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that day
大輝
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「大輝が優しくて、大切にされてるみたいで嬉しい」
泣き出してしまったせいで怯えさせてしまったのかと焦るけれど、怖くないと伝えてくれた紗凪はさらにそんな可愛い言葉を続ける。
「みたいじゃなくて、大切にしてるの」
どれだけ紗凪を大切に想っているのかを言葉にして伝えるけれど、紗凪が何を考えているのかはなんとなく理解していた。
オレが触れることを許してくれたものの、唇が触れる度、指先が触れる度に少しだけ戸惑いが伝わるのは慣れた手順と違っているからだろう。
初めての相手との行為でそれまでの相手と比べられることなんてよくある事だし当たり前のことで、そんな事は何度も経験してきたし、今までは平気だったのにそれが面白くないと思ってしまう。
比べられないほどに、思い出せないほどに翻弄して、オレのことしか考えられないようにしたいと思ってしまう。
「でも、これから全部塗り替えて、オレのことしか考えられなくするから」
紗凪が口にしなかったことに気付いていると指摘はしなかったけれど、それが伝わっていると遠回しに告げてみる。
自分の考えていたことが伝わっていたことに気不味そうなそぶりを見せた紗凪に「滅茶苦茶甘やかすから」と告げて愛撫を再開する。
大切に、大切に。
怯えさせないように、壊さないように。
紗凪の反応を見ながら舌を這わせ、指を走らせ、少しの反応を見逃さずに紗凪を蕩けさせていく。
怯えさせないようにパジャマを脱がせ、翻弄しながら下着も抜き取る。
何も身に付けていない紗凪の肌は滑らかで、そこに唇を押し当て、自分のものだと誇示するように跡を残していく。
首筋に、鎖骨に、胸元に。
指で捏ね、舌を這わす。紗凪を啼かせたくて弄んだ胸の飾りは赤く熟れ、少しの刺激で声が漏れる。
遠慮がちに漏らしていた吐息が小さな声になり、抑えきれない喘ぎになっていく。
「大輝、」
抑えられない声の合間に呼ばれる名前がこんなにも嬉しいなんて。何度も何度も、それこそ出会ってから数えきれないほど呼ばれてきた名前なのに、それを口にする紗凪が愛おしい。
すっかり昂り、鈴口から溢れた透明な液が腹を汚しているためそれを舐め取る。何をされているのか分かったのか、身じろぎしたけれど、舐めてもまた腹を汚す液を指に絡め後孔の縁をなぞる。
自分で支度をすると言った後孔は抵抗なく指を飲み込み、反応を見ながら指を動かし、増やしていけばその声は一段と艶を帯びていく。
正直なところ、上手くできなかったらどうしようかと思わないでもなかった。
自分の中での紗凪の存在が大き過ぎて、理性が保てなかったらと心配もした。
あの人との違いに紗凪が怯えたらすぐに止めようと決めていたけれど、自分を抑えることができなかったら。
慣れない行為に紗凪が戸惑い、拒否の姿勢を見せた時に無理にことを進めようとしてしまったら。
「だいき…、ゆめみたい、」
そんな心配をよそにそんな可愛いことを言う紗凪に試されているのかと思うけれど、その顔を見れば蕩けたような顔で。そろそろ大丈夫かとサイドテーブルからゴムを取り出す。
オレの動きで次の行為に気付いたのだろう。
「それ、いやだ、」
小さな声で、それでもそう言われてしまい戸惑ってしまう。基本的な知識として同性との行為であっても相手のことを守るためにゴムが必要だとちゃんと知識はあるし、そこはマナーだと思っている。「でも、」と戸惑いを見せたオレに「だって、最後かもしれないんだよ?」と涙を浮かべた紗凪に「おねがい、」ともう一度強請られてしまう。
