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第二十二話 

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耳がキーンと耳鳴りの様に鼓膜に響いていた。激痛により鼓膜まで破壊されたかもしれないが、この男は危険だと思い、起き上がり武を守る様に立ち上がる。
 目の前の男は、武の番の双子で間違いない。それでも一卵性双生児で性格が聞いたものと違いすぎる。普通ならば同じように性格まで似るはずだ。

 「加納さん逃げるよ!!」

手を引いて武は走り出したが、逃がすまいと雷も走り出すが加納も途中で逃げることに専念しスピードを上げて、今度は武を引っ張る形になり、施設へ逃げ込む形で駆け込んだ。もちろん即カードでしか入れないようにする。
 
 「大丈夫?」

 「加納さんこそ・・・ごめんなさい・・・。まさか雷が来るなんて思ってもなかった・・・」



奥から数名の足音が聞こえ、加納と武はへばったように座り込んだ。そして数名の足音の正体は陣たちだった。加納の頬を見て驚いた陣だったが慌てて冷えたタオルと検査を迅速に行われ、鼓膜は無事、しかし頬骨にヒビが入っているとのことだった。

 「何があったんだ?」

 「・・・雷が来たんだ」

情報で入っていた蓮の双子の弟だったが、一卵性双生児の情報だけで加納がここまで負傷するのはおかしい。
 施設のカメラに一人の男が写されたと内線が入り陣と後の四人も付いていった。そこには扉をガンガン蹴飛ばす青年の姿。武の話とは話が違う性格の持ち主にしか見えない。

 「俺が話をつけてくる。圭太、お前は中に入られたときに相手しろよ」

 「え~、兄さんがまけるわけないじゃない?」

 「見る限りじゃぁ気性が激しい、ホルモンのバランスが崩れて、双子の兄が死んだことで別の状態になってるかもしれん」

別の状態って何?
 その場にいた皆が思ったが、武だけが少しだけ理解した。昔の雷も優しかったし、蓮と一緒に遊んでいたこともある。それが蓮が死んでから別人のようになってしまった。

 「もぉ~、わかったわよ~、たかちゃんも居るしねぇ。物騒な人にはお仕置きよね!」

 「お前がお仕置きとか言うと妙なことに聞こえる・・・」

 「うふふ、いつまでも振り向かないたかちゃんにもお仕置きしてあげましょうか?」

 「半径五十メートルに入らないでください」

 「あん、いけず~」

そんな馬鹿なやりとりをしている内に陣は、施設の外の扉を開けて雷と向き合った。既にイライラしているのか

 「武を出せやぁ!!あれは俺のもんだ!!」

 「君のものではない、正確には君の兄の番だ」

 「兄貴は死んだ!!だから俺と番になるべきなんだよ!!」

それは可能性はあるが、今の彼には任せられないのは確かだ。それに話が通じないかもしれないが切り出すしかない。

 「じゃぁ君の検査をしても良いか?話を聞く限り、こちらでも調査をした限り、君は一卵性双生児とは思えないほどにお兄さんには似てない。双子とも思えないくらいの気性の激しさだ」

 「あ”!!?んなもん関係ねぇだろうが!!」

 「話にならんな・・・。失礼するよ」

陣は雷に近づこうとするが、雷は陣を掴みかかるが陣は合気道の真似で力任せな雷の掴みかかりを投げ飛ばした。そして倒れた時に、注射器を取り出し首に打ち込んだ。雷は起き上がり注射された場所を確認すると、視界がぼやけ妙な睡魔が入り倒れてしまった。
 陣は無線で中に居る職員に連絡し担架で雷を拘束しながら中に入れた。
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