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最終話:これからの事。
09これからの事。
しおりを挟む「それにしてもへんてこな面子だよなァ~。元々は戦い合ってた奴らだぜ?それがこうやって集まって?祝言を祝うなんざ、笑えるな」
白狼がそれぞれの顔をじっくりと見ながら見渡した。
七名の人間を集めた事の発端である章に、彼と目的を同じくしていた幸生と紅葉。
章に呼び出された十二天将の青龍。
そして章の弟であり、封印を解こうとしていた春秋、それに従っていた白狼に鞍馬。
そして、紗紀が使役した妖怪。
化け狸の兄弟に、七曲、雪音に九重。
彼女のパートナーであるミタマに、ミタマの妹ウカノ、そして二人の上に立つ神、ウカノミタマ。
紗紀と同じく七名のメンバーの灯に楓。
魂は違うけれど、優一に、それぞれのパートナーであるキシマ、神鳩、こんぴらさん。
さらに、紗紀の呼び出した朱雀に、封印から解かれた今鏡。
それはなんて不思議なメンバーだろう。
「神々も紗紀さんにはとても感謝していますからね。神に妖、そして人が交わるこの空間はとても不可思議で、まるでおとぎ話のようですね」
春秋は今までの出来事を振り返るように目を閉じた。
「お主らも、使役されているわけでもないのによくここで小間使いをやれるな。残る以外にも選択肢はあったはずだろうに」
今鏡が理解し難いと言いたげに九重や七曲に視線を向ける。
彼らは顔を見合わせると、七曲は笑って、九重は目を伏せた。
「ボクはここが気に入ってるからね~。ずっと賑やかだったから離れがたくなっちゃった」
「人間の寿命は短いからな。退屈しのぎに残ったまでだ」
そう、妖怪である彼らにとって人間である紗紀と過ごす時間は人生の中でほんの瞬き程度の物だ。
だからこそ、離れ難くあったのだろう。
「皆様、新郎、新婦共に準備が整いました。それぞれお並びください」
ミタマの妹、ウカノが涼やかな声でそう告げ、丁寧に頭を下げた。
その声かけに、列を整えて正座をする。
◇◆◇
廊下で顔を合わせたミタマは瞬きを忘れたかのように呆けて白無垢を身に纏った紗紀を見つめた。
「……ミタマさん?」
「え。……あ、ああ」
ミタマが言葉に詰まって、瞳をまんまるくして見つめるものだから、紗紀は思わず笑ってしまう。
その笑顔にはどこか照れが混じっていた。
「これは……夢じゃ、ないんだよね?……ちょっと頬を摘んでもらってもいいいかい?」
「ふふっ。何言ってるんですか。それ、以前サグジさんと出会ったばかりの時に私が言ったセリフと似てますよ。サグジさんは駄目だって怒ったじゃないですか」
クスクスと口元に拳を添えて笑う彼女に見惚れてしまう。
もう何年も側に居て、見飽きたっておかしくないはずなのに。
「そりゃあ、怒るよ。キミの頬に赤い痣でも出来たら大変だ。でも、キミは俺の話一切聞き入れてくれなかったけど」
「あはは。そうでしたね」
本当に良く笑う彼女に、ミタマはどこか心が満たされた。
「……綺麗だよ、紗紀。とても」
「……あ、ありがとうございます。サグジさんも、普段と違いますね。素敵です」
照れくさそうに言葉を口にする紗紀に、ミタマは衝動的に手を伸ばしかけた。
「さぁさ、お戯れはそこまでになさって?皆様お待ちかねですよ」
間にウカノが入ってきて、にこやかに茶化す。
なんだか急に気恥ずかしくなって、二人して顔を赤らめたままはにかんだ。
こうして祝言は粛々と執り行われ、夜は宴で大騒ぎとなった。
◇◆◇
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