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後日談
バンビにいだく心とは
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ギギィとおかしな音を立てて、扉がじわっと開く。
ドアノブに縋りつくようにして立っているサマンサの姿が見えた。
思わず笑ってしまいそうになるのを堪える。
誰のせいかと言われたら、自分のせいだからだ。
(怒らせるのはいいが、彼女、不機嫌になると、ちっとも私の相手をしてくれなくなってしまうのだからなぁ)
サマンサは、基本がしっかりできている貴族令嬢だった。
公爵家の令嬢として、きちんとした教育を受けている。
同じ公爵家の子息が婚約者だったため、必死で努力していた結果でもあった。
時に、彼はサマンサにぴしゃりとやられる。
わざと「貴族らしく」振る舞い、彼女は彼を自らの世界から締め出してしまうのだ。
そうなると、彼には打つ手なし。
跪いて「礼儀正しくしないでくれ」と哀願するしかない。
それでも彼女の不機嫌が直るとは限らないのだが、それはともかく。
彼は、すぐさま魔術でサマンサの体を癒した。
サマンサが体をしゃんと起こしたのを見て、軽く肩をすくめてみせる。
が、彼女の表情は変わらない。
変わらず、とげとげしい。
(体が思い通りにならなくて怒っていたのかと思ったが……)
ほかにもなにか不愉快な出来事があったのだろうか。
彼は、サマンサを前にすると、いろいろなことが疎かになる。
サマンサのことしか考えていないので、本気で周囲をとりこぼしてしまうのだ。
少なくとも息子以外の全員が、視界からも意識からも抜け落ちる。
どうやって機嫌を取るか考えている彼に見向きもせず、サマンサが入って来た。
とても「貴族らしい」上品な仕草で、頭を下げる。
かがめた腰の位置も、裾を持ち上げるためにドレスをつまんでいる指先も完璧なまでに貴族の様式美に則っていた。
「こちらにいらしていると存じ上げず、ご挨拶が遅れまして申し訳ございません、マルフリート女王陛下」
「かまわなくてよ、サマンサ」
マルフリートは、らしくもなく少しそわそわした様子を見せている。
彼は面倒に巻き込まれるのを予感した。
いや、予感するまでもなく、わかっていた。
「わかった。もういい。きみの頼みをきくからサミーを巻き込むのはよしてくれ」
「私を巻き込むって、どういうこと?」
「それを話してしまったら、否応なしに、きみは巻き込まれるじゃないか」
サマンサが、じっと彼を見つめてくる。
マルフリートに良い返事をして、さっさと帰しておけば良かったと後悔した。
瞳の色を見れば、サマンサの意思が翻らないのは明白だ。
「あなたのことなのよ?」
「いや、私のことではないさ、サミー」
戸惑った様子で、サマンサは、彼とマルフリートを交互に見てくる。
彼女はとても聡明だ。
わずかな情報から様々なことを正しく推測できる。
すぐに、ハッとした表情を浮かべた。
「あの……恐れながら女王陛下はもしや……」
「レイナール・シャートレーを王配に迎えたいと考えているわ」
サマンサが口を、はくはく…とさせながら、彼のほうを見る。
彼には肩をすくめるくらいしかできることはない。
マルフリートは腹を据えたのか、サマンサに歩み寄り、その両手を握った。
「彼、まだあなたのことを想っているのかしら? あなたが私を推薦してくれれば良い印象を与えられると思うのだけれど、いかが?」
「そ、それは……どうとも……」
「彼が私を嫌っているのはわかっているわ。いつもぶっきらぼうで不機嫌で、おざなりにも笑顔を見せないのだから、わからないはずがないのよねえ」
マルフリートに目をつけられたレジーには「お気の毒」と言うほかない。
十歳の頃から十年も女王になるべくマルフリートは策を講じてきた。
きっとレジーのことも諦めず、あの手この手と考えているのだろう。
そのひとつが、サマンサだ。
「ですが……女王陛下であれば、なにも……」
「自分を嫌っている人を選ぶ必要はないと言うのでしょう? でも、もとより私を望む人には必ず裏があるものよ? それがわからないほど、あなたは愚者ではないはずよねえ、サマンサ?」
マルフリートはアドラントで起きていた事態を、ある程度は把握している。
おそらくアドラントの領地返還問題で、サマンサが利用されそうになったことも知っているのだ。
確かにアドラントの女王との婚姻には大きな「利」がつきまとうのは否めない。
だが、それは建前だと、彼にはわかっている。
