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第二話:決意と努力。

05決意と努力。

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ミタマが居間へ戻るとなぜだかご飯と味噌汁が二つずつ準備されていた。


「……なんで二つあるんだい?」

「え?……ご飯、食べないんですか?」

「俺はご飯は食べなくてもいいんだよ。元々物に宿った精霊だからね」

「えっ!?……精霊……?妖じゃ無いんですか?」

「うーん、似たようなもんだよ。人は妖とも呼ぶし。俺は稲荷神社の狛犬、狐の姿だからこのなりなだけで本当の妖狐と比べたら能力も妖力も月とスッポンの差なんだ」


通常の妖よりも物に宿った精霊は歯が立たない可能性があると、淡々と説明するミタマ。


「それってつまり、狛犬であるミタマさんは本物の妖狐には敵わないって……事ですか?」

「……うん。格好悪いよね」

「そんな事無いです。そんな事ない。私、頑張ります!」


耳が垂れるミタマに紗紀は慌てて首を横に振り乱した。

自分が目にしているミタマは少し意地悪だけれど紳士的で頼れる存在だ。


「……うん。ありがとう」


ミタマは紗紀を見る事なく曖昧に笑って見せた。


「そういえば、ミタマさんってお料理上手なんですね」


紗紀は分かりやすく話を他所よそへと移す。

その視線の先にはテーブルに並べられた料理があった。

テーブルにはお味噌汁に卵焼き、人参とゴボウの肉巻き、漬物まで用意されていた。

祖母と暮らしてた頃は紗紀が作っていたのもあって、こんなに種類豊富に料理を作ってはいなかった。

せいぜい一、二品だ。

祖母が亡くなってからは食欲も減り、食べない日も増えた。

ご飯にふりかけのみなんて良くある事だ。


「そうかい?普通だよ。それよりも温かいうちにお食べ」


そうは返すミタマだけれど、多少なりと自信もあって褒められることは素直に嬉しい。

自分が積み上げてきた物を他人から認められる事がこうも嬉しくあるとは思いもしなかった。


「ミタマさんはご飯食べなくても平気だと言ってましたけど……。食べれないわけじゃないんですよね?味もしないんですか?」

「食べる事は出来るよ。味も感じる。ただ必要性が無いだけだよ」


ミタマは困ったように肩をすくめて見せた。


「それなら、一緒にご飯を食べませんか?一人より二人の方が美味しいです。それに、一人で食べるのはとても寂しいです」


そう言う紗紀のどこか憂いのある表情に、ミタマは少し驚いたような表情をした。

けれど直ぐに素知らぬ顔をして笑顔でその提案を受け入れる。


「それがご主人様のお望みならば」

「……そうかしこまらないでください。居心地が悪いです」


困り顔をする紗紀にミタマは袖で顔を覆ってクスクスとどこか楽しげに笑った。


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