～巻き込まれ少女は妖怪と暮らす～【天命のまにまに。】

第三話：化け狸。

09化け狸。

（ああ、良かった）


そう安堵する紗紀。

すると安心したからか力が抜けて、ぐらりと後ろへ倒れ込む。

紗紀の姿は力が不足した為か、いつもの人間の姿に戻っていた。

地面に着く前にミタマが紗紀を受け止める。

力を使った上に四匹を使役したのだ。

今まで以上に力を使ったに違いない。


（それにしても、戦った上に四匹も使役出来るとは……）


随分体力が付いたものだと感心する。


「お姉ちゃんどうしたの！？」

「体調悪ぃのか！？」

「痛い痛いなのー？」


子狸達がそれぞれに心配の声を上げオロオロとする。

自分たちのせいかもしれないと思っていた。

ミタマは紗紀を抱き上げると子供達に声をかけた。


「彼女は大丈夫だよ。少し眠れば良くなる。キミ達にはこれから手伝ってもらう事がたくさんあるよ」

「任せて！」

「やってやろーじゃん！」

「出来ることがあるならやるよ」

「がんばるー」


ミタマの言葉にそれぞれ覚悟を示す。

ミタマはどこか満足そうににこりと笑った。


「それじゃあ、ついておいで」


一斉に返事をして頷くと、ミタマの跡を追う四匹。

これから紗紀とミタマ、そして妖怪の子供達との摩訶不思議な共同生活が始まる。