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第十七話:激動。

07激動。

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「あ、はい。ミタマさんは白狼が政府側に居たの気づいてましたか?」


紗紀に問い返されてミタマは首をふるふると横に振った。

紗紀は政府に呼び出された日、白狼に出会った事を話した。


「そーそー。だから俺様は巻き込まれるなって遠回しに忠告したんだぜ?なのによー。この有様だ」


そう言って肩を竦めて見せた。


「みんなに出会えたから私の選択に間違いはありません。これが最良だったんです。だって私、今幸せですから」


そう言って笑う紗紀に、みんなそれぞれに笑みを浮かべる。


「さぁ、今日も気を引き締めましょうか」


春秋がその場を締めた。


「はい」


紗紀はミタマに髪を整えてもらい、爪を切ると、二人で食事を済ませた。

他のメンバーはそれぞれに時間を過ごしている。

夕日はもう西に傾いていた。

今夜は何が起こるか分からない。

ゆっくり過ごせるひとときの間だった。


「おい、タブレット確認したか?」


楓が不意に声をかけて来た。


「ううん。何かあったの?」

「……また神様が……消えた」

「え……?」


楓が見えるようにタブレットを机に置いてくれた。

それをみんなでのぞき込む。


「これが、噂の転移が可能なタブレットですか?」

「ああ」


春秋が疑問をぶつければ、楓がそれに答えた。


「神社二つの結界が破壊されたみたいだね……」


ミタマの言葉に紗紀は息を飲む。


「そうなると……後いくつ残ってるの?」


七曲が首をひねった。

紗紀と楓はメッセージを確認しながら指折り数える。


「……後、二つ、です」


ゴクリと喉が鳴るのが分かる。


「昨日、あんなに怪物をこっちに寄越して置いて、他の神社も襲撃してたって……」


楓が青ざめた表情を隠すようにうつむいた。

つまり、少なくとも、昨日は三つの神社を襲撃した事になる。

そして残るは二つ。

今日も確実にここへあの怪物が現れるの想像に容易たやすかった。


「まぁ、現れるって分かってンだし?待ちぼうけはねェーってこった!」


白狼が場を明るく努めるように声をあげた。


「どっちにしろいつかは戦う相手でしょー?早い方がいいじゃなぁい!」


鞍馬もそう言って士気しきを上げようとこころみる。


「確かにそうですね」


紗紀も便乗して、震えそうになる手を強く握った。


今更だ。

今までだって何度も絶望のふちに追いやられていたのだ。


(今回だってなんとかなる。ううん、なんとかするんだ)


ふと、ミタマの耳がピクリと動いた。

気配が消えたのを感じる。


「え……」


ミタマは思わず動揺した。

彼の異変にみんながミタマを見る。


「ミタマ、さん?」

「いや……おかしいな。そんなはずは……ちょっと確認して来るよ」


まだ確信も持てない事で、みんなを動揺させたくなかった。


「私も行きます!」


立ち上がるミタマに習って紗紀も席を立つ。

みんなに見送られながら紗紀とミタマは居間を後にした。


「何が、あったんですか?」

「……ウカノミタマ様の気配が……消えた」

「え……」

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