「だって、お腹痛くなるんじゃないの?」
「え、………そうなの?」
「知らなかった?」
「だって、」
そう口籠ると「いつも使ってたから、」と口にする。
当然だけど比べられることは分かっていた。そのせいで消極的になることはあっても、こんなことを言われるなんて思ってもなかった。
「紗凪がオレのせいで体調崩すとか嫌だからダメ、」
「でも、」
と一度言葉を止めた紗凪だったけど、おずおずと「無い方が良いんじゃないの?」と言い出す。
確かに一般的に無い方が良いと言うけれど、マナーとして使わないという選択が無かったオレには答えようが無い。それに、無い方が良いとしたら今日のオレにその選択は危険だ。
「そうみたいだけど、使わずにしたことないから知らない」
さっきまでの甘い雰囲気はどこに行ったのかと思うような沈黙に耐えかねて「何言わせるんだよ、」と苦笑いが漏れる。
「だって、大輝に気持ち良くなって欲しいから、」
蕩けた顔を見せていたはずの紗凪が拗ねたようにそう言った時に目が合い、ふたり揃って吹き出してしまった。
「ムード無いなぁ」
手に持ったソレを見せ、「でも、無いとそんなに気持ちいいならすぐイっちゃいそうだから、付けるよ?」と紗凪に見せるようにしてゆっくりとゴムを付ける。
「エッチ、」
それの様子、というか付けるところを凝視している紗凪にそう言ってみると顔を真っ赤にするものの目を逸らすことはなく、その視線を感じながらゴムを付けた昂りをゆっくりと胎に埋めていく。
抵抗なく受け入れるのは自分がゆっくり蕩けさせたせいだと思いたいけれど、それ以前のあの人との行為の影響だなんて本当は分かっている。その事に嫉妬を感じないわけでは無いけれど、あの人が愛した以上にオレが愛せばいいだけのことだ。
「痛くない?」
ゆっくりと進めながら様子を伺えば、さっきまでの間抜けな言い合いを忘れたかのように蕩けた顔を見せ「痛くないし、嬉しい」と涙を溢す。
情緒不安定な紗凪のことが心配にならないでもないけれど、きっとあの人が自分よりも姉を優先した時から不安で仕方なかったのだろう。
オレと彼女の仲を少しだけ邪魔したかったと言っていたけれどそれだって諸刃の剣で、オレが断っていたら更に傷付くだけなのに、それなのにここに来たのは無意識にオレを頼ってのことだったはずだ。
ゆっくりと押し進め、肌が密着したことを実感してから紗凪を抱きしめる。このまま腰を打ち付けたい衝動に駆られはするけれど、それ以上に紗凪の中を感じたくて繋がったままその様子を観察する。
紗凪の中は狭くて、熱くて、「全部入ったよ」と耳元で囁けば中がきゅっと収縮し、その熱さにこちらまで声が漏れそうになる。
「紗凪の中、気持ちいい」
「オレの形、ちゃんと覚えてね」
何か言うたびに反応することが可愛くてわざと言葉を重ねると「大輝、喋り過ぎ」とキスをせがんでくる。
その様子も可愛くて繋がったまま執拗に唇を重ねれば、それに応えるかのように紗凪の中も反応する。
「ごめん、オレが耐えられない」
キスの最中もゆるゆると腰を動かしはしたもののもっと紗凪を啼かせたくて、もっと紗凪を翻弄したくて少しずつその動きを大きくしていく。
甘さを増す声と、絡められる指。
紗凪の表情を見たくてその顔を覗き込めば恥ずかしそうに目を逸らすけれど、恥ずかしがることもできないほどに紗凪が反応するところを執拗に刺激する。
「だいき、」
「だいき、」
甘い声の合間にオレの名前を呼ぶことしかできなくなった紗凪はオレの名前を呼びながら一際高い声を上げ、白濁を吐き出すのを見てオレも抑えていた欲を放つ。
余韻が去りきらない紗凪は声にならない呻きを上げるけれど、その身体を抱きしめ、最後の一滴まで注ぐつもりで腰を押し付ければ縋るように背中に腕を回す紗凪が愛しかった。
