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「主任、これは、一体どういうことなんでしょうか」
若杉刑事が、矢口に尋ねる。
「わからないが、指紋が出た以上、落合を佐藤修二殺害容疑で、逮捕するしかない。それにしても、この事件は、謎が多すぎる。私は、最初、須藤と、中原のどちらかが、犯人だと思っていたが、よくよく考えてみたら、彼らが、犯人なら、吉川線のことぐらい知っていた筈だ。二人とも、推理小説マニアらしいからね。すぐに、他殺だとバレてしまう自殺の偽装工作をするだろうか。それに、小説を馬鹿にされたから殺した、という、信じられないような動機をでっち上げるだろうか。あまりにもお粗末すぎる。そして、今浮上した、R組の落合だ。仮に、奴が殺したとして、どうして、佐藤が、林たちに、小説のことで、馬鹿にされていたことを知っていたのだろうか。目撃していたのは、須藤と中原だけのはずだ。彼らと、落合には、なんらかの関係があったというのか。」
「犯人が、林と三島の部屋で何を探していたのかについても謎ですね。」
若杉刑事が言った。
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