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第四話:ぬりかべ。
05ぬりかべ。
しおりを挟む「自己紹介も済んだようなので席に着いて」
ミタマがみんなに声をかけると、化け狸達はさっとそれぞれ席へと着いた。
ミタマと紗紀も定位置へと座る。はたから見ればちょっとした家族団欒のようだ。
「では、合掌。いただきます」
ミタマが音頭を取り、それに合わせてみんな合掌をして『いただきます』を口にする。
テーブルの上には、しいたけと人参、鯛の身の炊き込みご飯と煮物にあさりのお味噌汁。
そして鰹節の乗った冷奴が置かれていた。
「煮物、中まで味が染みていて美味しいですね。この炊き込みご飯、しいたけとこの魚……」
「鯛だよ」
「タイのだしがコクと旨味が出してて美味しい……」
「本当、毎回感心する感想をありがとう紗紀」
うっとりと美味しそうにご飯を食べる紗紀にミタマは満足そうだ。
相変わらずにこにこしている。
「このにんじん、さくらの型取りしたのー」
「私とカイリでしたんだよ!」
カイリとマミが桜の形の人参を箸で掴んで見せる。
その表情はキラキラとしていて満面の笑顔だった。
「すごく可愛いね!美味しいよ」
「おれとユウリは廊下掃除したんだよな!」
「雑巾掛け競争はどうかと思うけど」
「あんなんダラダラやってられっかよ!」
ムジナが自分も自分もと挙手をするが、ユウリは溜め息混じりにムジナをたしなめる。
そんなユウリの発言にムジナは腕組みしてそっぽを向いた。
紗紀はそんな彼らのやり取りを見て兄弟っていいな、と羨ましく思った。
言いたい事を言い合えるってなんだかとても良い事だ。
それに、 ミタマ一人が大変な思いをしなくて済んで良かったと思う。
「嬉しそうだね」
「はい!とても。人数が多いと賑やかですね」
「そうだね」
紗紀が笑ってそう言えば、ミタマもいつものようににこりと笑い返した。
「さて、この後だけど稽古をしよう。キミ達もね」
ミタマが両手を合わせて提案すれば、みんなそれぞれに賛成した。
◇◆◇
食事を終えるとマミとムジナがお皿洗いを請け負ってくれた。
ユウリとカイリ、そしてミタマと共に外へと向かう。
「まずカイリとユウリ、紗紀の姿に変化をしてみてくれるかい?」
「うん」
「……わかったー」
カイリとユウリは懐から葉っぱを取り出すとそれを頭に乗せて目を閉じた。
それと同時に煙りに巻かれたかと思うと次に現れたのは紗紀と同じ姿をしたユウリと、耳と尻尾が隠せていないカイリ。
「わ、私だ……!!」
(ケモ耳を付けた私が居る……!!)
紗紀はなんだかとても気恥ずかしく思った。
鏡では良く見ていたものの自分とは違う動きをする自分にとても変な感じがする。
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