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第五話:友達と雪女。

05友達と雪女。

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玄関へ向かえばみんなもバタバタと駆けつけてくれた。


「帰るまでここを頼んだよ」

「お任せあれ」


ミタマがみんなを見て一言告げれば、最初に声を上げたのは七曲だった。

自信満々に胸に手を当てて答えるけれど、ユウリがジト目で七曲を見て呟く。


「一番信用出来ないよね」

「ひっどぉ~い」


七曲はそんなユウリの対応に顔に両手を当ててメソメソなんて泣き真似をして見せた。


「じゃあ行ってきます」

「行ってらっしゃい」


紗紀の一言にみんなが口を揃えてそう返してくれた。

それが本当に家族のようで、なんだかいいな、なんて心がじんわりと温かくなる。

紗紀とミタマは玄関を出て拝殿へと向かった。


拝殿はいでんに足を踏み入れると、光に包まれて圧迫される感覚と共に意識が遠のいていく。

なんだか懐かしいその感覚に初めて転移装置に足をみ入れた事を思い出した。


(そうか、本当に戻るんだ。私が住んでいた世界に……)


そこにはやっぱり嬉しい気持ちは微塵みじんも存在しなかった。


 ◇◆◇


目が覚めるとそこは記憶にまだ新しい。

緊張して訪れたあの高いビルの中。

肩を数回叩かれる感覚がして、顔を上げればそこには見覚えるある女の人が立っていた。


「大丈夫?気分は?」

「……大丈夫ですって、えぇええええっ!?あの、ミタマさん!?」


紗紀の奇声きせいが静かな室内に響く。

慌てて口を塞いで再度状況を確認した。

ミタマにお姫様抱っこをされている。

何がおきてそうなったのか皆目検討も付かない。


「あっはは!元気そうで何より。久しぶりね。あたしは村椿灯むらつばき。こっちに来なよ。次の人がつっかえちゃうから」


灯と名乗る女性が手を差し出すは豪快に笑うと、手招きをした。

ミタマが紗紀を見る。

紗紀の出方を伺っているようだ。


「あの、とりあえず降ろしてもらっても……?」

「立てそうかい?」


ミタマは指示通りゆっくりと紗紀を床へ降ろした。

しっかりと床を踏みしめ、確認するように立つ。


「大丈夫そうです」

「なら良かった」


そう言いつつも紗紀の隣に立つミタマ、エスコートをするように彼女の腰を支えている。


「……近いです」

「……」


ミタマはにこりと笑うだけで何も言わない。


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