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遊星
狡さと誠実さの境界線。
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「塾、大丈夫?」
そう声をかけたオレに「まだ大丈夫」と答え、中学生の授業の後で高校生の授業になるから少しだけなら時間を取れると教えられる。どこの塾も授業時間は似たようなものだから言われてみれば納得するけれど、それでも郁哉の迷惑になりたくなくて気を遣ってしまう。
「遊星は塾、大丈夫?」
オレのことを気遣ってくれるけれど、家の近くの塾を選んだオレは郁也ほど時間を気にする必要はない。そう答えたオレに「近いと良いよね、」とポツリと答えてオレに話を促す。
「それで…話って?」
場所は駅の近くの公園。
駅までの道のりで話が終わるわけがなくて行き着いた場所だけど、オレや晴翔がこれから使うホームとは反対になるため晴翔に見られる心配は無い。それに、アイツは今は部活中だろう。
話を聞く姿勢は見せてくれているし、その表情から嫌悪されているわけではないとも思う。名前を呼んでくれるし、オレのことを気遣ってくれさえする。
だけど、急に話しかけたせいで警戒をしているのだろう。晴翔とのあんな話を聞かれているのだから尚更だ。
「郁哉は大学決めた?」
そう聞いたオレに胡乱な目を向ける。
急に呼び止められて聞かれるにしては唐突な内容。そして、その前の関係からすればこんな目をされるのは仕方のないことだろう。
「一応は決めてたけど、変えるかもしれないし」
そう言って晴翔が口にした大学の名を告げるけど、その口でそれを否定する。
「郁哉ならどこでも入れるもんね」
進路を変えるかもしれないという言葉にホッとしながらも淋しく思い口にしたけれど、「僕のこと、追い出したいんだ」と呟くように言われてしまい困惑する。オレの言葉にそんな風に思わせてしまう何かがあったのかと不安になってしまう。
「何でそうなるの?」
「晴翔に僕が邪魔って言われた?」
「今は晴翔は関係無いし」
晴翔が囲い、執着していたと思っていたけれど、もしかしたら逆だったのかと思った時にそれまで伏せていた顔をグッと上げる。
「晴翔と自分が付き合うから僕が邪魔だって、はっきり言えば?
邪魔だから同じ大学に来るなって、はっきり言えばいいのに」
怒った顔で、その目に涙を溜めて言った言葉に誤解だと言いたいのにその顔をもっと見ていたくて言葉が出てこない。むき出しの感情を自分に向けられたことが嬉しい。それが例え、マイナスな感情であったとしても。
「馬鹿にしてるんでしょ?
いいよ、他の大学も考えてるし、何なら遠くでもいいし」
何も返せずにいるオレに郁哉は言葉を続ける。
「別に2人の仲を邪魔する気はないから。
2人で仲良く勉強すればいいし、2人で仲良く大学行けばいいよ」
「違うって、」
怒りに任せて告げられる言葉の内容に思わず言葉を被せてしまう。
そうじゃない。
そんなことを言わせたいわけじゃない。
そんな言葉を聞きたいわけじゃない。
「誤解してるみたいだけど、晴翔とは付き合ってないよ?」
急いで言った言葉に郁哉がキッとオレを睨みつける。
「2人で笑ってたくせに。
僕との縁なんて腐ればいいって」
「それ、晴翔が勝手に言っただけでオレは肯定も否定もしてないからな?」
「でも笑ってた」
やっぱり晴翔のあの言葉に傷ついていたのだろう。溜まっていた涙がこぼれ落ち、それを急いで拭い去る。晴翔なんて泣く価値のない相手なのに。
「別に楽しくて笑ってたわけじゃないよ。信じてもらえないだろうけど…。
呆れた時にも人は笑うって知ってる?」
そう言って続けたオレの言葉に郁哉は眉を顰める。
別に晴翔の味方なんかじゃないし、晴翔のことが好きなわけじゃない。
初めて同じクラスになって、友人として付き合うには面白いから一緒に行動しているけれど、恋愛として好きだなんて思ったこともない。
「でも、テスト勉強一緒にするって」
テスト勉強を一緒にするのなんて友人なら普通だと思っているけれど、郁哉の口ぶりは普通だとは思っていないようだ。
「テスト勉強くらい、みんなでやったりするんじゃない?
郁哉、中学の時に誘っても来ないって有名だったけど」
「それは…」
当時、晴翔が囲っていたせいで自分が周りからどう思われていたか、晴翔がどれだけ邪魔者扱いされていたかなんて全く気付いてないのだろう。
郁哉は中学の半ばまでは人気者だった。
小さくて可愛い容姿と穏やかな性格。
努力を惜しまない態度とそれに比例した成績。
男子にも女子にも好かれる郁哉にもっと近づきたいと思っていたのはオレだけじゃない。
だけど、それを面白くないと思った晴翔が郁哉のことを〈ゆるキャラ〉に仕立て上げたせいで人気者から〈可愛がり〉の対象にしてしまったのだ。
「そもそもさぁ、晴翔の勉強なんて見てないで自分のことだけやってればもっと違う大学も行けるだろ?
