2 / 300
第1章 彼女の言葉はわからない
日々どうでもいいことばかり 2
しおりを挟む
ティトーヴァは、カサンドラが去ったあと、不可解な気分で私室に戻っていた。
目の前には豪勢な夕食が並んでいる。
1人であれば、わざわざ食堂に行く必要はない。
そのため、自室での食事としたのだ。
「なにか気になっておられるのですか?」
声をかけてきたのは、銀の髪と緑の瞳を持つ同世代の男。
ティトーヴァの最側近である、ベンジャミン・サレス。
ヴァルキアス帝国直属の公爵家サレスの次男だ。
ティトーヴァとは、幼い頃からつきあいがある。
ともに教育を受けたこともあり、親しい間柄ではあるが、ティトーヴァが正式な皇太子となってからは、上下の関係となっていた。
「わかっているくせに聞くな」
小さくにらんでも、ベンジャミンは気にした様子もない。
緑色の細い目を、さらに少しだけ細め、視線を外しただけだ。
ティトーヴァの肩までもない髪とは違い、後ろでひとまとめにした肩下まである長い銀髪を揺らしもせずにいる。
ベンジャミンは、この長髪について「古の文化の尊重だ」などと言っていたが、ティトーヴァは、いささかも信じていない。
単に、官僚然とした格好をしたくないだけだと、わかっている。
昔から、細い体躯で大人しそうな外見にはそぐわない性格だと感じていた。
「では、言い換えましょう。“なにが”気になっておられるのですか?」
ベンジャミンが「なにか」を「なにが」に切り替えてくる。
つまり、気になることがあるのかという問いから、気にしている理由はなにか、という問いに、内容を変えたのだ。
ティトーヴァは、並べられた夕食を、じっと見つめる。
私室は広く、用途別にいくつもの専用部屋があった。
今いるのは、私室の中でも食事を主の目的とする部屋だ。
ほとんどの場合、ティトーヴァは、ここで食事をする。
カサンドラとの月に1度の「顔合わせ」の日以外は。
カサンドラが皇宮で暮らすようになって2年が経つ。
合計24回、今日は25回目となる日だ。
これまで、変わったことはなにもなかった。
ティトーヴァが声をかけ、カサンドラが答える。
内容は、いつも同じ。
「あの女が、断ったのは初めてだ」
会話はないものの、2人で夕食をすませるのが決まりのようになっていた。
定例の「顔合わせ」の一連の流れは、夕食で締めくくられる。
カサンドラがどう思っていたのかは知らない。
だが、この流れが断ち切られたことはなかった。
むしろ、まともな会話もしないのに、彼女は、ティトーヴァとの「顔合わせ」を楽しみにしていたように思う。
ありふれた銅色の瞳には、わずかな期待が漂っていた。
ティトーヴァは、皇帝になるための教育を受けている。
作り物の表情か否かくらい、簡単に読み取れるのだ。
(今日は違っていた……)
なんの期待もない眼差しと口調。
24回目までは確かに感じ取れていた、ティトーヴァに対する肯定的な感情が、いっさいなかった。
恋愛感情を持たれても鬱陶しいが、急に豹変されると、それはそれで気になる。
「殿下には無関係、いえ、好都合でしょうが、彼女は母親を亡くしたばかりです」
ベンジャミンに言われて、思い出した。
カサンドラの母、現皇帝の妻であった皇后フェリシアが亡くなったのは半月前のことだ。
「母親が死んで間もないのですから、食欲を失くしても不思議ではありません」
「確かにな」
ベンジャミンの言葉にうなずく。
ティトーヴァにとっては憎しみの対象でしかない女であっても、カサンドラには母であり、たった1人の肉親だ。
半月で、悲しみを忘れられはしないだろう。
ティトーヴァの中にあった不可解さが、スッと消える。
気にするほどのことではなかったと、ひとまず納得したからだ。
カサンドラの心境に変化があったのなら、注視する必要があると考えていた。
なにか企んでいるとも限らない。
なにしろ、カサンドラは、あのフェリシアの娘なのだから。
「帝国にとって皇后の死は喜ばしいことですが」
「ベンジー……」
ティトーヴァは、臣下でありながらも、ベンジャミンを友としている。
昔ながらの愛称呼びをやめる気もなかった。
それだけ近しい関係だと周囲に知らしめることも必要だ。
