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第十二話:戦友の死。

13戦友の死。

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「なぁっ!?あ、おい!!安全運転!!安全運転でお願いしますっ!!」


そうして再びよいしょ、よいしょと掛け声と共に白狼は化け狸達に運ばれて行った。

その様子を見えなくなるまでじっとみんなで見守る。


「……とりあえず、方向性は定まったのか、な?」


困り顔で七曲が沈黙を破った。


「……そうだね。うーん、本来の神社へ行けるなら神様に直にお話を伺うというのも手ではあるんだろうけど……」


優一が腕組みをして悩みあぐねる。

確かにそれが一番の理想な気がする。

白狼の言葉が紗紀にはずっと引っかかっていた。

 "例えば……神使を神社から引き離したかった、とか思わねぇの?"


(神使を神社から引き離して起こりうる事って……やっぱり本物の神社を攻撃する事、だったりしないよね?だってそんな事して封印が解けたら一番困るのは人間側でしょ?)


悶々としていればシャンと鈴の音が鳴った。


「……妖怪……?」


紗紀が席を立つ。

化け狸達に白狼の見張りを頼み、いつものメンバーで鳥居へと向かった。

鳥居にはまたしても妖怪を取り込んだ怪物の群れが現れていた。

怪物達は徐々に強さを増しているように感じる。

この間の件を考えると気は抜けない。


(みんなを護るんだ)


自分の頬を叩いて気合いを入れ直す。

そんな紗紀の肩にミタマは手を添えた。


「紗紀、なるべく傍に」


ミタマの心配そうな顔に紗紀は小さく頷いてみせた。

今宵の戦いが始まる。

雪音は昨晩の戦いが尾を引いているのか、だいぶ疲弊し切っているように見て取れた。

雪音には七曲が付いて、防御を主に攻撃を繰り出している。

怪物達の殲滅せんめつが早いかこちらの体力が切れるのが早いか時間の問題のようにも思えた。

治癒する札は無い。

そしてこの戦いがいつまで続くかも未定だ。

それを踏まえた上で戦うしかない。

紗紀は怪物の攻撃をかわしながら真剣に模索もさくする。

けれど今まで以上に攻撃力も素早さも増していて、避けたつもりが攻撃をくらい跳ね飛ばされてしまった。

地面に衝突する寸前でミタマが紗紀を抱きとめる。

尚も攻撃の手を緩める事なく黒い腕が何本も何本も紗紀とミタマに伸びて来た。

このままじゃ二人ともやられてしまう。


「狐火!」


ミタマと共に叫び、炎を焚きつける。

けれど、その手は怯む事無く襲いかかって来る。


「火神よ我が意思に力を急急如律令!」


紗紀は御札を取り出しそう叫ぶ。

せまりくる目の前の黒い腕を炎が伝い、本体までをも焼き付くした。

轟々ごうごうと燃え、甲高い悲鳴と共にのたうち回る真っ黒い怪物。


(やっぱり狐火よりも御札の方が効力は高い……)


「紗紀、来るよ」

「はい」


再び迫って来る腕をかわしながら本体へと近づく。

けれど、一度かわした腕から、まさか別の腕が生えるとは思いもしなかった。


「紗紀!!」


その腕が視界に映った時には、紗紀を庇うように前へ出たミタマがぎ払われた。


「……っ!」


ミタマの名を呼ぼうとしたれど、襲いかかってくる手。


(避けきれない……!)


瞬時に目をつむった。

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