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第二十話:最終決戦。
08最終決戦。
しおりを挟む「……何だと?」
「こんな、酷い話……章様にどうして話せましょうか!!」
尚も真実のような口ぶりで煽る。
「……紅葉、貴様はリストを見て転移を進めろ。優一の処罰は追って伝える。責任を持って見張っていろ。良いな?」
「畏まりました」
今直ぐにでも優一を処分したかったが、三分の一の自分の魂が中にある以上、簡単に壊すわけにもいかない。
章は怒りを顕にその拳に力を入れて、紗紀の部屋へと向かった。
紅葉はリストを手に取りながら、震えていた。
自分が優一を使い紗紀を汚す提案をしたのは事実。
それを幸生がどこまで黙ってくれるか、信用が無かった。
告げ口をされてしまえば、今度こそ章からの信頼は無に帰す。
それがたまらなく恐ろしかった。
部屋から逃げ出そうとする優一の首の根っこを捕まえる。
ぼんやりと見上げる優一を、紅葉は忌々しそうに睨みつけた。
手を下そうとした時、パリンと窓ガラスが割れた。
「何!?」
窓から姿を現したのは、塗壁の七曲、九尾狐の九重、雪女の雪音、化け狸のユウリだった。
「一番近くから攻めてみたんだケド~。うーん……。なかなか、エグい場所に着いちゃったかも」
きょろきょろと辺りを見渡して、ひやりと背筋が凍る七曲。
「ああ、嫌じゃ嫌じゃ。一番嫌な場所を当ててしまったな」
あまりの異臭の強さに、雪音は鼻を袖で覆った。
「あんまり浮足立たないでよ。ちゃんと敵が見えてる?ヤバそうなの居るよ」
ユウリが冷静に紅葉を見てそう言った。
瞬間、彼女が捕まえている男の姿に、その瞳を見開いた。
「なッ!?優一!!」
ユウリの声に、七曲達もそちらへと目を向ける。
「ヤナちゃん!?えッ!?えッ!?どうして!?」
「うるさい」
大きな声で驚きを顕にする七曲に、九重は耳を手で押さえて低く言葉を吐き出した。
「なんなんですの!?ここをどこだとお思いで?遊び場じゃありませんのよ!?」
紅葉は目をひん剥かんばかりに怒りをぶつけた。
次から次へと、邪魔ばかりだ。
「うるさいと言っている、きゃんきゃん喚くな」
九重が地べたを這うような引い声音で、威圧的にそう発した。
ゾクリと身が竦むのが分かる。
「フン!立場を分かっているのですか?貴方方の知り合いを殺されたく無ければさっさとここから立ち去りなさい!」
紅葉は優一の首に爪先を当てる。
優一の首から血が一筋流れた。
「貴様こそ立場を分かっていないと見た。そやつはもう、死んでいる」
「なッ!?馬鹿をおっしゃらないで!生きているじゃない!動いて、呼吸をして!」
「一度死した者の体を好き勝手にするは亡者への冒涜。死して償え」
九重は怒っていた。
「劫火に焼き払われろ、狐火」
紅葉と優一を取り囲むように炎を燃やす。
「ちょっとちょっと!ヤナちゃんまで燃えちゃうよ~!」
七曲が九重の腕を掴んで待ったをかけた。
けれど、その手を九重は振り払う。
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