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第十二話:戦友の死。
09戦友の死。
しおりを挟む「なら何の為にこんな……?政府側は神社へ集まる妖怪を討伐し、本当の神社の封印を守る為にこの偽物の神社を創ったって……。わざわざ妖怪を怪物にさせる意図が分からない」
(ミタマさんは知っていたの?)
政府側に居た彼は何をどこまで把握していたのだろうか。
体が恐怖と不安に押しつぶされそうだ。
ミタマを見れば目が合って、心臓がドクリと跳ねた。
「……ミタマさんは、知っていた……の?」
ミタマは申し訳なさそうにゆっくり首を左右に振った。
それにホッと安堵の息を漏らす。
「俺はそこまで内情に詳しくないんだ。すまない」
ならば問題は一つ。
白狼の言葉の信憑性だ。
彼の言葉はどこまで信頼出来るだろうか。
紗紀は悩みあぐねる。
「何の為かって聞いたな?じゃあ逆に聞くが、わざわざ現し世から離れてこんな異世界に神社を創り妖を呼び出すのは何でだ?」
「……そ、れは……」
白狼の言葉に言い淀んでいれば、さらに白狼は続けた。
「ミタマとか言ったか?オマエは何でセイフ側に手を貸してんだ?」
「それはキミ達妖側が現に本来の神社を襲ったからだよ。結界があったから大ごとにはならなかったけれどね」
そうなのだ。
妖怪側が神社を襲わなければこんな事はまず起こっていない。
「それでウカノミタマ様やその他封印を守る神社の神々の元へ、政府側が頭を下げて回ったんだ。このままでは不安で仕方がないから力を貸してくれ、と。提案はこうだった」
そうしてミタマは事の経緯を話し始める。
政府側に神を見られるモノが居て、神々に頼み歩いた事、この偽物の神社に妖を引きつける事、それには神使の力を借りる必要がある事。
「神々は世界を思う政府の誠実で紳士的な態度に大層心を打たれ、それを承諾し今に至る。身寄りの無い者を選んだ理由は大勢の民に不安を与えない為。そして協力者にはそれ相当の対価を与えるとの約束のもと、受ける受けないも選択できる」
それは悪い話には思えなかったとミタマもそう言った。
確かに紗紀達もそうだった。
身寄りがない自分達は生き抜く事に他の人よりも不安があった。
いざとなったら頼れる人が居ないのは不安で恐怖だ。
けれど老後までも面倒を見てくれると言うならば、それ程安心出来るものは無かった。
それにそれがおかしい事だと教えてくれる者も居ない。
だから安易に乗ってしまった。
結果的に不安は多少なりとあるが、ミタマやここに居る妖怪達と時を共にして幸福感を得た事は間違いない。
ミタマの話に対して白狼は尚も問う。
「例えば……神使を神社から引き離したかった、とか思わねぇの?」
白狼のまさかの発言にドクリと心臓が騒ぎ出す。
(神使を神社から引き離す?)
「アイツらは何かを企んでやがる。専門分野の聖職者に頼らず、なんの力も持たない一般市民を巻き込んで、無理やり力を与える事は体に負担を強いると知りながら戦場で戦わせるとか。善人のやる行動じゃねーよ。つーか、体に合わないヤツは割と初期段階で発作起こして死ぬからな?妖力って」
新たな知らない情報に紗紀はミタマを見た。
「妖力を与えるって、体に負担をかけるだけじゃなくてそんな直ぐ死ぬ可能性もあったんですか?」
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