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第八話:告白。
04告白。
しおりを挟む「あはは!きみ達って仲が良いんだね。言いたいことはっきり言えるってさ」
「……違うよ。紗紀は割と思ってる事は言う子なんだ」
ため息まじりにそう返すミタマ。
紗紀はそろりと忍び足で二人の視界から逃れようとした。
けれどもガッチリとミタマに腕を掴まれる。
「うわっ!」
「キミの誤解をいくつか解きたいんだけど、キミは俺に弁解する余地もくれないのかい?」
「……」
(……誤解?)
紗紀はこれ以上傷をえぐりたくないと思っていた。
自分の中の見知らぬ感情にも気づきたくない。
知らないフリをして、そのまま蓋をしてしまいたい。
ミタマを想うと胸が苦しくて息がしづらかった。
(こんな苦しい物なら、いらない)
「……触らないでください」
「……」
紗紀の口から溢れた言葉は拒絶だった。
(好きな人が居るくせに……)
触れられたく無い。
そんなドロドロとした感情が湧く自分も、自分の事なのに制御出来なくなりそうな感情も怖くて嫌だと思った。
「キミが俺を避け続けると妖力が足りなくなってまた寝たきりになってしまうよ?」
「……」
ミタマの言う通りだ。
妖力の切れた紗紀は無力だ。
自分の体一つ満足に支え切れない。
分かっている。
痛いほど良く分かっていた。
紗紀は意を決してミタマを見る。
「他の人に貰います」
「なっ!」
紗紀のまさかの発言に言葉をなくすミタマ。
「紗紀」
「離してください」
「……紗紀、初めの頃……言っていたよね。何か欲しいものは無いかって」
そう言えば、と紗紀は思い出す。
確かにそんな事を言った。
ミタマにはたくさんお世話になって迷惑もかけたから、何かしたいとそう思っていた。
「まだ有効なら、頼むよ。話を聞いて欲しい」
「……」
「もう遅いかい?」
「……分かり、ました」
自分が言い出した事でもあって、無碍には出来なかった。
紗紀にとって居場所だと思えたのも、安心をくれたのも、素直に笑えたのも嬉しいと思えたのも、ミタマがそこに居てくれたからだ。
優しく、時には叱りもし、けれどいつだって紗紀を甘やかした。
かけがえの無い存在だ。
話をする事でその恩の一部が返せるのなら、それでいいのかもしれないと観念した。
「……ありがとう。じゃあ俺の部屋でいいかい?」
「はい」
「優一。悪いけど彼女を借りるよ」
「どうぞ。俺のせいで避けられてると思っていたんだけど、きみも紗紀と色々あったんだ?なんだか少し肩の荷が降りたよ」
優一に悪気は無いのかもしれないが、ミタマは牽制されたような気分になった。
自分も紗紀と色々あったのだ、と。
「本当にすみません」
紗紀は自分が居ない間に食卓で何かあったのではないかとハラハラした。
二人が避けられていると感じているのだから、他のみんなも何かしら察しているに違いない。
(優一さんやミタマさんが責められてなければいいんだけど……)
そうして二人は優一と別れ、ミタマの部屋へと向かった。
◇◆◇
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