ったが、お手上げとばかりに両手を上げるがカナにとっては馬鹿にされているようにも感じたのか、隠し持っていたサバイバルナイフで首を狙ったはずが、ピッタリとライルの手によって止められた。思い切り振り降ろしたはずだが、腕力だけの問題ではないはずだとカナはナイフをゆっくりと戻した。
「俺には力はないと言えばウソになるが、お前も何か隠しているだろう?例えば・・・そうだな。自由に力を入れ変えれる、または力の性質を変えられる」
今度はカナが天井を仰ぐ、だが決定打ではない。ライルが追撃するように指をコツコツと鳴らしながら続ける言葉は、カナを驚かせた。
「例えば、下街で捨てられそうになった力を持つ子供を庇って、力を自分の中に取り込む・・・とか?」
カナはハンと鼻で笑い、一枚の紙を出した。既に筆記として書いたものなのか、いつ聞かれても良いように用意されていたのか判らない、彼女のメモを見るとライルは言葉を失った。
『あんたには関係ないし、他人なんてどうでも良い』
カナは冷たい表情のままライルを見据えると、ライルも頭をガシガシと乱暴に掻きながら、行き場のない考えにカナをこれ以上、問い詰めても無駄だと思った。カナにとっては自分もガイもユウもハヤトの事も、どうでも良いという考えなのかと思うが、昔の彼女を知っているライルにとっては嘘だと思う。
しかし自分の所為で彼女が変わってしまっていたら?と考えると、本当にどう聞けば良いのか判らない。
「OK,お互いに触れないようにしよう。けど俺は、お前の味方だ。これは変わらない、お前がどうかなりそうな時は必ず駆けつける」
カナは呆れた顔で立ち上がり、部屋を出ていった。残されたライルは机に突っ伏した。妹のように可愛がっていたのに、どうして捻くれた答えしか出さないのだろうか?なんて笑えて来たくらい自分が情けなかった。
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