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第十七話:激動。
13激動。
しおりを挟む「オマエ、忘れちゃいないだろーな?」
突然白狼に声をかけられて、戸惑う紗紀。
「練習の成果、ここで発揮してみろよ」
白狼の一言で思い出した。
う、自分には飛ぶための翼がある。
遠くからどんなに声をかけたって、灯に届くはずがない。
(もっと近づかなきゃ)
「変化!」
紗紀は木葉天狗へ変化をすると、白狼に習った事を思い出しながら空へ羽ばたく。
「ありがとう、白狼!頑張って来る!」
「おう!」
「ミタマさん、灯さんは任せてください。他の方たちの加勢を!」
紗紀はミタマに離れるよう指示を出した。
灯を知っている分、攻撃をしづらいのだろうと察したからだ。
「……分かった!」
神鳩により地面に降ろしてもらったミタマは、迫り来る黒い手を焼きながら前へと進んでいく。
怪物の群れが減っている気配を感じない。
「このままじゃ姐さんがまず厳しいよ。タマちゃん!!」
「防御で手一杯ってところだね」
七曲の訴えにミタマも困り果てる。
むしろここまで良く持ち堪えたと褒め称えたいくらいだ。
白狼と神鳩は上から暴風を吹き起こし、数名の怪物達の動きを封じるので精一杯だ。
吹き飛ばすまでに至らずにいた。
「このままじゃ体力だけ消耗して終わってしまうんじゃ……!?」
七曲が狼狽える。
けれど白狼はどこか余裕そうにニッと笑った。
「もう一踏ん張りだ!!諦めんじゃねーぞ!!」
白狼が声高々に叫ぶ。
その声が力強くて唯一の希望のようにも思えた。
(まだだ。まだいけるはず)
気力さえも失いそうになりながら、何とか踏ん張る。
するとバサバサと羽ばたく音が幾重にも聞こえ始めた。
影が落ち、見上げる空を黒い何かが覆っているように見える。
雪音は息を飲んだ。
の前の怪物達を一斉に吹き飛ばしていく。
「なっ!?」
「うわわっ!!!え、何々!?」
雪音と七曲が声を上げる。
ミタマと九重は風が行き届かない場所まで飛び退いた。
白狼がどこか自慢げに笑う。
「ハッ!遅ぇぞ!!」
「うるせーや!!」
「来てもらえてありがとうございます。だろオラ!!」
白狼を取り囲むそれは烏のような翼を持つ#鴉天狗__からす_#の群れだった。
ミタマ達は呆然と空高く飛び交う天狗達を見上げる。
「フッ。間に合ったみたいだね」
良かった良かったと春秋は目を細めて微笑む。
けれどそれもつかの間、大天狗を見つけた鴉天狗達は怪物をそっちのけでこちらへと集まって来た。
「大天狗様!!」
「今鏡様!!」
深々と頭を下げる。
そしてなぜ春秋と大天狗の二人が#対峙__たいじ_#し合っているのか困惑した表情を浮かべた。
「……此奴めがワシを使役すると抜かしおった」
「なっ!?春秋殿!!それはどういう事だ!?」
鴉天狗達がざわざわと騒ぎ出し春秋の言葉を待つ。
春秋は気にした素振りも無くにっこりと笑ってみせた。
「そのままの意味だけど?」
その言葉を聞いて鴉天狗達は攻撃態勢に入る。
殺気立つ彼ら。
けれど春秋は怯まない。
まるでこの状況にも関わらず勝機があるとでも言いたげだ。
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