「……女王陛下、失礼を承知で申し上げますが……」
「レイナールを愛しているわ」
「え……? ぇえっ?!」
「そうでなければ、あえて王配を迎える必要はないと思わない? 傍系から気に入った子女を養子にすればすむ話でしょう?」
権威を権力とはき違えるような相手なら伴侶などいらない。
腐ったアドラント王族を皇宮から締め出したマルフリートの考えそうなことだ。
つまり、本人の言ったようにレジーをそれほど「愛している」のだろう。
「そこまでだ、マルフリート。私のサミーを困らせないでくれ」
「あなたがなんとかしてくれるのなら“あなたのサミー”に頼まずにすむのに」
生憎だが、彼は、それほど面倒見がよくない。
誰彼かまわず「力になって」いると、際限がなくなる。
「ジョバンニ」
「お呼びですか、旦那様」
「マルフリートの力になってやってくれ。マルフリート、彼はじきにアドラントの領主となる者だ。今後は、私ではなく彼に“問題”を解決してもらいたまえ」
ジョバンニが恨みがましい目つきで彼を見ていた。
けれど、気にせず、穏やかに微笑んでみせる。
「私ときみは貸し借りなしだが、きみはサミーに借りがあるだろう?」
「ちょっと……アシュリー様に迷惑がかかるのは気が進まないわ」
「だそうだ。新婚旅行に出かける前までには、なんとかできるね、ジョバンニ?」
「…………かしこまりました」
彼は、パッとマルフリートに向き直り、笑顔で言った。
「さっさと皇宮に帰って、おめかしでもしたらいいのじゃないかな? 帰りはジョバンニが送るから、きみのところの魔術師を使う必要はないよ」
「いつまで経っても変わらないのねえ、せっかちさん。私は骨を折ってくれる人が誰であってもかまわないわ。次は私の婚姻の儀で会いましょう、ジェレミー」
サッサッと、2人を追いはらうように手を振る。
ジョバンニは恨みがましい目つきのままで点門を開き、マルフリートとともに、消えて行った。
「初めて、あの執事を気の毒に思ったわ。あなたって本当に人でなしね」
「きみを助けたのに酷い言い草だな。少しくらい感謝の気持ちはないのかい?」
「あなたに感謝すべき点があるのなら、言われなくても感謝するわよ」
彼はサマンサと向き合い、両手で腰を抱き寄せる。
「だが、私の気持ちを少しは理解できたようで安心した」
「な、なんのこと……?」
「きみが、産まれたての小鹿みたいに、ぶるぶる足を震わせながらも、この部屋に踏み込んできた理由が気に入ったなぁ」
サマンサの頬が赤く染まった。
彼女はなにか勘違いをして、嫉妬をしたのだ。
だから「産まれたての小鹿」状態でも見過ごしにはできなかったに違いない。
「あの子を迎えに行くまで、もう少し時間がある」
「ちょ……まさか本気では……」
「きみは劇場でも、そう言っていなかったかね? 私の本気を疑えばどうなるかも知っているはずだ」
ひょいっとサマンサを抱き上げる。
額に口づけを落としながら寝室に向かって歩き出した。
「きみに脛を蹴とばされようが、腹を殴られようが、私がきみを離したりはしないということも、覚えておいたがいい」
「この人でなし! 恥知らず!」
「ああ、碌でなしが抜けているよ? 私は出会った瞬間から、きみに破廉恥な真似をしたがる男だったじゃあないか。今さらな話だ」
サマンサはムッとした顔をしたあと、小さく息をもらした。
「本当に、どうしようもない人だわ、あなたって」
魔術で簡単に扉を開け、室内を花で満たす。
花びらを振りまいたベッドの上に、そっとサマンサを降ろした。
そして、ゆるやかに微笑む。
「しかたがないさ。私は、とびきりきみを愛しているのだから。それも知っているだろう、ねえ、きみ」
ドアノブに縋りつくようにして立っているサマンサの姿が見えた。
思わず笑ってしまいそうになるのを堪える。
誰のせいかと言われたら、自分のせいだからだ。
(怒らせるのはいいが、彼女、不機嫌になると、ちっとも私の相手をしてくれなくなってしまうのだからなぁ)
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時に、彼はサマンサにぴしゃりとやられる。
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そうなると、彼には打つ手なし。
跪いて「礼儀正しくしないでくれ」と哀願するしかない。
それでも彼女の不機嫌が直るとは限らないのだが、それはともかく。
彼は、すぐさま魔術でサマンサの体を癒した。
サマンサが体をしゃんと起こしたのを見て、軽く肩をすくめてみせる。