あんなヤツのために時間使うの、勿体無くない?」
「晴翔と勉強する人が言っても説得力ない」
確かに晴翔とテスト勉強をすると言っているオレが言っても説得力なんてないだろう。話の意図が掴めず困惑しているのかもしれない。
「晴翔としてた話、聞こえちゃったんだろ?
あんなこと言うヤツの世話なんて、もうやめていいと思うよ?」
「やっぱり晴翔のこと好きだんだ…」
話が通じなくてイライラしてくる。
お荷物を引き取ると言ってるんだからもっと喜べばいいのに、そんな風にすら思ってしまう。
「逆に言うと郁哉はあんなこと言われても晴翔のこと好きなの?」
「………どうなんだろう?」
今までの言葉からまだ好きなのかと思っていたけれど、どうやらそういうわけでもないらしいと思い言葉を待つ。
「晴翔がいないとどうしていいのかわからない、のかもね」
自嘲するように言ったその言葉の意味が分からず返答に困ってしまい、「どうしていいかって、どういうこと?」と聞けばポツリポツリと話し出す中学生の頃の話。
いつからか友人としてではなくて〈玩具〉のような扱いをされていたことに戸惑ったこと。乱暴にされたりするわけではないけれど、友人としてではなくてキャラクターとして扱われるような違和感。
そんな時に側に居てくれたのが晴翔だったし、側に居てくれるようにお願いしたのは自分だと驚くようなことを告げられる。
「だから、晴翔がいなくなったらまたそんな風になるのかと思うと怖い」
思いもよらぬ郁哉の本心に困ってしまった。そう仕向けたのは確実に晴翔なのだけど、それを告げるべきなのかと悩むのは郁哉を傷付けたくないから。それを告げれば晴翔との関係は決定的になるのかもしれないけれど、郁哉に対するダメージが大きすぎる気がする。
「確かに、一時期ちょっと度を越してた時期あったよね」
取り敢えず否定することなく話の流れに乗ってみる。郁哉を傷つけることなく晴翔から離れさせる方法なんて思い浮かばないけれど、それでも何かできないかととにかく考えてもう一度口を開く。
「ガキ臭いって、今なら思うんじゃない?中学生、バカだから乗せられやすいよな」
本当は晴翔のせいだと告げて、だから晴翔と離れるべきだと言いたかったけれど、それは卑怯なことだと思いとどまる。2人の関係をどうするのかは郁哉が決めるべきだし、オレが口を開けば晴翔に対して辛辣な言葉を並べてしまうだろう。
「もしかして、それで高校も一緒?」
「晴翔は私立とか、部活の強いとこにも行きたいって言ってたけどね。同じところに行きたいって、僕がお願いしたんだ」
そう言ってまた下を向いてしまった。
どこまで晴翔が計算していたのかは知らないけれど、まんまとその掌の上で踊らされてしまったのだろう。
だって、晴翔がそんなに部活で活躍しているなんて聞いたことないし、そもそもレギュラーだったかどうかも怪しいはずだ。体育の授業では活躍できるけれど、運動神経はいいけれど、だからといって部活で活躍できるほどではない。何をやらせてもそこそこ上手くやるけれど、特出するものはない。
今も部活は続けているけれど、中学の時と同じくらいのレベルのチームでレギュラーになっていないのがその証拠だ。
「それ、都合よく使われてない?
中学の時も、入試の時も晴翔の勉強見てたでしょ?」
「僕も勉強になるし、復習できるし」
「でも晴翔の世話しなければもっと自分のために使えるよ?」
「だって、守ってもらってるし」
きっとこれが本音なのだろう。
頼りにしているというよりも、守ってもらうための対価として勉強を手伝うことでgive&takeだと思っているのかもしれないけれど、そもそもは晴翔のせいなのだから郁哉にとっては自分の時間の損失と、晴翔の作り上げたキャラクターとしての扱いというマイナスな要素しかないのに。
「それ多分、郁哉が思ってるのと違うよ?」
思わず言葉が溢れた。
郁哉を傷付ける気はなかったし、告げ口のようなことはしたくなかった。だけど晴翔の狡さに気付かず、今でも守られていたと思っているせいでその気持ちを断ち切ることができないのだと知ってしまったから。
「ちょっと話長くなりそうだけど時間大丈夫?
