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うっかり王子は、しっかり者 1
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ヤミは、アネスフィードとともに、床に座っている。
最初の「民言葉の字引き」に出てくる「正座」という格好だ。
目の前には、兄が立っている。
2人は、体を小さくしていた。
「反省しているのだろうね?」
冷たい声が降ってくる。
ヤミは、しょんぼりとうなだれていた。
叱られる、という程度の話ではすまないからだ。
「私は、忠告した。彼女には、口も手も出すな、とね」
兄は、ずっと前からダドリュースが「ああいう者」だと気づいていたのだろう。
だからこそ、ダドリュースを主として仕えている。
魔術師として、相当な腕を持つ兄が、なぜあんなぼんくらに仕えているのかと、常々、ヤミは不思議に思っていた。
が、結果を見てしまえば、不思議でもなんでもない。
兄が仕えるのは、当然だったのだ。
「きみは国を守るべき立場にある。にもかかわらず、あえて寝た子を起こすような真似をするとはね。アーニー、きみには失望したよ」
「……すまない、サシャトゥーリ……」
兄が、目を、すうっと細める。
ウィリュアートン公爵家での名を呼ばれたからに違いない。
ヤミは、視線を落とし、首をすくめた。
ダドリュースの代理として話している兄が、怖くてしかたがないのだ。
まさに「雷が落とされて」いる
アネスフィードも、がっくりとうなだれていた。
ヤミだって、兄と目を合わせる勇気はない。
「我が君の前で、その名を呼ぶようなことがあれば、私は、きみを許さない」
「わかった……すまない……」
アネスフィードは「国王」に相応しい人物ではある。
だが、ダドリュースは、生まれながらに「王」なのだ。
その違いは明白だった。
ダドリュースが、その気になれば、彼1人で、この国を守ることができる。
どんな機関も人材も必要ない。
むしろ、どんな機関があろうが、ダドリュースを止められはしないのだ。
彼は、指先ひとつで、世界を消せる。
それを思い知った。
ひどく美しい星の光が、まだ目に焼きついている。
心底、恐ろしい光景だった。
美しいからこそ、恐ろしかったのだ。
「まさか、きみが気づいていなかったなんて、驚きだ」
「そうだね……その通りだ」
「ガルベリー直系でもある、きみの魔力を、いったい誰が封印したのだい?」
「……ダドリーだよ……子供の頃、僕が彼に頼んで封印してもらった」
「そうだろうとも」
(ダドリーは1日1回になってから、人前じゃ魔術を使わなくなってたんで、封印のことなんか忘れてたんだろーな。アーニーは、立場的に、魔術師とは距離を置いてるトコもあるし)
ヤミは、兄の皮肉を聞いて、納得する。
それは、ヤミが「与える者」だからだ。
直系といっても、男系と女系がある。
ヤミは、ただ1人の男系の血筋だが、アネスフィードは、女系だった。
だとしても、王族直系には、少なからず血筋から自然に魔力が流れ込む。
それを封印できる者がいるとするならば。
与える者の対極にいる「人ならざる者」だけだ。
それは、気づいてしかるべき、と、ヤミも、ちょっぴり、そう思う。
兄が「失望」するのも、理解できると。
「ヤミ、きみもだ」
ぎくっとした。
自分に順番が回ってきたらしい。
いよいよ、ヤミは小さくなる。
もとより、兄に叱られるのは苦手だ。
なのに、叱られるよりも酷い状況になっている。
「きみの首にかかっているのは、お飾りではないのだよ?」
「……はい……申し訳ありません、兄上……」
「私は爵位を捨てていると繰り返し言っているはずだ。兄ではなく、我が君の側近としての立場を尊重したまえ」
「はい……」
もはや、なにを言われても「はい」としか答えられない。
いや、答えたくない。
「きみと我が君とは、まだ契約を結んでいない。にもかかわらず、我が君が魔術を使えることに、なんら疑問を持たなかったのか?」
「……はい、気づくべきでした……」
兄に言われれば「そうか」と思うようなことだった。
ダドリュースは、ザカリー側の系譜に属している。
ザカリー・ガルベリーが優秀な魔術師であったのは確かだが、契約ありき。
直系男子であり「与える者」であったユージーン・ガルベリーと、契約を結んでいたからこその魔術師だった。
が、兄の言うように、ダドリュースは、誰とも契約を結んでいないのだ。