が、彼女の表情は変わらない。
変わらず、とげとげしい。
(体が思い通りにならなくて怒っていたのかと思ったが……)
ほかにもなにか不愉快な出来事があったのだろうか。
彼は、サマンサを前にすると、いろいろなことが疎かになる。
サマンサのことしか考えていないので、本気で周囲をとりこぼしてしまうのだ。
少なくとも息子以外の全員が、視界からも意識からも抜け落ちる。
どうやって機嫌を取るか考えている彼に見向きもせず、サマンサが入って来た。
とても「貴族らしい」上品な仕草で、頭を下げる。
かがめた腰の位置も、裾を持ち上げるためにドレスをつまんでいる指先も完璧なまでに貴族の様式美に則っていた。
「こちらにいらしていると存じ上げず、ご挨拶が遅れまして申し訳ございません、マルフリート女王陛下」
「かまわなくてよ、サマンサ」
マルフリートは、らしくもなく少しそわそわした様子を見せている。
彼は面倒に巻き込まれるのを予感した。
いや、予感するまでもなく、わかっていた。
「わかった。もういい。きみの頼みをきくからサミーを巻き込むのはよしてくれ」
「私を巻き込むって、どういうこと?」
「それを話してしまったら、否応なしに、きみは巻き込まれるじゃないか」
サマンサが、じっと彼を見つめてくる。
マルフリートに良い返事をして、さっさと帰しておけば良かったと後悔した。
瞳の色を見れば、サマンサの意思が翻らないのは明白だ。
「あなたのことなのよ?」
「いや、私のことではないさ、サミー」
戸惑った様子で、サマンサは、彼とマルフリートを交互に見てくる。
彼女はとても聡明だ。
わずかな情報から様々なことを正しく推測できる。
すぐに、ハッとした表情を浮かべた。
「あの……恐れながら女王陛下はもしや……」
「レイナール・シャートレーを王配に迎えたいと考えているわ」
サマンサが口を、はくはく…とさせながら、彼のほうを見る。
彼には肩をすくめるくらいしかできることはない。
マルフリートは腹を据えたのか、サマンサに歩み寄り、その両手を握った。
「彼、まだあなたのことを想っているのかしら? あなたが私を推薦してくれれば良い印象を与えられると思うのだけれど、いかが?」
「そ、それは……どうとも……」
「彼が私を嫌っているのはわかっているわ。いつもぶっきらぼうで不機嫌で、おざなりにも笑顔を見せないのだから、わからないはずがないのよねえ」
マルフリートに目をつけられたレジーには「お気の毒」と言うほかない。
十歳の頃から十年も女王になるべくマルフリートは策を講じてきた。
きっとレジーのことも諦めず、あの手この手と考えているのだろう。
そのひとつが、サマンサだ。
「ですが……女王陛下であれば、なにも……」
「自分を嫌っている人を選ぶ必要はないと言うのでしょう? でも、もとより私を望む人には必ず裏があるものよ? それがわからないほど、あなたは愚者ではないはずよねえ、サマンサ?」
マルフリートはアドラントで起きていた事態を、ある程度は把握している。
おそらくアドラントの領地返還問題で、サマンサが利用されそうになったことも知っているのだ。
確かにアドラントの女王との婚姻には大きな「利」がつきまとうのは否めない。
だが、それは建前だと、彼にはわかっている。
「……女王陛下、失礼を承知で申し上げますが……」
「レイナールを愛しているわ」
「え……? ぇえっ?!」
「そうでなければ、あえて王配を迎える必要はないと思わない? 傍系から気に入った子女を養子にすればすむ話でしょう?」
権威を権力とはき違えるような相手なら伴侶などいらない。
腐ったアドラント王族を皇宮から締め出したマルフリートの考えそうなことだ。
つまり、本人の言ったようにレジーをそれほど「愛している」のだろう。
「そこまでだ、マルフリート。私のサミーを困らせないでくれ」
「あなたがなんとかしてくれるのなら“あなたのサミー”に頼まずにすむのに」
生憎だが、彼は、それほど面倒見がよくない。
誰彼かまわず「力になって」いると、際限がなくなる。
「ジョバンニ」
「お呼びですか、旦那様」
「マルフリートの力になってやってくれ。マルフリート、彼はじきにアドラントの領主となる者だ。今後は、私ではなく彼に“問題”を解決してもらいたまえ」
ジョバンニが恨みがましい目つきで彼を見ていた。
けれど、気にせず、穏やかに微笑んでみせる。
「私ときみは貸し借りなしだが、きみはサミーに借りがあるだろう?」
「ちょっと……アシュリー様に迷惑がかかるのは気が進まないわ」
「だそうだ。新婚旅行に出かける前までには、なんとかできるね、ジョバンニ?」