ベンジャミンが侮られずにすむ。
「そう思っているのは私だけではありません。意見を同じくする者が、少なくない数いるでしょう」
ティトーヴァも同意見であり、否定はしない。
とはいえ、皇帝である父が皇后とした女だ。
内心を隠し、本音は晒さないようにしている。
父の不興をかうのも本意ではなかったし。
「これで、元の陛下に戻ってくださればいいですね」
その言葉に、ティトーヴァは半分肯定、半分否定といった気分になった。
現皇帝キリヴァン・ヴァルキアは非情な王だ。
だからこそ、帝国を築き上げられたとも言える。
強い意志と高い統率力、知略に富み、それを実行し得る冷徹さを持っていた。
15歳の頃から戦場に出て、25歳になる頃には、大半の国を征服している。
「ラーザがなくなれば父の憂いは晴れると思ったが、そうはならなかった」
ラーザは、東にある小さな国だ。
帝国に最後まで抵抗した国として知られていた。
今は、名も残ってはおらず、9つの属国よりも下位に属している。
最近まで元ラーザ国民は、ウェルキアス帝国で奴隷のような扱いを受けていた。
まともな職には就けず、各国の民がやりたがらない仕事しか与えられず。
ティトーヴァが、17歳でラーザを亡ぼして以来のことだ。
フェリシアは20歳まで、そのラーザ国の女王だった。
当時、帝国の領土拡大を推し進めていた父と出会ったのは、その頃らしい。
「俺の成したことにも、母上のことも、父上は関心を示さないどころか……」
ティトーヴァは、きゅっと眉を吊り上げる。
経緯はともかく、戦時中、父はフェリシアに入れ上げてしまったのだ。
ラーザ征服を切り上げ、フェリシアを皇后として迎え入れるため帝国に戻った。
その間に、フェリシアは別の男と関係を持ち、姿をくらましている。
父は裏切られたのだ。
にもかかわらず、結局、ラーザは征服されずに放置された。
あたかも独立国のような扱いを受けるラーザ国を、ティトーヴァは看過できず、帝国民と属国を味方に、戦争をしかけた。
そして、女王不在のラーザ国を、あっという間に滅したのだ。
もっともラーザの民は、ティトーヴァの到着前には、散り散りに逃げてしまっていたので「滅ぼした」というには語弊があるのだけれど、それはともかく。
あの時、ティトーヴァは思った。
(あの女への未練を断ち切って、母上を皇后に迎えてくれると考えた。俺のことも認めざるを得ないだろうと……)
愚かなのは、自分か父か。
ラーザが亡んでも、父は変わらなかった。
側室だったティトーヴァの母を皇后にすることもなく、彼の能力を認めることもなく、冷たくあしらっただけだ。
ひどく迷惑なことをした、と言わんばかりに。
それで、ティトーヴァは悟った。
自分がなにを成そうと、父に認められることはない。
父は、母のこともティトーヴァのことも愛さないのだと思い知った。
だから、諦めている。
父と呼んではいても、ティトーヴァにとって父は、もはや父ではなく、国を統治する皇帝に過ぎない。
ティトーヴァの母ネルウィスタは、永遠に皇后にはなれない我が身を嘆き、自ら命を絶っている。
「生きていればこその話ですよ、殿下。希望があれば、縋りつくのが人というものです。ですが、あの女は死にました。手がとどかないとなれば、陛下も諦めをつけられるでしょう」
「どうだかな。この2年の腑抜けたざまが改まれば良いが、期待はできん」
隠れ潜んで暮らしていたらしいフェリシアを、どうやってか見つけ出し、父は、皇宮に連れて来た。
あげく、それまで誰もつくことのなかった皇后の座につかせたのだ。
そして、フェリシアの連れ子だったカサンドラを、あろうことかティトーヴァの婚約者とした。
カサンドラの父について聞いたことはない。
興味もなかったが、それ以上に腹立たしかったからだ。
後ろ盾のない娘を想ってというより自らの保身のため、フェリシアが父を唆したのだと、彼は思っている。
目の前には豪勢な夕食が並んでいる。
1人であれば、わざわざ食堂に行く必要はない。
そのため、自室での食事としたのだ。
「なにか気になっておられるのですか?」
声をかけてきたのは、銀の髪と緑の瞳を持つ同世代の男。
ティトーヴァの最側近である、ベンジャミン・サレス。
