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第十四話:ウカノミタマ。

05ウカノミタマ。

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「紗紀の気持ちが聞きたいな」

「……っ知ってるじゃないですか……」

「さて、どうかな?言葉で聞かなきゃ無いのと変わらないよ。そう思わないかい?」


確かにその通りだ。

いつだって言葉も愛情表現もくれるのはミタマからで、貰ってばかりだと思う。

紗紀は震えそうになる手でミタマの着物をギュッと握ると、消え入りそうな声で想いを伝える。


「……すき、です。とても。……ミタマさんの事が心から……っ!?」


愛してます。

そう告げる前に唇を塞がれて、思わず目を見開く。

自然と目が合い、恥ずかしくなって思わずギュッと目をつむる。

それと同時に鳴り響くサイレン。

そのデカさと異常さに紗紀達二人はおろか、居間で話し合いをしていたメンバー含め全員が体を跳ねらせて驚いた。

バクバクと違う意味でも心拍数が跳ね上がる。

あまりのタイミングの悪さにミタマは顔を覆うと、今度は何なんだと深く溜め息を吐き出した。


「……え」

「紗紀?なんだって?」


ミタマがそう尋ねた時だった。

バタバタと複数人の足音が聞こえて来る。

このデジャヴ感に二人は廊下へと視線を向けた。


「今度は何事!?また妖!?」

「紗紀お姉ちゃん他の神社行くの!?」

「政府の輩かえ?」

「すんげぇ音したぞ!!」


七曲、マミ、雪音、ムジナの順にそれぞれが思ってる事を口にする。

紗紀はパッとタブレットをもう一度確認すると、そこに並んである文字を読み上げた。


「……本来の神社が一件襲撃を受け、封印が一部解放。フェイクの神社を撤退てったい。それぞれ本来の神社へと転移し、それぞれの神社を守るようお願い申し上げます。……との事です」

「……」


言葉の意味が上手く飲み込めずに混乱する全員。

ミタマですら言われた内容が頭に入って来ずに脳内を素通りしていく。

かぶりを振って冷静さを取り戻すと、ミタマは紗紀からタブレットを借りてもう一度その内容を確認した。


「本来の神社……?」

「……ミタマさん。戻れるって事ですよね?……ウカノミタマ様の元へ……」


じくり、何かが刺すように痛む。

どす黒くて嫌な感情だ。

タブレットをもう一度眺めるミタマの服をギュッと握る。


「……紗紀?」


それに気付いたミタマがパッと視線を紗紀へ送るが、続く言葉より先にしびれを切らした雪音が聞き返す。


「それはつまり何がどういう事じゃ?」


紗紀はみんなに振り返ると慌てて説明を始める。


「簡潔に言うと今からミタマさんの本来いるべき神社へ向かいます。……あ、でも転移装置は私とミタマさんしか使えないんじゃ……?」


そうなると必然的に他のみんなにはここに残って貰う事になってしまう。

ドクリと嫌な音を立てて心臓が跳ねた。

みんなを見れば化け狸達が不安そうにしている。

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