心友

秋月

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『心友』

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『友』
それは自分の人生においてのかけがえのない大切な人であり宝。








「えー、また行くの?」

「いいじゃないまた飴貰えるわよ?」

「んー…」

母の仕事は看護師。月曜日から金曜日までで土日は休み。とても一般的だ。
そして今日は土曜日
土曜日と言えば家族でどこかに出かけに行ったりするのに母は何かと理由をつけてはよく仕事場に私を連れていく。
いや、仕事場に行くというよりもその場所に同僚や友達がいるから会いに行っていると言った方が正しい。

「ねえ、何でそんなに仕事の所に行くの?」
「そりゃ皆とお話したいからよ」
「お話楽しいの?」
「楽しいよ。皆と愚痴ったり昔話をしたりするのが母さんにとってはストレス発散なのよ」
「ふーん…」
(いつも会えてるから良いじゃんそれより遊園地とかに行きたいよ。)

分からなかった。母がなぜいつも会えてるであろう人達の所にせっかくの休みまで逢いにいくのか。


「あ、ゆきちゃーん!」
「みっちゃんお疲れ様、暇だから来ちゃった」
「皆喜ぶわよ、丁度凛ちゃんも来てるしお昼休みに部屋で話しましょ」
「凛も来てるの?貰い物のお万寿持ってきたから待ってるわね」

やったーと嬉しそうに同僚である女の人は私達に手を振ったあと仕事に戻って行った。
母も手を振り返した後いつも自分が使っているであろう部屋へと入っていく。

「あら、ゆきもきたの」
「丁度お隣さんから昨日お土産のお万寿貰ったからおそそわけと思ってね」
「あら秋ちゃん?今日はこれあげるわね、はい」

そう言って苺味の飴をくれたこの人は母の保育園からの友人の凛さん。
この人も母と同じ看護師だ。働いている場所は違うけどこうして月に何度かここに訪れる常連の様な人。
すっかり母以外の仕事場の人とも仲良くなっている。

「ありがとうございます」
「秋ちゃんは本当に可愛いわね」

とても優しくていい人。
いつも私にこの苺味の飴をくれる
お陰でこの苺飴が私は大好きだ


「はぁ疲れたわー」

昼休みに入ったみっちゃんさんが部屋に入ってきた

「みっちゃんお疲れ様。はいこれお万寿」
「ありがとう。甘い物大好きだから嬉しいわ」

美味しそうに食べている。
そして母の後輩や同僚の方達がぞろぞろ入ってくる。
こうなれば後はただひたすら話すだけ
いつもの事だが何故飽きないのか。

「本当に!?先生がやだもうー」

早速一番話のネタであるこの病院の先生の話が始まっている。

そして話して話して昼休みはあっという間に終わる。

「あらもうこんな時間?そろそろ仕事に戻らないと」
「じゃ次は月曜日ねお疲れ頑張って」

そう行って同僚や後輩達に母は笑顔で手を振り駐車場に停めてある車へと凛さんと移動する。

「凛はこの後どうするの?」
「そうね、子供達も家にいるし久しぶりに私の家でご飯食べていかない?」
「あらいいの急にお邪魔しても」
「ゆきなら全然おKよ。秋ちゃんもくるなら子供たちも喜ぶわ」




(つづく)
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