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第五話:友達と雪女。
07友達と雪女。
しおりを挟む「あ、今来た人で全員集合かな?……でも、最初に会った人にあんな人いたっけ?」
灯の発言にその人を見る。
穏やかな顔立ちの青年だ。
特にこれといった特徴と言えば左目の下の泣きぼくろくらいだろうか。
確かに見覚えは無かった。
そう言えば学生服を着た子が居た気がするけれど見当たらない。
そう思っているとガチャリと扉の開く音がした。
視線を向ければ例の恰幅のいい男性が穏やかに笑う。
心臓が跳ねた。
小さく会釈をして慌てて視線を扉へと移した。
「お集まり頂き誠にありがとう!さて今回、報告する事が二点。まず一点目は……残念な事に妖怪に殺された者が一名出た。よって新しい者がメンバーに加わっている」
ざわざわとみんなが周りを見渡した。
さっきの人かもしれないとそう思う。
それに関して政府側は特に"誰が"とは言及しなかった。
名前を言われたところでお互い自己紹介をしていなかった為、きっとピンとは来ないだろう。
紗紀はゾッとした。
そうだ。
一歩間違えれば死と隣り合わせだ。
今より強い相手が現れたら"説得"なんて甘い事なんか言ってられない。
どちらかが生きるか死ぬか。
きっとそうなる。
紗紀は急に不安に駆られた。
嫌な汗がどっと噴き出すのを感じる。
そして何よりこんな形で報告をされて終わってしまうのだ。
身寄りも無い紗紀は尚更元々この世界には存在しなかったかのような扱いになるに違いない。
それはなんて寂しい事だろう。
「そうしてもう一点。白花くんに話を聞かせてもらおうと思う」
(え?)
不意に聞こえた自分の名前と政府の視線、そして隣に座っている灯と楓の視線が紗紀へと向けられる。
ドクンと心臓が一際跳ね上がった。
さっきの比ではない。
何のことだか頭が回らず考えに及ばない。
「白花くん」
「は……はい」
思わずガタリと席を立つ。
みんなの視線が一気に集まって来たのが分かる。
足が今にもガクガクと震え出してしまいそうだ。
机に置いた拳をぎゅっとキツく握りしめる。
(何の話?)
「君は……妖怪を使役して尚且つ一緒に暮らしている、と日誌に書いていたな」
ざわっと一気に周りがざわつく。
コソコソと話し声が聞こえた。
紗紀はさーっと血の気が引いていくのが分かる。
(駄目、だったのかな?)
確かに何の質問もせず身勝手な行為だったかもしれない。
確認を取ってからするべきだった。
頭が真っ白になってただ突っ立っている事しか出来ない紗紀の肩に、ミタマが触れる。
その温かさにフッと体の力が抜けて緊張が少し柔らいだ気がした。
「……はい」
「え!妖怪を退治じゃなくて使役しちゃったの!?」
紗紀の返答に灯まで立ち上がって紗紀を見た。
その姿は責めていると言うよりもワクワクという興奮に近い。
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