「…………かしこまりました」
彼は、パッとマルフリートに向き直り、笑顔で言った。
「さっさと皇宮に帰って、おめかしでもしたらいいのじゃないかな? 帰りはジョバンニが送るから、きみのところの魔術師を使う必要はないよ」
「いつまで経っても変わらないのねえ、せっかちさん。私は骨を折ってくれる人が誰であってもかまわないわ。次は私の婚姻の儀で会いましょう、ジェレミー」
サッサッと、2人を追いはらうように手を振る。
ジョバンニは恨みがましい目つきのままで点門を開き、マルフリートとともに、消えて行った。
「初めて、あの執事を気の毒に思ったわ。あなたって本当に人でなしね」
「きみを助けたのに酷い言い草だな。少しくらい感謝の気持ちはないのかい?」
「あなたに感謝すべき点があるのなら、言われなくても感謝するわよ」
彼はサマンサと向き合い、両手で腰を抱き寄せる。
「だが、私の気持ちを少しは理解できたようで安心した」
「な、なんのこと……?」
「きみが、産まれたての小鹿みたいに、ぶるぶる足を震わせながらも、この部屋に踏み込んできた理由が気に入ったなぁ」
サマンサの頬が赤く染まった。
彼女はなにか勘違いをして、嫉妬をしたのだ。
だから「産まれたての小鹿」状態でも見過ごしにはできなかったに違いない。
「あの子を迎えに行くまで、もう少し時間がある」
「ちょ……まさか本気では……」
「きみは劇場でも、そう言っていなかったかね? 私の本気を疑えばどうなるかも知っているはずだ」
ひょいっとサマンサを抱き上げる。
額に口づけを落としながら寝室に向かって歩き出した。
「きみに脛を蹴とばされようが、腹を殴られようが、私がきみを離したりはしないということも、覚えておいたがいい」
「この人でなし! 恥知らず!」
「ああ、碌でなしが抜けているよ? 私は出会った瞬間から、きみに破廉恥な真似をしたがる男だったじゃあないか。今さらな話だ」
サマンサはムッとした顔をしたあと、小さく息をもらした。
「本当に、どうしようもない人だわ、あなたって」
魔術で簡単に扉を開け、室内を花で満たす。
花びらを振りまいたベッドの上に、そっとサマンサを降ろした。
そして、ゆるやかに微笑む。
「しかたがないさ。私は、とびきりきみを愛しているのだから。それも知っているだろう、ねえ、きみ」
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自分は、現実の服飾流行にとても疎いので、バンビ柄というのがどういうものか検索をして画像を見てみました。手袋は可愛いなと感じました。コートとか生地の大きな物を見ていると別のものが見えてきて……何かに似ているけれどなんだろうと。マタギの狼⇔熊みたいな感じで気づきました。フグです。フグを思い出していました 笑 あの丸い不規則な柄が。狼と熊より……哺乳類でさえなかったという 笑 バンビ柄は生地との組み合わせで活きてきそうですね。ふわふわっとした感じが、可愛いに繋がっているのではと。似た感じでゴマサバが思い浮かび、食べたくなりました。おのれ! 大笑
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本編を書いていた時から、この辺りは自分だけ設定(笑)がありまして、後日談で書くことができて良かったと思っております。レジーその後は明確にはなっておりませんが、そこはご想像にてお願いしたく候 笑
自分は、きっと邪でケガレなのでしょうね…具体的な部分は同感ではございますが、もう少し踏み込んでもいいかなと思うこともあります。R16.5くらいの。いわゆる「朝ちゅん」や「奥様ご懐妊」だけでは、踏み込みが浅い?と思ったり。がっつりR18ではなく、そのギリギリのライン。ですが、規約的に自分では判断ができかねるので、Rではないギリセーフなところまでとしております 笑
ちなみに、この世界観では「トイレ」がありません(初作にて言及) では、下着は? これは明確に答えが出ておりますので、ふれずにおきます 笑
限りなく妖精に近い彼は「どこからともなくもれた」情報により、詳細はともかく結果判定された瞬間、兄号泣、盛大な花火を打ち上げられてしまいそうですね 大笑
貴族式婚姻なので誓いの口づけもしたでしょうし、そこでも兄号泣かと。ですが、たぶんナルとは違い「かまわん。泣かせておけ」と。
いつも話の内容もそうですが、キャラクターそれぞれに想像とそこからくる感情をお伝えくださり、とても喜んでおります! 同じ世界を共有して頂けていることに感謝です!
