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第七話:救援に来た男。
07救援に来た男。
しおりを挟むミタマ達のおかげで妖怪の数は残り二体に減っていた。
「やはり戦える頭数がいるのは良いね」
青年が羨ましそうにそう言う。
紗紀は誇らしい気持ちになった。
自分の仲間が評価されている事が嬉しい。
少し離れた距離から狐火を繰り出す紗紀。
「紗紀ちゃん!?」
変化をしている紗紀を見て驚く七曲。
その油断した隙に妖怪から攻撃を受けて飛ばされる。
「七曲さん!!」
紗紀は飛ばされた七曲へと駆けつけた。
けれど七曲は意外と平気そうだ。
舌をペロリとして切った唇の端を舐める。
「コイツら大きくて数いるけど意外と力は弱いんだ。だから平気だよ」
「そうなんですね」
「それよりも紗紀ちゃん、妖力が不足してたんじゃ……?」
そう言ってる間にもミタマと九重、そして加勢に入った青年が残りの妖怪を倒してしまった。
結局何の力にもなれなかった事に肩を落とす。
「紗紀……!」
「……ミタマさん」
いの一番に駆けつけて来たミタマは血相を変えていた。
紗紀のその唇に指先で触れる。
「あ、あの……!?」
「その妖力……。解術して」
「か、解術」
普段と違う様子のミタマに困惑しつつも術を解く紗紀。
たまに見せる冷酷な彼の言葉に身震いした。
言われたとおり術を解けば体から力が抜けて、紗紀は意識を失った。
倒れ込む紗紀をミタマは受け止めるとそのままゆっくりと横抱きにする。
「え!彼女大丈夫なの!?」
慌てて駆け付ける青年に、ミタマはそっぽを向いた。
ミタマは怒っていた。
勝手に力を与え無理をさせた事に。
そんなミタマの態度に青年は不思議そうに首を傾げる。
「そう言えばきみが彼女の狛犬だね。初めまして。僕は柳瀬優一。これからよろしく頼むよ」
ほわんとした穏やかな笑顔を浮かべる彼、優一。
ミタマはそんな彼に冷めた視線を送った。
「勝手な事をされたら困るよ」
「え?……ああ、妖力の事?彼女……白花さんが困ってるみたいだったからつい。ごめん?」
悪びれた様子も無く小首を傾げる優一。
ミタマは何か言いたげに彼を見たが、小さな溜め息を周りに分からない程度についてから礼を述べた。
「助けに来てくれたんだね。ありがとう。そちらが危機の時にはこちらも助太刀に参るよ」
「ありがとう。このまま戻るつもりだったんだけどね、転移装置がまだ完全じゃないみたいだ。…… …エラーして戻れない」
「は?」
エラーと言う横文字に頭が一瞬ついていかなかったが"戻れない"と言うその言葉に居合わせた全員が優一を見た。
優一は申し訳なさそうに頭をかく。
「……それってその何とか装置が起動するまでここに居るってコト?」
七曲が簡潔にまとめる。
「そうなると思う。えーっと、お世話になります」
優一はぺこりと頭を下げる。
こうして新しい仲間が加わる事となった。ミタマの不機嫌が一気に加速した。
◇◆◇
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