泣き出してしまったせいで怯えさせてしまったのかと焦るけれど、怖くないと伝えてくれた紗凪はさらにそんな可愛い言葉を続ける。
「みたいじゃなくて、大切にしてるの」
どれだけ紗凪を大切に想っているのかを言葉にして伝えるけれど、紗凪が何を考えているのかはなんとなく理解していた。
オレが触れることを許してくれたものの、唇が触れる度、指先が触れる度に少しだけ戸惑いが伝わるのは慣れた手順と違っているからだろう。
初めての相手との行為でそれまでの相手と比べられることなんてよくある事だし当たり前のことで、そんな事は何度も経験してきたし、今までは平気だったのにそれが面白くないと思ってしまう。
比べられないほどに、思い出せないほどに翻弄して、オレのことしか考えられないようにしたいと思ってしまう。
「でも、これから全部塗り替えて、オレのことしか考えられなくするから」
紗凪が口にしなかったことに気付いていると指摘はしなかったけれど、それが伝わっていると遠回しに告げてみる。
自分の考えていたことが伝わっていたことに気不味そうなそぶりを見せた紗凪に「滅茶苦茶甘やかすから」と告げて愛撫を再開する。
大切に、大切に。
怯えさせないように、壊さないように。
紗凪の反応を見ながら舌を這わせ、指を走らせ、少しの反応を見逃さずに紗凪を蕩けさせていく。
怯えさせないようにパジャマを脱がせ、翻弄しながら下着も抜き取る。
何も身に付けていない紗凪の肌は滑らかで、そこに唇を押し当て、自分のものだと誇示するように跡を残していく。
首筋に、鎖骨に、胸元に。
指で捏ね、舌を這わす。紗凪を啼かせたくて弄んだ胸の飾りは赤く熟れ、少しの刺激で声が漏れる。
遠慮がちに漏らしていた吐息が小さな声になり、抑えきれない喘ぎになっていく。
「大輝、」
抑えられない声の合間に呼ばれる名前がこんなにも嬉しいなんて。何度も何度も、それこそ出会ってから数えきれないほど呼ばれてきた名前なのに、それを口にする紗凪が愛おしい。
すっかり昂り、鈴口から溢れた透明な液が腹を汚しているためそれを舐め取る。何をされているのか分かったのか、身じろぎしたけれど、舐めてもまた腹を汚す液を指に絡め後孔の縁をなぞる。
自分で支度をすると言った後孔は抵抗なく指を飲み込み、反応を見ながら指を動かし、増やしていけばその声は一段と艶を帯びていく。
正直なところ、上手くできなかったらどうしようかと思わないでもなかった。
自分の中での紗凪の存在が大き過ぎて、理性が保てなかったらと心配もした。
あの人との違いに紗凪が怯えたらすぐに止めようと決めていたけれど、自分を抑えることができなかったら。
慣れない行為に紗凪が戸惑い、拒否の姿勢を見せた時に無理にことを進めようとしてしまったら。
「だいき…、ゆめみたい、」
そんな心配をよそにそんな可愛いことを言う紗凪に試されているのかと思うけれど、その顔を見れば蕩けたような顔で。そろそろ大丈夫かとサイドテーブルからゴムを取り出す。
オレの動きで次の行為に気付いたのだろう。
「それ、いやだ、」
小さな声で、それでもそう言われてしまい戸惑ってしまう。基本的な知識として同性との行為であっても相手のことを守るためにゴムが必要だとちゃんと知識はあるし、そこはマナーだと思っている。「でも、」と戸惑いを見せたオレに「だって、最後かもしれないんだよ?」と涙を浮かべた紗凪に「おねがい、」ともう一度強請られてしまう。
「だって、お腹痛くなるんじゃないの?」
「え、………そうなの?」
「知らなかった?」
「だって、」
そう口籠ると「いつも使ってたから、」と口にする。
当然だけど比べられることは分かっていた。そのせいで消極的になることはあっても、こんなことを言われるなんて思ってもなかった。
「紗凪がオレのせいで体調崩すとか嫌だからダメ、」