「ダドリーは……誰からも魔力を与えられてねーんだな……」
「その通りです。今さらですがね」
ぴしゃん!と言われ、ヤミは、さらに落ち込んだ。
幼い頃からダドリュースが魔術を使うのを、あたり前に見てきたので、ちっとも気づかなかった。
もとより、魔術を使えること自体が、不自然だったのだと。
(……まさかローエルハイドの系譜とは思わなかったぜ)
実際、ヤミは、最近も、ダドリュースが、いとも簡単に新しい魔術を、ぽんぽんと作る様を見てきた。
けれど、やはり不思議にも思わなかったのだ。
ダドリュースは魔術を使える、との刷り込みがあった。
「きみは、魔術に関して、不勉強に過ぎる」
「これからは……もっと学び、理解に努めます……」
「きみ自身が魔術師ではなくとも、己の責をまっとうするために、だよ?」
「はい……精進いたします……」
いいかげん甘ったれるのはやめろ、という兄の気持ちが言外に伝わってくる。
ヤミも、わかってはいるのだ。
自分に課せられた「与える者」の責任は、とても重い。
わかっているからこそ、できれば逃げたかった。
だから、本当は、ダドリュースではなく、兄と契約がしたくて、不貞腐れていたのだ。
兄が半分でも肩代わりしてくれれば、などと甘えた考えがあった。
(けど、にーさんは、もっと重い責任を引き取ってくれたんだな)
兄は「人ならざる者」の側近となっている。
ダドリュースの意思にのみ従う者であり、罪を分け合う者となった。
今回のことを思えば、ダドリュースが、なにかひとつでも間違えば、大きな罪を背負うことになる。
世界を亡ぼした破滅の王の側近として。
「それで?」
兄の声音が変わっていた。
どうやら「雷」は落とし終わったらしい。
実のところ、ここからが本題。
兄が「雷」を落としていたのは、同じ過ちを繰り返させないよう釘を刺していただけなのだ。
かなり痛い釘だったけれど、それはともかく。
「きみたちのすべきことは、わかっているかい?」
2人して、ようやく顔を上げる。
もちろん、ヤミは、自分のするべきことがわかっていた。
隣にいるアネスフィードにもわかっているはずだ。
2人は、声を揃えて言う。
「我が王の御心のままに」
「我が王の御心のままに」
兄は、表情ひとつ変えずにうなずく。
「よろしい」
言うなり、姿を消した。
最初の「民言葉の字引き」に出てくる「正座」という格好だ。
目の前には、兄が立っている。
2人は、体を小さくしていた。
「反省しているのだろうね?」
冷たい声が降ってくる。
ヤミは、しょんぼりとうなだれていた。
叱られる、という程度の話ではすまないからだ。
「私は、忠告した。彼女には、口も手も出すな、とね」
兄は、ずっと前からダドリュースが「ああいう者」だと気づいていたのだろう。
だからこそ、ダドリュースを主として仕えている。
魔術師として、相当な腕を持つ兄が、なぜあんなぼんくらに仕えているのかと、常々、ヤミは不思議に思っていた。
が、結果を見てしまえば、不思議でもなんでもない。
兄が仕えるのは、当然だったのだ。
「きみは国を守るべき立場にある。にもかかわらず、あえて寝た子を起こすような真似をするとはね。アーニー、きみには失望したよ」
「……すまない、サシャトゥーリ……」
兄が、目を、すうっと細める。
ウィリュアートン公爵家での名を呼ばれたからに違いない。
ヤミは、視線を落とし、首をすくめた。
ダドリュースの代理として話している兄が、怖くてしかたがないのだ。
まさに「雷が落とされて」いる
アネスフィードも、がっくりとうなだれていた。
ヤミだって、兄と目を合わせる勇気はない。
「我が君の前で、その名を呼ぶようなことがあれば、私は、きみを許さない」
「わかった……すまない……」
アネスフィードは「国王」に相応しい人物ではある。
だが、ダドリュースは、生まれながらに「王」なのだ。
その違いは明白だった。
ダドリュースが、その気になれば、彼1人で、この国を守ることができる。
どんな機関も人材も必要ない。
むしろ、どんな機関があろうが、ダドリュースを止められはしないのだ。
彼は、指先ひとつで、世界を消せる。
それを思い知った。
ひどく美しい星の光が、まだ目に焼きついている。
心底、恐ろしい光景だった。
美しいからこそ、恐ろしかったのだ。
「まさか、きみが気づいていなかったなんて、驚きだ」
「そうだね……その通りだ」
