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第十九話:話し合い。
13話し合い。
しおりを挟む「……はい。怪物はまた現れると思います。人が居れば、救助を優先してください」
紗紀の言葉に、それぞれ頷いて見せた。
「私は何をすればいい?」
ずっと押し黙っていた朱雀は腕組をして、紗紀をしっかりと見据える。
紗紀もそれに答えるように視線を向けた。
「朱雀さんには、青龍さんを止めてもらいたいと思っています」
同じ十二天将同士なら、なんとかなるのではないかと考えていた。
朱雀は眉間に気難しげにシワを寄せて、少しの間押し黙っていた。
何かを測りかねているようだ。
「……今の青龍は話し合いでなんとかなるようには思えない。以前の彼とはどこか様子が違っていた。戦うとなれば、こちらは炎、あちらは水。目に見えて分が悪い」
こちらに相手を思う情があれば尚の事、と朱雀は自分の力量も含め、静かに話した。
「それなら、今鏡と共に戦ったらどうです?水が相手だって、炎の威力が強ければ蒸発させられる。違うかな?」
にっこりと笑顔で会話に入って来たのは春秋だった。
彼の後ろには大天狗である今鏡が居る。
「なるほど。大天狗の風で炎の威力をあげるお考えですか」
春秋を安倍晴明の生まれ変わりだと気づいてから、朱雀の彼に対する扱いは他とは別格となっていた。
さすがだとでも言いたげに、春秋の提案に感嘆の声をあげる。
「ね?今鏡。お願い出来るかな?」
「ワシに出来ぬ事があると?」
今鏡の答えに、春秋は満足そうに笑みを深めた。
「だそうです。これで、話しはおおよそ行き届いたかな?」
「はい」
「ちょっと待って!あたしと楓はどうしたらいい?」
片手をピンとあげて、灯が会話に混ざって来る。
そんな灯の首の根っこを楓が掴んだ。
「お前は大人しくここに居ろ。術も使えないのに邪魔になるだけだろ」
楓は灯の身を案じてキッパリとそう言い放つ。
火花を散らして言い合いになりそうになる二人を紗紀は慌てて止めようと提案をする。
「灯さんはここに残ってウカノさんのお手伝いをお願いします。みんながここに戻って来たらぐったりしてると思うので……」
「分かった!ご飯とお風呂の準備と、布団でも干しておくわ!」
楓の言うことには反発するのに、紗紀の言うことには笑顔で切り替える灯。
楓はやれやれと溜息を吐き出した。
「楓くんは、神鳩さんと……もしかしたら他にも居るかもしれない選ばれた七名の死亡者を探してください」
紗紀の声のトーンが、一瞬暗く落ちる。
みんなが何かを察して紗紀へと視線を向けた。
「……灯の時みたいに怪物にされてるおそれがあるって事だな」
「……はい」
可能性は充分に考えられた。
神様の力すら吸収しようとする相手なのだ。
聖職者に近い力を得られたはずのメンバーをみすみす普通の生活へ帰すわけがない。
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