ヴァルキアス帝国直属の公爵家サレスの次男だ。
ティトーヴァとは、幼い頃からつきあいがある。
ともに教育を受けたこともあり、親しい間柄ではあるが、ティトーヴァが正式な皇太子となってからは、上下の関係となっていた。
「わかっているくせに聞くな」
小さくにらんでも、ベンジャミンは気にした様子もない。
緑色の細い目を、さらに少しだけ細め、視線を外しただけだ。
ティトーヴァの肩までもない髪とは違い、後ろでひとまとめにした肩下まである長い銀髪を揺らしもせずにいる。
ベンジャミンは、この長髪について「古の文化の尊重だ」などと言っていたが、ティトーヴァは、いささかも信じていない。
単に、官僚然とした格好をしたくないだけだと、わかっている。
昔から、細い体躯で大人しそうな外見にはそぐわない性格だと感じていた。
「では、言い換えましょう。“なにが”気になっておられるのですか?」
ベンジャミンが「なにか」を「なにが」に切り替えてくる。
つまり、気になることがあるのかという問いから、気にしている理由はなにか、という問いに、内容を変えたのだ。
ティトーヴァは、並べられた夕食を、じっと見つめる。
私室は広く、用途別にいくつもの専用部屋があった。
今いるのは、私室の中でも食事を主の目的とする部屋だ。
ほとんどの場合、ティトーヴァは、ここで食事をする。
カサンドラとの月に1度の「顔合わせ」の日以外は。
カサンドラが皇宮で暮らすようになって2年が経つ。
合計24回、今日は25回目となる日だ。
これまで、変わったことはなにもなかった。
ティトーヴァが声をかけ、カサンドラが答える。
内容は、いつも同じ。
「あの女が、断ったのは初めてだ」
会話はないものの、2人で夕食をすませるのが決まりのようになっていた。
定例の「顔合わせ」の一連の流れは、夕食で締めくくられる。
カサンドラがどう思っていたのかは知らない。
だが、この流れが断ち切られたことはなかった。
むしろ、まともな会話もしないのに、彼女は、ティトーヴァとの「顔合わせ」を楽しみにしていたように思う。
ありふれた銅色の瞳には、わずかな期待が漂っていた。
ティトーヴァは、皇帝になるための教育を受けている。
作り物の表情か否かくらい、簡単に読み取れるのだ。
(今日は違っていた……)
なんの期待もない眼差しと口調。
24回目までは確かに感じ取れていた、ティトーヴァに対する肯定的な感情が、いっさいなかった。
恋愛感情を持たれても鬱陶しいが、急に豹変されると、それはそれで気になる。
「殿下には無関係、いえ、好都合でしょうが、彼女は母親を亡くしたばかりです」
ベンジャミンに言われて、思い出した。
カサンドラの母、現皇帝の妻であった皇后フェリシアが亡くなったのは半月前のことだ。
「母親が死んで間もないのですから、食欲を失くしても不思議ではありません」
「確かにな」
ベンジャミンの言葉にうなずく。
ティトーヴァにとっては憎しみの対象でしかない女であっても、カサンドラには母であり、たった1人の肉親だ。
半月で、悲しみを忘れられはしないだろう。
ティトーヴァの中にあった不可解さが、スッと消える。
気にするほどのことではなかったと、ひとまず納得したからだ。
カサンドラの心境に変化があったのなら、注視する必要があると考えていた。
なにか企んでいるとも限らない。
なにしろ、カサンドラは、あのフェリシアの娘なのだから。
「帝国にとって皇后の死は喜ばしいことですが」
「ベンジー……」
ティトーヴァは、臣下でありながらも、ベンジャミンを友としている。
昔ながらの愛称呼びをやめる気もなかった。
それだけ近しい関係だと周囲に知らしめることも必要だ。
ベンジャミンが侮られずにすむ。
「そう思っているのは私だけではありません。意見を同じくする者が、少なくない数いるでしょう」
ティトーヴァも同意見であり、否定はしない。
とはいえ、皇帝である父が皇后とした女だ。
内心を隠し、本音は晒さないようにしている。
父の不興をかうのも本意ではなかったし。
「これで、元の陛下に戻ってくださればいいですね」
その言葉に、ティトーヴァは半分肯定、半分否定といった気分になった。
現皇帝キリヴァン・ヴァルキアは非情な王だ。
