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【side:燈哉】庇護の強要と束縛。
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「燈哉、お前何してんだよ」
「羽琉に触るな」
大切に羽琉を扱っているのに伊織と政文の声は鋭い。そして、羽琉に意識がないのをいいことにふたりして威嚇してくるけれど、そんなものに動じるわけがない。
「羽琉は俺と一緒にいるって言ってくれたよ?」
羽琉を奪おうとするふたりにその意思を伝え、「今まで通り俺と過ごすって」とさも羽琉が言ったように伝える。俺の言葉に頷いたのだから嘘は言ってない。
「それは無理矢理、」
「違うよ?
羽琉の意思だ」
「なら何でそんな状態なんだ?」
俺が羽琉に向けた威嚇に気付いていたのだろう。咎めるようなことを言おうとするのを遮り「そろそろ教室に戻らないと不味くないか?」と言えばふたりは顔を見合わせる。
「羽琉は保健室に連れて行くから担任に言っておいてくれ」
αとしてのランクが似ている政文と絡むのが面倒で、俺よりも劣る伊織にわざと告げる。クラスが同じなのも丁度いい。
「あ、悪いけど俺の鞄、持っていっておいてくれる?」
そう言えば仕方なさそうに俺の鞄を拾い上げる。羽琉を抱き寄せた時にベンチに置いたままだったせいで腕の中に羽琉がいる状態では自分で持つことができないから丁度良かった。
「羽琉は今まで通り俺と過ごすって言ったし、保健室に連れて行くのはいつもの俺の役目だから、分かるよな?」
何か言いたそうにしていても羽琉の意思だと言えば従うしかないだろう。ふたりは羽琉のことを猫可愛がりしているからその意思を尊重するしかない。
「あとで羽琉に確認するから」
負け惜しみのようにそう言った伊織は羽琉のことを気遣わし気に見ていたけれど、「鞄、頼むな」と背を向ける。
こんな無防備な羽琉をいつまでも見せる気は無い。
いつまでも小さい羽琉は抱き抱えていてもその香りは薄く、それでも涼夏と似た香りは感じることができる。
「早く大人になりな」
抱き抱えているせいで体温が混じり合い、薄いながらもフェロモンを発して俺を誘う。羽琉だって本能では俺を求めているはずだ。
「羽琉、大丈夫?」
ベッドに寝かした羽琉が身動ぎしたのに気付き、そっと声をかける。
保健室に来たものの年度始めのせいか保健医は不在で、羽琉をひとりにすることができずにその顔を見つめていた。スマホから職員室に連絡を入れて、状況を説明すれば担任には伝えておくと言われたためその言葉に甘える。学校側としてもΩの羽琉をひとり残しておくのは不安なのだろう。
俺の声に驚いたのか、羽琉が恐る恐ると言った感じで口を開く。
「授業は?」
「今、一限目。
心配だって言ったら保健医が付き添いの許可くれたから」
保健医の許可なんてないけれど、羽琉を安心させるために嘘を吐く。
「大丈夫だから授業に出てきたら?」
「別に、授業に出なくても平気だよ。
授業より羽琉の方が大事」
俺を遠ざけようとしてもそれに従う気はない。
「大丈夫だってば。
それに朝も、」
「これから毎朝マーキングするから。
今までよりも、涼夏にするよりももっとキツく」
俺と一緒にいると納得したはずなのに、それなのに逃げようとする羽琉を分からせるためにそう宣言する。
マーキングと言われ、先ほどの行為を思い出したのか顔が曇る。
「マーキングなんてしなくて大丈夫だよ?」
その言葉に懲りないな、と思いながら少しだけ威嚇すれば「今居くんに申し訳ない」「どうしても気になるなら移動の時だけ一緒にいて」と焦って口を開くけれど「今までと変わらないって言ったでしょ?」とその言葉を一蹴する。
「今までは今居くんがいなかったから」
顔色を悪くしながらも抵抗する羽琉はαの独占欲を理解していないのだろう。逃げようとすれば逃げようとするだけ執着が増すのだから羽琉の言葉は逆効果でしかない。
「涼夏は俺のこと、信じてくれてるから」
だから羽琉も俺を信じるべきだと気持ちを押し付ける。
「あ、伊織と政文には羽琉は今まで通り俺といるからって言っておいたから」
「でも今居くんが」
「煩いなあ。
朝から帰るまでは羽琉と一緒にいるって言ってるだろ?