「ガルベリー直系でもある、きみの魔力を、いったい誰が封印したのだい?」
「……ダドリーだよ……子供の頃、僕が彼に頼んで封印してもらった」
「そうだろうとも」
(ダドリーは1日1回になってから、人前じゃ魔術を使わなくなってたんで、封印のことなんか忘れてたんだろーな。アーニーは、立場的に、魔術師とは距離を置いてるトコもあるし)
ヤミは、兄の皮肉を聞いて、納得する。
それは、ヤミが「与える者」だからだ。
直系といっても、男系と女系がある。
ヤミは、ただ1人の男系の血筋だが、アネスフィードは、女系だった。
だとしても、王族直系には、少なからず血筋から自然に魔力が流れ込む。
それを封印できる者がいるとするならば。
与える者の対極にいる「人ならざる者」だけだ。
それは、気づいてしかるべき、と、ヤミも、ちょっぴり、そう思う。
兄が「失望」するのも、理解できると。
「ヤミ、きみもだ」
ぎくっとした。
自分に順番が回ってきたらしい。
いよいよ、ヤミは小さくなる。
もとより、兄に叱られるのは苦手だ。
なのに、叱られるよりも酷い状況になっている。
「きみの首にかかっているのは、お飾りではないのだよ?」
「……はい……申し訳ありません、兄上……」
「私は爵位を捨てていると繰り返し言っているはずだ。兄ではなく、我が君の側近としての立場を尊重したまえ」
「はい……」
もはや、なにを言われても「はい」としか答えられない。
いや、答えたくない。
「きみと我が君とは、まだ契約を結んでいない。にもかかわらず、我が君が魔術を使えることに、なんら疑問を持たなかったのか?」
「……はい、気づくべきでした……」
兄に言われれば「そうか」と思うようなことだった。
ダドリュースは、ザカリー側の系譜に属している。
ザカリー・ガルベリーが優秀な魔術師であったのは確かだが、契約ありき。
直系男子であり「与える者」であったユージーン・ガルベリーと、契約を結んでいたからこその魔術師だった。
が、兄の言うように、ダドリュースは、誰とも契約を結んでいないのだ。
「ダドリーは……誰からも魔力を与えられてねーんだな……」
「その通りです。今さらですがね」
ぴしゃん!と言われ、ヤミは、さらに落ち込んだ。
幼い頃からダドリュースが魔術を使うのを、あたり前に見てきたので、ちっとも気づかなかった。
もとより、魔術を使えること自体が、不自然だったのだと。
(……まさかローエルハイドの系譜とは思わなかったぜ)
実際、ヤミは、最近も、ダドリュースが、いとも簡単に新しい魔術を、ぽんぽんと作る様を見てきた。
けれど、やはり不思議にも思わなかったのだ。
ダドリュースは魔術を使える、との刷り込みがあった。
「きみは、魔術に関して、不勉強に過ぎる」
「これからは……もっと学び、理解に努めます……」
「きみ自身が魔術師ではなくとも、己の責をまっとうするために、だよ?」
「はい……精進いたします……」
いいかげん甘ったれるのはやめろ、という兄の気持ちが言外に伝わってくる。
ヤミも、わかってはいるのだ。
自分に課せられた「与える者」の責任は、とても重い。
わかっているからこそ、できれば逃げたかった。
だから、本当は、ダドリュースではなく、兄と契約がしたくて、不貞腐れていたのだ。
兄が半分でも肩代わりしてくれれば、などと甘えた考えがあった。
(けど、にーさんは、もっと重い責任を引き取ってくれたんだな)
兄は「人ならざる者」の側近となっている。
ダドリュースの意思にのみ従う者であり、罪を分け合う者となった。
今回のことを思えば、ダドリュースが、なにかひとつでも間違えば、大きな罪を背負うことになる。
世界を亡ぼした破滅の王の側近として。
「それで?」
兄の声音が変わっていた。
どうやら「雷」は落とし終わったらしい。
実のところ、ここからが本題。
兄が「雷」を落としていたのは、同じ過ちを繰り返させないよう釘を刺していただけなのだ。
かなり痛い釘だったけれど、それはともかく。
「きみたちのすべきことは、わかっているかい?」
2人して、ようやく顔を上げる。
もちろん、ヤミは、自分のするべきことがわかっていた。
隣にいるアネスフィードにもわかっているはずだ。
2人は、声を揃えて言う。
「我が王の御心のままに」
「我が王の御心のままに」
兄は、表情ひとつ変えずにうなずく。
「よろしい」
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