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第二話:決意と努力。

02決意と努力。

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「さて、ご飯の準備が出来たんだ。顔を洗っておいで」

「え……!ご飯作ってくださったんですか!?」


何から何まで申し訳無くて、その場で床に頭突きをくらわせる。

ゴツンと鈍い音が静かな廊下に響いた。


「ちょっ……何をしているんだい!?」

「……すみません。足手まといで……。私がするべき事なのに」

「謝罪なんていらないよ。俺は俺の仕事をしている。それだけの事だからね。キミが気に病む必要は一つも無いんだよ。ほら、顔を上げて」


顔を上げればミタマが困り顔で紗紀の額を撫でた。


「赤くなっているね。早く冷やさないと」

「顔、洗って行きます!先に行っててください」


真っ赤になったおでこを見られるのが恥ずかしくなって、慌てて顔を手のひらでおおう。


「……ふふ、分かったよ。じゃあ居間に居るね」

「はい。あ!」

「……どうしたんだい?」

「あの、お願いがあるのですが」

「ん?何かな?」


不思議そうに小首を傾げてみせるミタマに紗紀は少し間を置いて決意を固めた。


「ハサミを借りれませんか?」

「ハサミ?」


ぱちぱちと瞬きを繰り返すミタマ。

何に使う気だろう?と口にしなくてもそう言いたげな事は見てとれた。


「いいけど。危険な事はしないよね?」

「はい」


心配そうにマジマジと見つめるミタマに、紗紀は力強く頷いてみせた。

それだけは絶対約束出来る。


「分かった。じゃあ、待ってるよ」


洗面所で洗顔を終え、鏡を見つめる。

そこには長い黒髪に大人しそうな顔立ちの少女が立って居た。

額は床に頭突きをしたせいか真っ赤だ。

昨日泣いたからか目元がれていて赤い。

けれど、ミタマに会う前に鏡を覗いた時とは表情が明らかに違った。


(甘えてばかり居るんじゃなく、決められた事だけこなすのでは無く、自分で考えて人生を選びたい)


紗紀はそう強く思った。そうしてミタマとの約束通り居間へと足を向けた。


◇◆◇

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