「でも、」
と一度言葉を止めた紗凪だったけど、おずおずと「無い方が良いんじゃないの?」と言い出す。
確かに一般的に無い方が良いと言うけれど、マナーとして使わないという選択が無かったオレには答えようが無い。それに、無い方が良いとしたら今日のオレにその選択は危険だ。
「そうみたいだけど、使わずにしたことないから知らない」
さっきまでの甘い雰囲気はどこに行ったのかと思うような沈黙に耐えかねて「何言わせるんだよ、」と苦笑いが漏れる。
「だって、大輝に気持ち良くなって欲しいから、」
蕩けた顔を見せていたはずの紗凪が拗ねたようにそう言った時に目が合い、ふたり揃って吹き出してしまった。
「ムード無いなぁ」
手に持ったソレを見せ、「でも、無いとそんなに気持ちいいならすぐイっちゃいそうだから、付けるよ?」と紗凪に見せるようにしてゆっくりとゴムを付ける。
「エッチ、」
それの様子、というか付けるところを凝視している紗凪にそう言ってみると顔を真っ赤にするものの目を逸らすことはなく、その視線を感じながらゴムを付けた昂りをゆっくりと胎に埋めていく。
抵抗なく受け入れるのは自分がゆっくり蕩けさせたせいだと思いたいけれど、それ以前のあの人との行為の影響だなんて本当は分かっている。その事に嫉妬を感じないわけでは無いけれど、あの人が愛した以上にオレが愛せばいいだけのことだ。
「痛くない?」
ゆっくりと進めながら様子を伺えば、さっきまでの間抜けな言い合いを忘れたかのように蕩けた顔を見せ「痛くないし、嬉しい」と涙を溢す。
情緒不安定な紗凪のことが心配にならないでもないけれど、きっとあの人が自分よりも姉を優先した時から不安で仕方なかったのだろう。
オレと彼女の仲を少しだけ邪魔したかったと言っていたけれどそれだって諸刃の剣で、オレが断っていたら更に傷付くだけなのに、それなのにここに来たのは無意識にオレを頼ってのことだったはずだ。
ゆっくりと押し進め、肌が密着したことを実感してから紗凪を抱きしめる。このまま腰を打ち付けたい衝動に駆られはするけれど、それ以上に紗凪の中を感じたくて繋がったままその様子を観察する。
紗凪の中は狭くて、熱くて、「全部入ったよ」と耳元で囁けば中がきゅっと収縮し、その熱さにこちらまで声が漏れそうになる。
「紗凪の中、気持ちいい」
「オレの形、ちゃんと覚えてね」
何か言うたびに反応することが可愛くてわざと言葉を重ねると「大輝、喋り過ぎ」とキスをせがんでくる。
その様子も可愛くて繋がったまま執拗に唇を重ねれば、それに応えるかのように紗凪の中も反応する。
「ごめん、オレが耐えられない」
キスの最中もゆるゆると腰を動かしはしたもののもっと紗凪を啼かせたくて、もっと紗凪を翻弄したくて少しずつその動きを大きくしていく。
甘さを増す声と、絡められる指。
紗凪の表情を見たくてその顔を覗き込めば恥ずかしそうに目を逸らすけれど、恥ずかしがることもできないほどに紗凪が反応するところを執拗に刺激する。
「だいき、」
「だいき、」
甘い声の合間にオレの名前を呼ぶことしかできなくなった紗凪はオレの名前を呼びながら一際高い声を上げ、白濁を吐き出すのを見てオレも抑えていた欲を放つ。
余韻が去りきらない紗凪は声にならない呻きを上げるけれど、その身体を抱きしめ、最後の一滴まで注ぐつもりで腰を押し付ければ縋るように背中に腕を回す紗凪が愛しかった。
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捺之雨さん、感想ありがとうございます。
今回は紗凪以外はそれぞれ拗らせて身勝手な感情に振り回されながら話が進んでいきます。
それぞれの世界の終わりがどうなるのか、最後までお付き合いいただけると嬉しいです。