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第十一話:七曲。

04七曲。

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七曲や九重が封印されているのは大天狗だと随分ずいぶん前に言っていた。

それはもしかしたら天狗である白狼の知り合いなのかもしれない。

そうすれば彼だけあやつられていない事も納得がいく。


「ねぇ、白狼。……あなたは……大天狗の封印を解きたいの?」

「!……なんだよ、知ってたのか?そりゃまぁ妖と一緒に暮らしてれば知ってるヤツがペロリと話すわなぁ。封印を解きたい……。つーよりは、俺様はさせられてるって感じだな」


(させられてる?それってつまり……)


「本当はしたくないの?」

「俺様的にはあのオッサンうるさいから出て来て欲しく無ぇンだよ」


(なんか似たような事を七曲さんも言ってたような……)


白狼は面倒臭げに溜め息をつく。


「じゃあ他の天狗達が?」

「まぁそんなトコ」


曖昧な返事に紗紀はぺしぺしと白狼の足を軽く叩いた。


「痛ェななんだよ」

「痛くないでしょ。……曖昧なのやめて。大天狗の封印をどうして解こうとしてるの?」

「そりゃあ、ずっと封印されてんの可哀想だろ~」

「それは……」


(そうかもしれないけれど)


言われてみると考えてしまう。


(封印されるって言うのはどんな感じなのだろう?真っ暗で体が動かないのかな?意識すらない?眠ってるような感覚?分からない)


けれど目が覚めた時に知ってる人が居なかったり、環境が変わっていたとしたら……それはとても怖い事だ。


「大天狗が解放されたらどうなるの?」

「そりゃあニンゲン界を撲滅だな!」

「なっ!?」

「当たり前だろ~?その為に準備してんだから」


(それはダメだ。解放なんて出来るわけない)


でも確かに封印したのが人間ならば、目が覚めたら最初に潰したいと思うのかもしれない。


「オマエはなんでニンゲンなんかの肩持つの?何度も言ってっけど結構な扱いだぜ?まだ年端もいかねぇンだろ?しかも女の身で?好きでもない妖のオスと契約してるワケだ?普通に考えておかしいって思わねぇ?そんな話し最初から聞いてたか?」


問われれば問われる程に不安が募る。

その通りだ。おかしい事ばかりだ。

力を借りる話しも口付けか血を飲む選択肢だなんて聞いていない。


「しかも、知ってるか?妖の血は合わなきゃ拒絶反応が出て死に至る可能性もあるンだぜ?」

「……え?」

「そんな事も教わってねェーんだろ?」

「……」


(知らない。知らなかった)


ドクンと一際心臓が大きく跳ね上がる。

ゾクリと背筋が粟立つ。

ガタガタと怯えていれば突然両肩を掴まれて、あ!と言う間にドサリと押し倒された。

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