だからこそ、帝国を築き上げられたとも言える。
強い意志と高い統率力、知略に富み、それを実行し得る冷徹さを持っていた。
15歳の頃から戦場に出て、25歳になる頃には、大半の国を征服している。
「ラーザがなくなれば父の憂いは晴れると思ったが、そうはならなかった」
ラーザは、東にある小さな国だ。
帝国に最後まで抵抗した国として知られていた。
今は、名も残ってはおらず、9つの属国よりも下位に属している。
最近まで元ラーザ国民は、ウェルキアス帝国で奴隷のような扱いを受けていた。
まともな職には就けず、各国の民がやりたがらない仕事しか与えられず。
ティトーヴァが、17歳でラーザを亡ぼして以来のことだ。
フェリシアは20歳まで、そのラーザ国の女王だった。
当時、帝国の領土拡大を推し進めていた父と出会ったのは、その頃らしい。
「俺の成したことにも、母上のことも、父上は関心を示さないどころか……」
ティトーヴァは、きゅっと眉を吊り上げる。
経緯はともかく、戦時中、父はフェリシアに入れ上げてしまったのだ。
ラーザ征服を切り上げ、フェリシアを皇后として迎え入れるため帝国に戻った。
その間に、フェリシアは別の男と関係を持ち、姿をくらましている。
父は裏切られたのだ。
にもかかわらず、結局、ラーザは征服されずに放置された。
あたかも独立国のような扱いを受けるラーザ国を、ティトーヴァは看過できず、帝国民と属国を味方に、戦争をしかけた。
そして、女王不在のラーザ国を、あっという間に滅したのだ。
もっともラーザの民は、ティトーヴァの到着前には、散り散りに逃げてしまっていたので「滅ぼした」というには語弊があるのだけれど、それはともかく。
あの時、ティトーヴァは思った。
(あの女への未練を断ち切って、母上を皇后に迎えてくれると考えた。俺のことも認めざるを得ないだろうと……)
愚かなのは、自分か父か。
ラーザが亡んでも、父は変わらなかった。
側室だったティトーヴァの母を皇后にすることもなく、彼の能力を認めることもなく、冷たくあしらっただけだ。
ひどく迷惑なことをした、と言わんばかりに。
それで、ティトーヴァは悟った。
自分がなにを成そうと、父に認められることはない。
父は、母のこともティトーヴァのことも愛さないのだと思い知った。
だから、諦めている。
父と呼んではいても、ティトーヴァにとって父は、もはや父ではなく、国を統治する皇帝に過ぎない。
ティトーヴァの母ネルウィスタは、永遠に皇后にはなれない我が身を嘆き、自ら命を絶っている。
「生きていればこその話ですよ、殿下。希望があれば、縋りつくのが人というものです。ですが、あの女は死にました。手がとどかないとなれば、陛下も諦めをつけられるでしょう」
「どうだかな。この2年の腑抜けたざまが改まれば良いが、期待はできん」
隠れ潜んで暮らしていたらしいフェリシアを、どうやってか見つけ出し、父は、皇宮に連れて来た。
あげく、それまで誰もつくことのなかった皇后の座につかせたのだ。
そして、フェリシアの連れ子だったカサンドラを、あろうことかティトーヴァの婚約者とした。
カサンドラの父について聞いたことはない。
興味もなかったが、それ以上に腹立たしかったからだ。
後ろ盾のない娘を想ってというより自らの保身のため、フェリシアが父を唆したのだと、彼は思っている。
1
お気に入りに追加
339
あなたにおすすめの小説
私の頑張りは、とんだ無駄骨だったようです
風見ゆうみ
恋愛
私、リディア・トゥーラル男爵令嬢にはジッシー・アンダーソンという婚約者がいた。ある日、学園の中庭で彼が女子生徒に告白され、その生徒と抱き合っているシーンを大勢の生徒と一緒に見てしまった上に、その場で婚約破棄を要求されてしまう。
婚約破棄を要求されてすぐに、ミラン・ミーグス公爵令息から求婚され、ひそかに彼に思いを寄せていた私は、彼の申し出を受けるか迷ったけれど、彼の両親から身を引く様にお願いされ、ミランを諦める事に決める。
そんな私は、学園を辞めて遠くの街に引っ越し、平民として新しい生活を始めてみたんだけど、ん? 誰かからストーカーされてる? それだけじゃなく、ミランが私を見つけ出してしまい…!?
