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第十一話:七曲。
14七曲。
しおりを挟むその後、結局食事に現れなかった七曲と白狼。
「ナナちゃん、どうしたのかな?」
「なな居ないと寂しい……」
マミとカイリがしょんぼりとして席に着いたまま項垂れる。
みんなで食事を囲んではみたものの、一向に来ない七曲をみんな心配していた。
白狼まで居ないのがとても気がかりで仕方ない。
紗紀が席を立つとそれを見てミタマも立ち上がった。
「予測に過ぎないが自分の力不足を悔いているようだ」
九重の言葉に一斉にみんなが九重を見た。
「……七の気持ちは分かるよ。妾も近頃めっきり力になれてないからね」
「そんな事……」
雪音が湯飲みのお茶を見つめて七曲に共感する。
雪音もまた、自分の力が及んでいな事に少し悩んでいた。
紗紀はまるで自分と同じだと思った。
七曲も雪音も自分の力の至らなさに苦しんでいるのだろうか。
そう思うとその気持ちが痛い程良く分かって、泣きそうになった。
知られたくない気持ちと、抗いたい気持ちと。
「様子を見て来よう」
そう言って歩き出すミタマの後を紗紀は追う。
「……私も。私も行きます!」
その気持ちなら理解出来る。
(悔しいのも苦しいのも。きっと)
紗紀は無意識に首に手を当てていた。
◇◆◇
七曲の部屋へ向かうと、障子が開け放たれていた。
ミタマと紗紀は顔を見合わせる。
「七曲……?今、大丈夫かい?」
声をかけてから部屋を覗き見た。
「……タマちゃんに……紗紀ちゃん。いらっしゃい」
西日が差し込んではいるけれど、何故だか薄暗く感じた。
部屋の隅で片膝を立てて座っていた七曲が視線を二人に向けるといつものように笑う。
「……体調、大丈夫ですか?」
「うん。体調はね。平気。……紗紀ちゃんは?首は平気?」
びくりと肩が跳ねる。
ミタマは不思議そうに首を捻って七曲を見た。
紗紀の首筋の事は七曲は知らないはずだ、ミタマはそう思っていた。
「タマちゃん、紗紀ちゃん。……ごめんね」
「何の話だい?」
「紗紀ちゃんには酷い事をした。怖い思いさせてしまって……ごめん」
ミタマはゆっくりと紗紀を見る。
紗紀は自分の首筋に触れて震えていた。
その顔色は真っ青だ。
「……紗紀?……その首……白狼じゃ?」
「ロウちゃんもその後、紗紀ちゃんを泣かせたって言ってたね。大丈夫だった?」
「……も?」
何も言えなくなった紗紀から、七曲へ視線を向けるミタマ。
「うん。そう。一番最初はボクだから。……ついカッとなって……。タマちゃん殴っていいよ。本当に酷い事をしたんだ。合わせる顔も無い」
「ミ、ミタマさんっ」
スタスタと七曲の方へ歩みを寄せるミタマに、思わず紗紀がミタマを呼ぶ。
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