涼夏とはその後で過ごすし、週末は涼夏のために使うから良いんだって。
羽琉は俺の言うことに逆らうべきじゃないと思うよ?」
そう言って威嚇を強める。
言葉で言っても従わないのなら無理矢理にでも従わせるしかない。
週末は常に涼夏と過ごすなんてことはないだろうけれど、そう言えば羽琉だって安心できるかと思って言った言葉。
どこまでも自分本位な俺は自分の勝手な想いを押し付け、威嚇のせいで身体を丸めた羽琉にダメ押しをする。
「だって、伊織も政文も羽琉のこと守るって言うけど番にはしてくれないでしょ?」
そう。
羽琉は伊織と政文に頼るつもりだろうけれど、どれだけ信頼していてもあのふたりが羽琉を番にすることはない。だけどあのふたりと過ごせば羽琉に対する風当たりは強くなるだろう。
伊織も政文も狙っているΩは多いものの、Ωと番う気は無いと公言しているから諦めているだけ。それなのに羽琉が行動を共にするようになれば面白くないと思う者も多いだろう。
「燈哉だって」
「別に、羽琉が望めば羽琉のこと、番にできるよ?
ヒートが来ればだけどね」
羽琉の抵抗の言葉を一蹴して露わになった頸をネックガードの上からそっと指でなぞる。
「伊織も政文もΩと番う気はないっていつも言ってるでしょ?でも俺はそんなこと言わないよ。
羽琉だって、そのつもりだったくせに」
その言葉に羽琉が震えたのが指先に伝わる。
可愛い。
可愛い。
可愛い。
怯える羽琉が可愛くて、その弱さが愛おしくて気持ちが昂る。
涼夏に感じたのとは違う、腹の奥から湧き上がる熱が心地良い。
羽琉を守りたいと思う気持ちと、涼夏を守りたいと思う気持ちは全く別なのだと改めて感じるけれど、これがうまく伝わらないことがもどかしい。
ヒートを待つことなく自分のものにしてしまいたいと何度も思ったことを羽琉は知っているだろうか?
保健室に付き添う度に、無防備に横たわる羽琉を頭の中で何度も組み伏せたと伝えればどんな顔を見せるのだろうか。
何も言わずにその頸を指でなぞり、その時を夢想する。
ヒートが来ていなくても身体を重ねることはできるけれど、少しでも羽琉に苦痛を感じさせたくないと我慢しすぎていたのだろうか。それでもヒートではない羽琉がその小さな身体で俺を受け入れようとすれば苦痛を伴うのは明白だ。
大切にしたい。
この気持ちは本物だからその時を待つしかないのだ。
無言のままの羽琉の頸に触れながらそんなことを考えていると一限目の終了を告げるチャイムが鳴り響く。
このまま羽琉と過ごしたいけれど、流石にそれは許されないだろう。
「羽琉は少し寝てな。
自分がどうするのが1番良いのか考えれば誰と一緒にいるのが正解なのか、分かるよね?
教室で待ってるから」
そう言って頸に唇を這わすと「先生呼んでくるから」と保健室から出る。
と言っても羽琉をひとりにすることはできないため職員室に電話をかけて保健医の所在を確認すれば、授業が終わったため俺と交代しようと保健室に向かったはずだと告げられる。
学校側だって俺たちの関係を知っているのだ。
羽琉に逃げる術はない。
こちらに向かった保健医が姿を見せたのは電話を切った直後。
羽琉の様子を伝えて教室に戻れば伊織が不満そうな顔を見せたためもう一度羽琉の決定を伝える。
「羽琉は今まで通り、俺と一緒に過ごすから。伊織も今まで通り政文と過ごしてくれれば大丈夫だから」
「今居は?」
「だから大丈夫だって言っただろ?
涼夏は校内にいる間は問題無いし、羽琉は俺と過ごすって言ったから」
「今居が大丈夫なら羽琉だって大丈夫なんじゃないの?
僕や政文がいない分、今居の方が心配なんじゃない?」
「………。
羽琉が俺を選んだって言えば納得する?」
「だって羽琉は、」
「そんなに気になるなら直接羽琉に聞けば?次の時間には来るだろうし」
周りも聞き耳を立てていることに気付き、羽琉が誰と過ごしたいのかを分からせるために声のトーンを抑えることなくそう告げ、伊織の返事を待たずに自分の席に戻る。
Ωと番う気はないと言いながらも羽琉に構おうとする伊織のことを疎ましいと思うこともあったから牽制するにはちょうどいいタイミングだった。
羽琉は誰にも渡さない。
例えそれが力で押さえつけたことによる答えだったとしても、羽琉が自分で選んだ答えなのだから。
「羽琉に触るな」
大切に羽琉を扱っているのに伊織と政文の声は鋭い。そして、羽琉に意識がないのをいいことにふたりして威嚇してくるけれど、そんなものに動じるわけがない。
「羽琉は俺と一緒にいるって言ってくれたよ?」
羽琉を奪おうとするふたりにその意思を伝え、「今まで通り俺と過ごすって」とさも羽琉が言ったように伝える。俺の言葉に頷いたのだから嘘は言ってない。
「それは無理矢理、」
「違うよ?