え、これじゃあ、私、何のために引っ越したの!?
※恋愛メインで書くつもりですが、ざまぁ必要のご意見があれば、微々たるものになりますが、ざまぁを入れるつもりです。
※ざまぁ希望をいただきましたので、タグを「ざまぁ」に変更いたしました。
※史実とは関係ない異世界の世界観であり、設定も緩くご都合主義です。魔法も存在します。作者の都合の良い世界観や設定であるとご了承いただいた上でお読み下さいませ。
嘘つきな唇〜もう貴方のことは必要ありません〜
みおな
恋愛
伯爵令嬢のジュエルは、王太子であるシリウスから求婚され、王太子妃になるべく日々努力していた。
そんなある日、ジュエルはシリウスが一人の女性と抱き合っているのを見てしまう。
その日以来、何度も何度も彼女との逢瀬を重ねるシリウス。
そんなに彼女が好きなのなら、彼女を王太子妃にすれば良い。
ジュエルが何度そう言っても、シリウスは「彼女は友人だよ」と繰り返すばかり。
堂々と嘘をつくシリウスにジュエルは・・・
【完結】記憶が戻ったら〜孤独な妻は英雄夫の変わらぬ溺愛に溶かされる〜
凛蓮月
恋愛
【完全完結しました。ご愛読頂きありがとうございます!】
公爵令嬢カトリーナ・オールディスは、王太子デーヴィドの婚約者であった。
だが、カトリーナを良く思っていなかったデーヴィドは真実の愛を見つけたと言って婚約破棄した上、カトリーナが最も嫌う醜悪伯爵──ディートリヒ・ランゲの元へ嫁げと命令した。
ディートリヒは『救国の英雄』として知られる王国騎士団副団長。だが、顔には数年前の戦で負った大きな傷があった為社交界では『醜悪伯爵』と侮蔑されていた。
嫌がったカトリーナは逃げる途中階段で足を踏み外し転げ落ちる。
──目覚めたカトリーナは、一切の記憶を失っていた。
王太子命令による望まぬ婚姻ではあったが仲良くするカトリーナとディートリヒ。
カトリーナに想いを寄せていた彼にとってこの婚姻は一生に一度の奇跡だったのだ。
(記憶を取り戻したい)
(どうかこのままで……)
だが、それも長くは続かず──。
【HOTランキング1位頂きました。ありがとうございます!】
※このお話は、以前投稿したものを大幅に加筆修正したものです。
※中編版、短編版はpixivに移動させています。
※小説家になろう、ベリーズカフェでも掲載しています。
※ 魔法等は出てきませんが、作者独自の異世界のお話です。現実世界とは異なります。(異世界語を翻訳しているような感覚です)
【完結】引きこもりが異世界でお飾りの妻になったら「愛する事はない」と言った夫が溺愛してきて鬱陶しい。
千紫万紅
恋愛
男爵令嬢アイリスは15歳の若さで冷徹公爵と噂される男のお飾りの妻になり公爵家の領地に軟禁同然の生活を強いられる事になった。
だがその3年後、冷徹公爵ラファエルに突然王都に呼び出されたアイリスは「女性として愛するつもりは無いと」言っていた冷徹公爵に、「君とはこれから愛し合う夫婦になりたいと」宣言されて。
いやでも、貴方……美人な平民の恋人いませんでしたっけ……?
