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第六話:九尾狐。

13九尾狐。

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「あ!戦うと言っても私の場合は操られた妖怪を正気に戻して仲間になってもらっているので、ただ妖怪を退治する訳で無いと言いますか……。最終的には封印を解こうとしている相手と戦う事になると思うんです。だから……」


紗紀は慌てて訂正をした。


(誤解を招いたら大変だ)


助太刀すけだちしてくれと?」


九尾狐の疑問に紗紀は強く頷いてみせた。


(仲間は一人でも多い方がいい。きっとどんどん強い者と戦う事になるはずだから)


「敵はきっと強大なので強いあなたの力を借りたいです。お願い出来ませんか?」


紗紀の願いに九尾狐は黙る。

やはりそう簡単には頷けないだろう。

今までは何故なぜかトントン拍子に上手いこと事が進んだけれど、本来ならば断られたっておかしくない内容だ。


「それは俺に何か得があるのか?」

「得……」


パッとは思いつかず、今度は紗紀が黙り込む。


「う~んそうだねぇ。強いて言うならばキミを操った黒幕が分かるし、あわよくばその手にかけられるし、何よりここに入れば紗紀ちゃんの美味しい手料理を堪能たんのう出来るよ!」

「え?」


突然話に割って入って来たのは塗壁ぬりかべの七曲だった。

両脇にユウリとムジナを抱えている。

その背後には雪女の雪音も立っていた。


「七曲さんに雪女さん!!ご無事だったんですね!……良かった。ユウリくんとムジナくんは……?」

「気を失ってるだけだよ~」


七曲の言葉に紗紀はホッと安堵あんどする。


「……大した利点は無いようだな」


九尾狐の言葉にみんなが彼を見た。


(利点か……)


紗紀が諦めかけたその時、七曲がさらにもう一押しする。


「あの天狗のおじさん出てきたら、かなり鬱陶うっとおしいと思わない?可能ならば一生眠っててくれればいいのにさ。このままじゃご対面するのも遅かれ早かれだろうねぇ」


困ったなぁ~なんて肩をすくめて見せた。

またもやしばしの沈黙が続く。

どうやら七曲の言葉に思い当たるふしがあるらしい。

腕組みして悩む九尾狐。


「……はぁ。それもそうだな。面倒ごとに巻き込まれたからには借りは返す」


「やった~!!そう来なきゃ。でもね、この神社で過ごすには彼女に使役しえきされなきゃなんだけど……?」

「使役だと?」


九尾狐は眉間に深くしわを寄せて不機嫌になった。

それはそうだ。

誰かの下に付くなんて面白いはずが無い。


(使役をせずに結界内に入れる方法は無いかな?)


紗紀は考えを巡らせる。


「……結界を張らなければいい」


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