無理なら夜にでも電話させて」
それを口実に連絡先を手に入れたオレだって晴翔のことを言えないほど狡いけれど、それでも間違ったことをしたとは思ってないし、後悔はしてない。
そう声をかけたオレに「まだ大丈夫」と答え、中学生の授業の後で高校生の授業になるから少しだけなら時間を取れると教えられる。どこの塾も授業時間は似たようなものだから言われてみれば納得するけれど、それでも郁哉の迷惑になりたくなくて気を遣ってしまう。
「遊星は塾、大丈夫?」
オレのことを気遣ってくれるけれど、家の近くの塾を選んだオレは郁也ほど時間を気にする必要はない。そう答えたオレに「近いと良いよね、」とポツリと答えてオレに話を促す。
「それで…話って?」
場所は駅の近くの公園。
駅までの道のりで話が終わるわけがなくて行き着いた場所だけど、オレや晴翔がこれから使うホームとは反対になるため晴翔に見られる心配は無い。それに、アイツは今は部活中だろう。
話を聞く姿勢は見せてくれているし、その表情から嫌悪されているわけではないとも思う。名前を呼んでくれるし、オレのことを気遣ってくれさえする。
だけど、急に話しかけたせいで警戒をしているのだろう。晴翔とのあんな話を聞かれているのだから尚更だ。
「郁哉は大学決めた?」
そう聞いたオレに胡乱な目を向ける。
急に呼び止められて聞かれるにしては唐突な内容。そして、その前の関係からすればこんな目をされるのは仕方のないことだろう。
「一応は決めてたけど、変えるかもしれないし」
そう言って晴翔が口にした大学の名を告げるけど、その口でそれを否定する。
「郁哉ならどこでも入れるもんね」
進路を変えるかもしれないという言葉にホッとしながらも淋しく思い口にしたけれど、「僕のこと、追い出したいんだ」と呟くように言われてしまい困惑する。オレの言葉にそんな風に思わせてしまう何かがあったのかと不安になってしまう。
「何でそうなるの?」
「晴翔に僕が邪魔って言われた?」
「今は晴翔は関係無いし」
晴翔が囲い、執着していたと思っていたけれど、もしかしたら逆だったのかと思った時にそれまで伏せていた顔をグッと上げる。
「晴翔と自分が付き合うから僕が邪魔だって、はっきり言えば?
邪魔だから同じ大学に来るなって、はっきり言えばいいのに」
怒った顔で、その目に涙を溜めて言った言葉に誤解だと言いたいのにその顔をもっと見ていたくて言葉が出てこない。むき出しの感情を自分に向けられたことが嬉しい。それが例え、マイナスな感情であったとしても。
「馬鹿にしてるんでしょ?
いいよ、他の大学も考えてるし、何なら遠くでもいいし」
何も返せずにいるオレに郁哉は言葉を続ける。
「別に2人の仲を邪魔する気はないから。
2人で仲良く勉強すればいいし、2人で仲良く大学行けばいいよ」
「違うって、」
怒りに任せて告げられる言葉の内容に思わず言葉を被せてしまう。
そうじゃない。
そんなことを言わせたいわけじゃない。
そんな言葉を聞きたいわけじゃない。
「誤解してるみたいだけど、晴翔とは付き合ってないよ?」
急いで言った言葉に郁哉がキッとオレを睨みつける。
「2人で笑ってたくせに。
僕との縁なんて腐ればいいって」
「それ、晴翔が勝手に言っただけでオレは肯定も否定もしてないからな?」
「でも笑ってた」
やっぱり晴翔のあの言葉に傷ついていたのだろう。溜まっていた涙がこぼれ落ち、それを急いで拭い去る。晴翔なんて泣く価値のない相手なのに。
「別に楽しくて笑ってたわけじゃないよ。信じてもらえないだろうけど…。
呆れた時にも人は笑うって知ってる?」
そう言って続けたオレの言葉に郁哉は眉を顰める。
別に晴翔の味方なんかじゃないし、晴翔のことが好きなわけじゃない。
初めて同じクラスになって、友人として付き合うには面白いから一緒に行動しているけれど、恋愛として好きだなんて思ったこともない。
「でも、テスト勉強一緒にするって」
テスト勉強を一緒にするのなんて友人なら普通だと思っているけれど、郁哉の口ぶりは普通だとは思っていないようだ。
「テスト勉強くらい、みんなでやったりするんじゃない?
郁哉、中学の時に誘っても来ないって有名だったけど」
「それは…」
当時、晴翔が囲っていたせいで自分が周りからどう思われていたか、晴翔がどれだけ邪魔者扱いされていたかなんて全く気付いてないのだろう。
郁哉は中学の半ばまでは人気者だった。
小さくて可愛い容姿と穏やかな性格。
努力を惜しまない態度とそれに比例した成績。
男子にも女子にも好かれる郁哉にもっと近づきたいと思っていたのはオレだけじゃない。
だけど、それを面白くないと思った晴翔が郁哉のことを〈ゆるキャラ〉に仕立て上げたせいで人気者から〈可愛がり〉の対象にしてしまったのだ。
「そもそもさぁ、晴翔の勉強なんて見てないで自分のことだけやってればもっと違う大学も行けるだろ?
