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第二十話:最終決戦。

12最終決戦。

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「ねぇ、そう言えばアンタ優一なの?なんで黙ってんの?」


優一はユウリを見る。

けれど、相変わらずの無表情で何も言葉を発さない。


「声は聞こえてるんだよね?指示には従ってくれたし。あ、もしかして船の場所知ってる?」


ここに居るならばある程度の事は把握しているはず。

そう期待を込めて優一に問いかければ、彼は小首をかしげた。


(あ、駄目だこれは。使えないモン拾っちゃったよ)


ユウリは瞬時に察する。

優一からすれば、船と方舟はこぶねはまた別ものと認識しているのだろう。

お互いの言葉とイメージが行き違いになっていた。

しばらく行くあてもないまま走っていると、頭上を何かが通る気配がした。

ユウリは足を止めて空を見上げる。

そこには楓と彼のパートナーである神鳩の姿が見えた。


「あ!おーい!!」


ユウリは声を張り上げて、両手を振る。

ユウリの声に気がついてくれた楓は引き返して来てくれた。

楓の後を追って神鳩かみばとも地上へと降り立つ。


「どうした?……っ!その男、見覚えがある。確か選ばれた七名の……」


楓はユウリの隣に立つ優一を見ると、まるで時が止まったかのように呆然としていた。


「優一だよ!」

「優一……。彼は死んだはずじゃ?」


そう、確かに紗紀からはそう聞いていた。

そんな彼がどうして、と言葉を失う。


「そんなの僕には分からないよ!それより、今忙しい?」


ユウリは、今はそんな事どうでもいいと投げ捨てて、楓達の状況を聞いた。


「いいや。今ちょうど選ばれた人間が居ないか空から部屋の様子を伺っていたところだ」

「それならきっと向こうの部屋に居るはず!なんかいっぱい硝子の中に怪物が入ってたから!」

「本当か?向こうってどこだよ」


ユウリの曖昧な言葉に楓は眉間にシワを寄せる。

ユウリはその場所の伝え方に頭を抱えながら思いつく限りの言葉を吐き出した。


「とにかく、このまま真っ直ぐ行って!そしたら突き当たったところを左に!ええーっと!それから、しばらく行けば、燃えてる場所があるから!九重達が居る部屋!」


ユウリの話に、楓はピンと思い当たった。


「あのうるさい場所か!ずっとビービー鳴ってた!」

「そこ!」


楓が人差し指を立てれば、ユウリもそれだ、と同じ様に人差し指を立てた。


「分かった!行ってくる」

「ありがとう!あ、そうだ!僕ら方舟壊す手伝いに行きたいんだけど……、場所分かる?」

「それなら来た道を戻れ。お前が左に曲がるって言った場所をそのまま真っ直ぐ突き進めば高台が見えてくれはずだ。そこに方舟らしき物が見えた」


ユウリは楓が指差した方角を振り返った。


(真逆に走ってた!!)


頭を抱えながらも、楓にお礼を言う。


「ありがとう。行ってくるよ。お互い無事にこの戦いを終わらそう」


ユウリは顔をあげて楓を見た。

拳を突き出せば、楓は一瞬思考してからどこか気恥ずかしそうに、その拳に自分の拳を軽くぶつける。

それを見ていた優一もなぜだか拳を寄せて、便乗するように神鳩も拳を寄せた。

楓は思う。

なんなんだろうこれは、と。

ユウリと楓は別れて、それぞれ目的地へと向かった。


 ◇◆◇


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