羽琉の意思だ」
「なら何でそんな状態なんだ?」
俺が羽琉に向けた威嚇に気付いていたのだろう。咎めるようなことを言おうとするのを遮り「そろそろ教室に戻らないと不味くないか?」と言えばふたりは顔を見合わせる。
「羽琉は保健室に連れて行くから担任に言っておいてくれ」
αとしてのランクが似ている政文と絡むのが面倒で、俺よりも劣る伊織にわざと告げる。クラスが同じなのも丁度いい。
「あ、悪いけど俺の鞄、持っていっておいてくれる?」
そう言えば仕方なさそうに俺の鞄を拾い上げる。羽琉を抱き寄せた時にベンチに置いたままだったせいで腕の中に羽琉がいる状態では自分で持つことができないから丁度良かった。
「羽琉は今まで通り俺と過ごすって言ったし、保健室に連れて行くのはいつもの俺の役目だから、分かるよな?」
何か言いたそうにしていても羽琉の意思だと言えば従うしかないだろう。ふたりは羽琉のことを猫可愛がりしているからその意思を尊重するしかない。
「あとで羽琉に確認するから」
負け惜しみのようにそう言った伊織は羽琉のことを気遣わし気に見ていたけれど、「鞄、頼むな」と背を向ける。
こんな無防備な羽琉をいつまでも見せる気は無い。
いつまでも小さい羽琉は抱き抱えていてもその香りは薄く、それでも涼夏と似た香りは感じることができる。
「早く大人になりな」
抱き抱えているせいで体温が混じり合い、薄いながらもフェロモンを発して俺を誘う。羽琉だって本能では俺を求めているはずだ。
「羽琉、大丈夫?」
ベッドに寝かした羽琉が身動ぎしたのに気付き、そっと声をかける。
保健室に来たものの年度始めのせいか保健医は不在で、羽琉をひとりにすることができずにその顔を見つめていた。スマホから職員室に連絡を入れて、状況を説明すれば担任には伝えておくと言われたためその言葉に甘える。学校側としてもΩの羽琉をひとり残しておくのは不安なのだろう。
俺の声に驚いたのか、羽琉が恐る恐ると言った感じで口を開く。
「授業は?」
「今、一限目。
心配だって言ったら保健医が付き添いの許可くれたから」
保健医の許可なんてないけれど、羽琉を安心させるために嘘を吐く。
「大丈夫だから授業に出てきたら?」
「別に、授業に出なくても平気だよ。
授業より羽琉の方が大事」
俺を遠ざけようとしてもそれに従う気はない。
「大丈夫だってば。
それに朝も、」
「これから毎朝マーキングするから。
今までよりも、涼夏にするよりももっとキツく」
俺と一緒にいると納得したはずなのに、それなのに逃げようとする羽琉を分からせるためにそう宣言する。
マーキングと言われ、先ほどの行為を思い出したのか顔が曇る。
「マーキングなんてしなくて大丈夫だよ?」
その言葉に懲りないな、と思いながら少しだけ威嚇すれば「今居くんに申し訳ない」「どうしても気になるなら移動の時だけ一緒にいて」と焦って口を開くけれど「今までと変わらないって言ったでしょ?」とその言葉を一蹴する。
「今までは今居くんがいなかったから」
顔色を悪くしながらも抵抗する羽琉はαの独占欲を理解していないのだろう。逃げようとすれば逃げようとするだけ執着が増すのだから羽琉の言葉は逆効果でしかない。
「涼夏は俺のこと、信じてくれてるから」
だから羽琉も俺を信じるべきだと気持ちを押し付ける。
「あ、伊織と政文には羽琉は今まで通り俺といるからって言っておいたから」
「でも今居くんが」
「煩いなあ。
朝から帰るまでは羽琉と一緒にいるって言ってるだろ?