あんなヤツのために時間使うの、勿体無くない?」
「晴翔と勉強する人が言っても説得力ない」
確かに晴翔とテスト勉強をすると言っているオレが言っても説得力なんてないだろう。話の意図が掴めず困惑しているのかもしれない。
「晴翔としてた話、聞こえちゃったんだろ?
あんなこと言うヤツの世話なんて、もうやめていいと思うよ?」
「やっぱり晴翔のこと好きだんだ…」
話が通じなくてイライラしてくる。
お荷物を引き取ると言ってるんだからもっと喜べばいいのに、そんな風にすら思ってしまう。
「逆に言うと郁哉はあんなこと言われても晴翔のこと好きなの?」
「………どうなんだろう?」
今までの言葉からまだ好きなのかと思っていたけれど、どうやらそういうわけでもないらしいと思い言葉を待つ。
「晴翔がいないとどうしていいのかわからない、のかもね」
自嘲するように言ったその言葉の意味が分からず返答に困ってしまい、「どうしていいかって、どういうこと?」と聞けばポツリポツリと話し出す中学生の頃の話。
いつからか友人としてではなくて〈玩具〉のような扱いをされていたことに戸惑ったこと。乱暴にされたりするわけではないけれど、友人としてではなくてキャラクターとして扱われるような違和感。
そんな時に側に居てくれたのが晴翔だったし、側に居てくれるようにお願いしたのは自分だと驚くようなことを告げられる。
「だから、晴翔がいなくなったらまたそんな風になるのかと思うと怖い」
思いもよらぬ郁哉の本心に困ってしまった。そう仕向けたのは確実に晴翔なのだけど、それを告げるべきなのかと悩むのは郁哉を傷付けたくないから。それを告げれば晴翔との関係は決定的になるのかもしれないけれど、郁哉に対するダメージが大きすぎる気がする。
「確かに、一時期ちょっと度を越してた時期あったよね」
取り敢えず否定することなく話の流れに乗ってみる。郁哉を傷つけることなく晴翔から離れさせる方法なんて思い浮かばないけれど、それでも何かできないかととにかく考えてもう一度口を開く。
「ガキ臭いって、今なら思うんじゃない?中学生、バカだから乗せられやすいよな」
本当は晴翔のせいだと告げて、だから晴翔と離れるべきだと言いたかったけれど、それは卑怯なことだと思いとどまる。2人の関係をどうするのかは郁哉が決めるべきだし、オレが口を開けば晴翔に対して辛辣な言葉を並べてしまうだろう。
「もしかして、それで高校も一緒?」
「晴翔は私立とか、部活の強いとこにも行きたいって言ってたけどね。同じところに行きたいって、僕がお願いしたんだ」
そう言ってまた下を向いてしまった。
どこまで晴翔が計算していたのかは知らないけれど、まんまとその掌の上で踊らされてしまったのだろう。
だって、晴翔がそんなに部活で活躍しているなんて聞いたことないし、そもそもレギュラーだったかどうかも怪しいはずだ。体育の授業では活躍できるけれど、運動神経はいいけれど、だからといって部活で活躍できるほどではない。何をやらせてもそこそこ上手くやるけれど、特出するものはない。
今も部活は続けているけれど、中学の時と同じくらいのレベルのチームでレギュラーになっていないのがその証拠だ。
「それ、都合よく使われてない?
中学の時も、入試の時も晴翔の勉強見てたでしょ?」
「僕も勉強になるし、復習できるし」
「でも晴翔の世話しなければもっと自分のために使えるよ?」
「だって、守ってもらってるし」
きっとこれが本音なのだろう。
頼りにしているというよりも、守ってもらうための対価として勉強を手伝うことでgive&takeだと思っているのかもしれないけれど、そもそもは晴翔のせいなのだから郁哉にとっては自分の時間の損失と、晴翔の作り上げたキャラクターとしての扱いというマイナスな要素しかないのに。
「それ多分、郁哉が思ってるのと違うよ?」
思わず言葉が溢れた。
郁哉を傷付ける気はなかったし、告げ口のようなことはしたくなかった。だけど晴翔の狡さに気付かず、今でも守られていたと思っているせいでその気持ちを断ち切ることができないのだと知ってしまったから。
「ちょっと話長くなりそうだけど時間大丈夫?
無理なら夜にでも電話させて」
それを口実に連絡先を手に入れたオレだって晴翔のことを言えないほど狡いけれど、それでも間違ったことをしたとは思ってないし、後悔はしてない。
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