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第四話:ぬりかべ。
13ぬりかべ。
しおりを挟む「それにボク図体がデカイからさ、そういう遊びなら一人でも出来るし?」
「え?」
不思議な事を言い出す七曲を紗紀はマジマジと見る。
どっからどう見ても人のサイズとそう変わらない。
それにマルチーズのような姿の時は普通に犬と同じ大きさだった。
「フフフフッ!どこがそんなに大きいの、って?そりゃあ元の姿だよ!さっき見たのは弱ってたボクの姿。元気な時はもっともっと大きいんだから!」
両手を広げてそう言う七曲。
紗紀は想像して見た。
けれど頭に浮かぶ塗壁は四角い壁に手足が生えているソレである。
「やっぱりイメージと違う……。私の知ってるぬりかべじゃない」
「えぇ~塗壁だよー?塗壁のお兄さんだよ?」
「そしてこんなノリノリなキャラだなんて思いもしなかった」
「押し付けは良くないよ。現実を受け入れて。それにボク一人が塗壁なワケじゃないからね!もっと君の理想とする塗壁だってきっといるはず!……とても、残念だけど」
しゅん、とされると思いのほか胸が痛む。
「……ご、ごめんなさい。そうですよね。確かに勝手にこれが当たり前だ、って思ってました。でも違ってもいいですよね」
「ホントーにそう思ってるー?」
「ひいっ!!」
突然至近距離に近付き首を傾げる七曲に思わず本気で悲鳴を上げた。
三つの目で詰め寄られると思いの外怖い。
そんな七曲を引き剥がすミタマ。
あーれ~、なんて口にする七曲は割と楽しんでいた。
「オレたちは人間に化けて遊んでる子供達の輪に加わってバレないかって遊びをしてるよな!」
「後は驚かすのも楽しいよ」
七曲の話が一旦落つくと今度はムジナとユウリが楽しげに語る。
やっぱり楽しいが先立つのか、と紗紀は思った。
そして考え込む。
妖怪達と人間の共存を。
「人間の驚いた姿を見るのが楽しいなら肝試しみたいなノリで妖怪のテーマパークとか楽しそうだよね!後は立ち入り禁止区域の廃病院や学校にわざわざ遊びで来る人達を立ち入らせないように警備として配置させるのも有りかも?」
紗紀の提案に、あ、本格的に考え出した。
とそこに居た妖怪達は思ったのは言うまでもない。
「でも楽しそう!」
そう言って紗紀の腕に抱き着くマミ。
マミの笑顔を見るといつかこうして共存が当たり前になったらいいなとそう思ったのだった。
◇◆◇
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