涼夏とはその後で過ごすし、週末は涼夏のために使うから良いんだって。
羽琉は俺の言うことに逆らうべきじゃないと思うよ?」
そう言って威嚇を強める。
言葉で言っても従わないのなら無理矢理にでも従わせるしかない。
週末は常に涼夏と過ごすなんてことはないだろうけれど、そう言えば羽琉だって安心できるかと思って言った言葉。
どこまでも自分本位な俺は自分の勝手な想いを押し付け、威嚇のせいで身体を丸めた羽琉にダメ押しをする。
「だって、伊織も政文も羽琉のこと守るって言うけど番にはしてくれないでしょ?」
そう。
羽琉は伊織と政文に頼るつもりだろうけれど、どれだけ信頼していてもあのふたりが羽琉を番にすることはない。だけどあのふたりと過ごせば羽琉に対する風当たりは強くなるだろう。
伊織も政文も狙っているΩは多いものの、Ωと番う気は無いと公言しているから諦めているだけ。それなのに羽琉が行動を共にするようになれば面白くないと思う者も多いだろう。
「燈哉だって」
「別に、羽琉が望めば羽琉のこと、番にできるよ?
ヒートが来ればだけどね」
羽琉の抵抗の言葉を一蹴して露わになった頸をネックガードの上からそっと指でなぞる。
「伊織も政文もΩと番う気はないっていつも言ってるでしょ?でも俺はそんなこと言わないよ。
羽琉だって、そのつもりだったくせに」
その言葉に羽琉が震えたのが指先に伝わる。
可愛い。
可愛い。
可愛い。
怯える羽琉が可愛くて、その弱さが愛おしくて気持ちが昂る。
涼夏に感じたのとは違う、腹の奥から湧き上がる熱が心地良い。
羽琉を守りたいと思う気持ちと、涼夏を守りたいと思う気持ちは全く別なのだと改めて感じるけれど、これがうまく伝わらないことがもどかしい。
ヒートを待つことなく自分のものにしてしまいたいと何度も思ったことを羽琉は知っているだろうか?
保健室に付き添う度に、無防備に横たわる羽琉を頭の中で何度も組み伏せたと伝えればどんな顔を見せるのだろうか。
何も言わずにその頸を指でなぞり、その時を夢想する。
ヒートが来ていなくても身体を重ねることはできるけれど、少しでも羽琉に苦痛を感じさせたくないと我慢しすぎていたのだろうか。それでもヒートではない羽琉がその小さな身体で俺を受け入れようとすれば苦痛を伴うのは明白だ。
大切にしたい。
この気持ちは本物だからその時を待つしかないのだ。
無言のままの羽琉の頸に触れながらそんなことを考えていると一限目の終了を告げるチャイムが鳴り響く。
このまま羽琉と過ごしたいけれど、流石にそれは許されないだろう。
「羽琉は少し寝てな。
自分がどうするのが1番良いのか考えれば誰と一緒にいるのが正解なのか、分かるよね?
教室で待ってるから」
そう言って頸に唇を這わすと「先生呼んでくるから」と保健室から出る。
と言っても羽琉をひとりにすることはできないため職員室に電話をかけて保健医の所在を確認すれば、授業が終わったため俺と交代しようと保健室に向かったはずだと告げられる。
学校側だって俺たちの関係を知っているのだ。
羽琉に逃げる術はない。
こちらに向かった保健医が姿を見せたのは電話を切った直後。
羽琉の様子を伝えて教室に戻れば伊織が不満そうな顔を見せたためもう一度羽琉の決定を伝える。
「羽琉は今まで通り、俺と一緒に過ごすから。伊織も今まで通り政文と過ごしてくれれば大丈夫だから」
「今居は?」
「だから大丈夫だって言っただろ?
涼夏は校内にいる間は問題無いし、羽琉は俺と過ごすって言ったから」
「今居が大丈夫なら羽琉だって大丈夫なんじゃないの?
僕や政文がいない分、今居の方が心配なんじゃない?」
「………。
羽琉が俺を選んだって言えば納得する?」
「だって羽琉は、」
「そんなに気になるなら直接羽琉に聞けば?次の時間には来るだろうし」
周りも聞き耳を立てていることに気付き、羽琉が誰と過ごしたいのかを分からせるために声のトーンを抑えることなくそう告げ、伊織の返事を待たずに自分の席に戻る。
Ωと番う気はないと言いながらも羽琉に構おうとする伊織のことを疎ましいと思うこともあったから牽制するにはちょうどいいタイミングだった。
羽琉は誰にも渡さない。
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