シリーズをここまで読んできてずっと考えていました。愛を失えば生きていけない…これはそんなに特異なことか?愛とはそういうものではないのか?と。
私、3年前に犬を亡くしました。犬が死んだ翌朝、当たり前に太陽が登ったときに、世界を呪う類の怒りを感じたことを今もよく覚えています。私の大事なものは昨日、この世からいなくなったのに世界は何も変わらない。その無情さに腹が立ちました。そんな世界なんか壊れてしまえ!って。
たかが犬と下に置く人もいますが、犬が私に向けてくれた愛はとてつもなく大きかったです。逆に人は自分以外の誰かにあんなにも当たり前に自分の全てを差し出せるかしら?その答えもこのお話にありました。フレデリック!彼は迷いなく差し出していました。さすが尊敬すべき犬コロです。私はあんなに大事な犬にさえ自分の全てを差し出せていませんでした。いわゆる大人の事情ってやつですね。愚かだったわ。生きてくれているだけで役に立っている…まさに犬に愛されている人間の言葉です。
失って知りましたが、本当の恐怖は失ったあとやって来ました。喪失が変えられない事実なら、せめて一緒に過ごした日々の全てを覚えていたいのに、私はいつかそれを忘れてしまうかも知れないという恐怖。忘れてしまえばもはや忘れてしまったこともわからない。そうなるくらいなら、全て覚えている今のうちに自分を終わらせたい。死にたがりだったジョシュアがレティに出会うまでどんなふうに息をしていたか、私は知っている気がするのはそこに重ねているからかも知れません。
そういう気持ちを抱えながら、今も私が生きているのは、私が亡くした犬と一緒に大事に育てたもう1頭の犬がいたからです。もう1頭のけして長くない一生をできるだけ大事にしようと思うからです。一方で1度喪失を知った私はこの犬を喪うことに怯えています。怯えながら私は毎晩、明日も自分が強くいられるために犬に言い聞かせています。あなたはとってもいい子。かわいいしお利口さん。でも、あなたがいい子だから好きなんじゃないのよ。あなたが悪い子でも大好きって。サムがリスに同じこと言ったときには息が止まりました。リスのためでありながら、同時に実はサムのための発言でもあったんでしょうか。
今回は特に私にとって生々しく匂うお話でした。作者様が感情描写に長けているというのはいいことばかりじゃないかも?と思うくらいには笑
ご感想を頂き、ありがとうございます。
愛というものも様々で、向ける相手に対する比重や種類によっても失った時の心の反応も違ってきたりするかなぁとは思っております。
Jasmin様が仰られておられるように「喪う恐怖」のほうが先にあり、だからこそ、喪ったらどうなるのか=生きていけない、という感覚を持つのではないかと思ったり。
なんの見返りも求めず、疑問さえいだかず、自分の持っているものすべてを差し出せるというのは、なかなかないことだと思います。そういう意味では、フレデリックは自分の書く話の中でも特殊なキャラクターだったかもしれません。
(対極風ではありますが、実は「元ジーク」もそういうところがあったのですけども)
逝ってしまう側の気持ちはわからないがゆえに、遺されるほうがキツい、というのはあるかと思います。とくに、相手が悲しむなど、なにかしらの理由をもって相手がいるから生きている、というのは、自分の存在意義と成り得ますし、生存理由にもなっています。
なので、その相手がいなければ、生きていなければならない理由が薄れるというところで、ジョシュアは死にたがりだったかもしれません。
サムがリスに言った言葉に、リスのためだけではない部分を感じとって頂けたことを、とても嬉しく感じております。サム自身も、色々と自分について考えさせられていることもありましたので。記憶の件で、なおさら、といったところでしょうか。
日常というのは、本当にとても強くて、自分の心情としては留まっていたいと思っていても、いつしか押し流されてしまったりするよなぁと、時折、寂しくなったりします。
忘れてはいなくても、その時とまったく同じ心情かと言えば、違っていたりするので。
感情描写が長けているというよりは、書いている上で自分から出てきた様々な思いを、Jasmin様が受け止めてくださっているのではないかと思います。
おこがましい言い方をすれば、共鳴して頂けたのではないかと、嬉しくもあり、心苦しくもあり 苦笑
このたびも、深く沁み込むように、お読みくださり、大変、感謝しております!
レジーがフリーならレジーとくっついてほしいくらい(笑)。記憶喪失って知ったらどんな顔するんだろ、ジェレミー。
足をお運び頂き、ありがとうございます!
いわゆる「愛するより愛されるほうが幸せ」みたいなものもあるかもしれませんよね(笑)
怒るようなこともなく、じゃじゃ馬にもならずにすみますし。
どうなったとしても、話を聞かない人が悪いのです(笑)