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第七話:救援に来た男。
04救援に来た男。
しおりを挟むそうして日が暮れた頃。
シャンと鳥居の方で例の鈴の音が鳴った。
紗紀は目が覚める。
気怠げな体を無理矢理起こして、這うように廊下へと出た。
(妖怪だ。それも妙に禍々しい)
戦わなければならない。
襟の合わせ目に手を忍ばせて、御札を探る。
「紗紀!……今のキミじゃ無理だ。今日は休んでいてくれ」
紗紀を見つけたミタマが彼女の肩を掴んだ。
けれど紗紀は頭を左右に振るう。
(役立たずは嫌だ。足手まといは嫌だ)
それがどうしても脳裏を過る。
「……紗紀、頼む」
「……」
それはミタマの必死の懇願だった。
「……嫌です!これは、私のお仕事で……。だから、私から居場所を取らないでください!」
ミタマにしがみついてふらふらな体を支えながらも叫ぶ。
「……」
「ここでも必要とされなくなったら私……、私は……」
「ミタマお兄ちゃん!!」
「分かっている。雪音と七曲は先に行ったよ。だから大丈夫。マミとカイリはここで紗紀を見ていてくれ」
「……うん!!分かった!」
走り寄って来たマミとカイリに紗紀を頼む。
ミタマは自分の胸倉にしがみついていた紗紀の手を剥がした。
「ミタマさん!」
「……紗紀、後でキミに伝えなければならない事がある」
「……」
「悪いけど、もう行かないと」
そう言って彼女の手を、マミとカイリに託してミタマは駆け出した。
マミとカイリは紗紀を両隣から支え、部屋へと促した。
妖力が足りなくなるとこうも体に力が入らなくなるとは思いもしなかった。
ここ数日は立て続けに妖力を補給していたから気付かなかった。
(この体のダルさはいつになれば回復するのかな?)
そう不安に思うのもつかの間、ふと、違和感がした。
この神社に来て感じた事のない気配。
それは嫌なものでは無さそうだ。
(拝殿からだ)
マミもカイリも感じ取ったのか耳がぴくぴくと動いている。
「マミちゃん……カイリくん。……拝殿に連れてって」
「え!でも……」
「……分かったー」
紗紀の願いに困惑するマミ。
しかし、それを気軽にカイリは承諾した。
「カイリ!!」
マミはカイリを咎めるように名を呼ぶ、けれどカイリは不思議そうに首を傾げてみせる。
「だってータマより紗紀の方が上だよ。ぼくらは紗紀に降ったんだから。紗紀の願いは絶対。そうでしょー?」
「……それは、そうだけど……」
マミが言い淀む。
「ありがとう」
紗紀のお礼にマミは何も言えなくなった。
◇◆◇
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