と、お飾りの妻生活を謳歌していた 引きこもり はとても嫌そうな顔をした。
前世軍医だった傷物令嬢は、幸せな花嫁を夢見る
花雨宮琵
恋愛
侯爵令嬢のローズは、10歳のある日、背中に刀傷を負い生死の境をさまよう。
その時に見た夢で、軍医として生き、結婚式の直前に婚約者を亡くした前世が蘇る。
何とか一命を取り留めたものの、ローズの背中には大きな傷が残った。
“傷物令嬢”として揶揄される中、ローズは早々に貴族女性として生きることを諦め、隣国の帝国医学校へ入学する。
背中の傷を理由に六回も婚約を破棄されるも、18歳で隣国の医師資格を取得。自立しようとした矢先に王命による7回目の婚約が結ばれ、帰国を余儀なくされる。
7人目となる婚約者は、弱冠25歳で東の将軍となった、ヴァンドゥール公爵家次男のフェルディナンだった。
長年行方不明の想い人がいるフェルディナンと、義務ではなく愛ある結婚を夢見るローズ。そんな二人は、期間限定の条件付き婚約関係を結ぶことに同意する。
守られるだけの存在でいたくない! と思うローズは、一人の医師として自立し、同時に、今世こそは愛する人と結ばれて幸せな家庭を築きたいと願うのであったが――。
この小説は、人生の理不尽さ・不条理さに傷つき悩みながらも、幸せを求めて奮闘する女性の物語です。
※この作品は2年前に掲載していたものを大幅に改稿したものです。
(C)Elegance 2025 All Rights Reserved.無断転載・無断翻訳を固く禁じます。
行動あるのみです!
棗
恋愛
※一部タイトル修正しました。
シェリ・オーンジュ公爵令嬢は、長年の婚約者レーヴが想いを寄せる名高い【聖女】と結ばれる為に身を引く決意をする。
自身の我儘のせいで好きでもない相手と婚約させられていたレーヴの為と思った行動。
これが実は勘違いだと、シェリは知らない。
【完結済】次こそは愛されるかもしれないと、期待した私が愚かでした。
こゆき
恋愛
リーゼッヒ王国、王太子アレン。
彼の婚約者として、清く正しく生きてきたヴィオラ・ライラック。
皆に祝福されたその婚約は、とてもとても幸せなものだった。
だが、学園にとあるご令嬢が転入してきたことにより、彼女の生活は一変してしまう。
何もしていないのに、『ヴィオラがそのご令嬢をいじめている』とみんなが言うのだ。
どれだけ違うと訴えても、誰も信じてはくれなかった。
絶望と悲しみにくれるヴィオラは、そのまま隣国の王太子──ハイル帝国の王太子、レオへと『同盟の証』という名の厄介払いとして嫁がされてしまう。
聡明な王子としてリーゼッヒ王国でも有名だったレオならば、己の無罪を信じてくれるかと期待したヴィオラだったが──……
※在り来りなご都合主義設定です
※『悪役令嬢は自分磨きに忙しい!』の合間の息抜き小説です
※つまりは行き当たりばったり
※不定期掲載な上に雰囲気小説です。ご了承ください
4/1 HOT女性向け2位に入りました。ありがとうございます!
赤貧令嬢の借金返済契約
夏菜しの
恋愛
大病を患った父の治療費がかさみ膨れ上がる借金。
いよいよ返す見込みが無くなった頃。父より爵位と領地を返還すれば借金は国が肩代わりしてくれると聞かされる。
クリスタは病床の父に代わり爵位を返還する為に一人で王都へ向かった。
王宮の中で会ったのは見た目は良いけど傍若無人な大貴族シリル。
彼は令嬢の過激なアプローチに困っていると言い、クリスタに婚約者のフリをしてくれるように依頼してきた。
それを条件に父の医療費に加えて、借金を肩代わりしてくれると言われてクリスタはその契約を承諾する。
赤貧令嬢クリスタと大貴族シリルのお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる