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第十七話:激動。

15激動。

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「待って。私も、私も一緒に灯さんを助けたい!!」

「……助ける?……助かるのか?あんな状態で」


どうせ誰かに殺されるならばいっそ自分が、そう考えていた。


楓の言葉に胸がざわざわと嫌に騒ぐ。

けれど紗紀は強い眼差しで楓を見上げた。


「出来る、よ。試させて」


紗紀は七曲の時を思い出した。

紗紀の妖力の馴染んだ血を舐めて正気に戻ったのだ。

ならば、灯だってきっと。


「……分かった、頼む」


楓は紗紀がどんな方法を取るのか分からなかったが、彼女の真剣な眼差しにけてみたいと思った。

救えるならば、救いたい。

また言い合いをして怒られて、笑い合いたい。

楓は翼を広げてくうを切った。


「行くぞ!」


紗紀もトンビのような翼を広げた。

向かう先は灯の元だ。


◇◆◇


「飛ばされたってだけだとやっぱり戻って来るよね~」


遠くへ飛ばされただけの怪物達がまたこちらへ向かって来るのが見えて、七曲がげっそりとつぶやく。


仕留しとめるしかないだろうな」


九重はそう言ってのけると怪物の方へと駆け出した。


それを見て元気だなぁとぼんやり思う七曲。

雪音は疲労困憊気味ひろうこんぱいぎみだ。

ミタマは紗紀の様子が気になって仕方がないようだ。


「オーイ!ボサッとしてんな!!迎え撃つぞ!!」


白狼がそう声をあげる。


「……はぁ。そう言うなら遠くに飛ばさず仕留めてくれたら良かったのにさぁ」


ぼやきつつ七曲は雪音を振り返る。


「姐さんどうしやす?ボクが防御するから攻撃お願い出来ると助かるんだケド~。割とキてるよねー」


うーん。

頬に人差し指を当てると困り顔をして見せた。

雪音は一つ息を吐くと前を見る。


「紗紀が頑張っておるんじゃ。ここでへばるわけにはいかないよ。……けど走る体力は残ってないねぇ。手助けしてくれないかえ?」

「かしこまりましたオヒメサマ」


やれやれと七曲は雪音を横抱きにすると走り出した。

そしてミタマを呼ぶ。


「おーい!タマちゃんも早く!!」

「……ああ。……いや、俺はこっちに残る」


ミタマは一瞬悩んで、けれどもやはりここから離れる事はしたくないと思った。

そんなミタマの心情を七曲は察して笑顔を浮かべて頷く。


「……そっか。うん!それがいいと思う。じゃあ行ってきまーす!」

「紗紀を頼むぞ!ミタマ!」


雪音の頼みにミタマは任せてくれと答えて三人は別れた。

ミタマは走り出す。

紗紀の元へ。

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