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第二十話:最終決戦。
27最終決戦。
しおりを挟む「もしかしたら、研究者の幸生さんの部屋とかに薬やそのレポートがあるかもしれません」
「それは先に手に入れた方が良さそうだね」
どこかのタイミングで誰かに使われでもしたら面倒だ。
紗紀とミタマは手分けして引き出しやクローゼットを確認して歩く。
「なかなか見つかりませんね……。もしかしてこの部屋じゃ無いとか……」
ミタマはおもむろに鏡台前の椅子に腰かけた。
疲労の色が伺える。
「大丈夫ですか?」
あの薬の影響で無理に力を引き出したせいなのか、体により多く負荷がかかっていたのかもしれない。
「いや、なんて事無いよ……!」
紗紀の心配に慌てて立ち上がったミタマは、不意に違和感を感じた。
「待って紗紀。この椅子、開くかもしれない」
ミタマの座っていた椅子は四角くて、上にはクッションが置かれていた。
ミタマがクッションを床に置けば、確かに、上部が蓋をしているようにも見える。
紗紀と頷き合い、ミタマはその椅子の蓋を外した。
「本当に蓋だった……」
「書類が入っているよ」
手渡された資料に目を通せば、やはり薬の資料だった。
「肝心の薬自体は見当たらないね」
「もしかしたら冷蔵庫とかに保管してあるかもしれません。注射器とは言え、使用期限とか有りそうですし」
「確かに」
「この資料を燃やすわけにはいきませんよね」
ミタマは何かを思案すると、その資料を小さく四つ折りに折りたたみ懐へとしまった。
「きっと大事な物だろうし。何かの際には使えそうだ」
そう言って笑顔を浮かべるミタマを見て、春秋のようだと紗紀は思う。
「さて、もう一つの部屋を見たら、終わりだね。この階にはいくつかの部屋と、台所に湯殿、居間と、この大部屋二つ」
「そうですね。後は……。地下の方ですね」
紗紀は階段の下で何かが割れる音がしていたのがとても気になっていた。
不気味で仕方がない。
身震いする紗紀の手を、ミタマが包むように握る。
「とりあえず、この部屋を出よう」
ミタマに手を引かれるまま、二人はこの部屋を出た。
そのタイミングで勢いよく開く隣の扉。
バン!と扉が開いて、二人の方がビクリと跳ね上がった。
「あ、ミタマ!それに紗紀姉ちゃん!!」
「ユウリ、くん!?」
隣から出てきたユウリは両手で抱きしめる程の布を持っている。
ユウリの目の前の扉が今度は開いた。
「優一さん!」
出てきた優一もユウリと同じく布をたくさん持っていた。
「え。柳瀬優一!?……どうして、彼が……」
(そっか、ミタマさんは知らないんだっけ?)
目をまんまるくするミタマに、どうやらミタマには薬で苦しんでいた時の記憶があまり無いのだと悟った。
なぜならば、あの時、優一は側に居たのだから。
「身体は優一さんの物なのですが、政府側の人体実験に使われたらしく、中身はあの政府の男の魂が三分の一程入っているそうです」
紗紀が早口に説明をすれば、ミタマが冷え切った視線を優一へと向けた。
紗紀は殺気立つミタマの腕を慌てて掴む。
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