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最終話:これからの事。
07これからの事。
しおりを挟む「なんだか実感わかないな……」
「そうなの?私はすっごくドキドキしてるよ」
マミが心臓に片手を添えて、自分の事のように緊張している事をアピールした。
「マミちゃんが私の変わりに緊張してくれてるんだね」
紗紀はそれがたまらなく愛しくてくすくすと笑う。
いつもより少し賑やかで、見知った人たちばかりが集まる今日。
紗紀の心はとても穏やかだった。
◇◆◇
「いや~やっとこの日が来たよねぇ~。思いの外長かった。正直、秒速で祝言あげると思ってたもんボク」
「俺様もそれは思った!でもまぁ、ご主人サマの意思を組めねェよーじゃ一緒になっても続きやしねェーとも思ったし?待てたンなら上手くやってくだろ」
七曲と白狼が、大広間に集まってきたメンバーを見渡しながら懐かしそうに話をする。
「それにしてもぉ!五年はニンゲンからしたら長いんじゃないのぉ~?」
鞍馬もそれに加わって、ほうと溜息を吐き出した。
「仕方なかろう。この土地の改良に、施設運営に必要な事を一から経験を積んだのだからな」
通りかかった九重も話に口を出す。
そう、この三年間で紗紀と彼女が使役していた妖怪達は偽物の神社を妖怪と会える旅館とし、現実世界の人たちの観光宿泊場所として新たに準備をしていたのだ。
紗紀とミタマ、雪音は料理の腕を伸ばし、七曲、九重はフロント兼、客室係を交代でこなす事に。
化け狸達は客室係と掃除の担当となり、それぞれが人間界でひっそりと必要な資格まで取得したのだ。
残りの二年は白狼や鞍馬、春秋達の宣伝効果もあり、休む暇も無いほど忙しい日々だった。
神社に泊まる体験ができ、尚且、妖怪コスプレの従業員が居るとたちまち噂は広がり、あっと言う間に予約は埋まったのだ。
七曲に関しては良くしゃべるのもあって、彼と話をしたくて集まるお客さんも多い。
逆に九重は無口ではあるが、その整った顔立ちとミスの無い対応にファンになって通う女性客が続出している。
化け狸達は、掃除もあっと言う間に終わらせるし、可愛らしいのでどのお客さんにも人気だ。
分身が大いに役立ったのは言うまでもない。
白狼や鞍馬は庭の剪定をしに良く顔を出してくれて、足りない手伝いを進んでしてくれる。
つまみ食いも多いけれど。
宿泊施設は広くなり過ぎないように、休憩所をそのまま使い、離れに従業員の宿泊場所と、もう少し離れた場所にはミタマと紗紀の住む小さな家が建てられた。
旅館も軌道に乗り、仕事を楽しんでいる紗紀を見るとなかなか結婚を切り出せないまま二年の月日が流れていたのだ。
このままでは祝言をあげられずに終わってしまうと、ミタマが強硬手段を取り、二日程旅館をお休みしこの場で祝言をあげる事とした。
そうしてその日がついに訪れたのだ。
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