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序
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「あたしは世界を救うんだ。くらえ! ウィンドストリーム!」
「はぁ? 何、バカなことばかり言ってんのよ? いい加減、目を覚ましな。無限斬撃!」
洋間の一室で、二人の女の子が、夜中に二台のパソコンのマウスをクリックしながら、それぞれ掛け声をあげる。双子の姉妹、綾音と風音だ。二人とも市立虎之子中学校の一年生だが、性格は真逆である。
綾音は真面目でスポーツ万能で成績優秀という優等生なのに、風音のほうはオンラインゲームやカードゲーム大好きなオタクで、まるでアニメ『ガヴリールドロップアウト』の主人公ガヴリールみたいな自堕落な性格である。ガヴリールよろしく、「自分には異世界を救う義務がある」などと信じてオンラインゲームをやっている困り者だ。テニスの順位やテストの成績も綾音には及ばず、宿題もろくにしない問題児でもある。
その日も、二人は相部屋になっている八畳の自室で、それぞれに買い与えられたパソコンでオンラインゲームをしていた。風音は異世界を救う勇者パーティーを組み、ひたすらモンスターを狩って財貨やアイテムや経験値を稼いでいるのに対し、綾音はチャットで会話を楽しみながら、お気楽にソロで細々とモンスターを狩っている程度である。職業は、風音が攻撃魔法職で、綾音が戦士職だ。
「あたしは、『大魔法使い』っていう称号にあこがれているのよ。だからこそ、攻撃魔法職を選んだの。ハーマイオニーみたいで、かっこいいじゃん」
「そう? ウチは『封神演義』の黄天化みたいに、剣の宝貝をブンブン振り回すほうが良いわ。剣でモンスターをバッサバッサと斬っていく感覚が、たまんないのよねぇ」
「てか、『封神演義』って何よ? あたしは知らないんだけど」
「もう、風音は相かわらず、本を読まないんだから……。古代中国の殷と周との、仙人どうしの戦争を描いた小説よ」
このように、あまり似ていない双子の姉妹だったが、後には互いに深く関係することになるとは、このとき予想だにしていなかった。
「はぁ? 何、バカなことばかり言ってんのよ? いい加減、目を覚ましな。無限斬撃!」
洋間の一室で、二人の女の子が、夜中に二台のパソコンのマウスをクリックしながら、それぞれ掛け声をあげる。双子の姉妹、綾音と風音だ。二人とも市立虎之子中学校の一年生だが、性格は真逆である。
綾音は真面目でスポーツ万能で成績優秀という優等生なのに、風音のほうはオンラインゲームやカードゲーム大好きなオタクで、まるでアニメ『ガヴリールドロップアウト』の主人公ガヴリールみたいな自堕落な性格である。ガヴリールよろしく、「自分には異世界を救う義務がある」などと信じてオンラインゲームをやっている困り者だ。テニスの順位やテストの成績も綾音には及ばず、宿題もろくにしない問題児でもある。
その日も、二人は相部屋になっている八畳の自室で、それぞれに買い与えられたパソコンでオンラインゲームをしていた。風音は異世界を救う勇者パーティーを組み、ひたすらモンスターを狩って財貨やアイテムや経験値を稼いでいるのに対し、綾音はチャットで会話を楽しみながら、お気楽にソロで細々とモンスターを狩っている程度である。職業は、風音が攻撃魔法職で、綾音が戦士職だ。
「あたしは、『大魔法使い』っていう称号にあこがれているのよ。だからこそ、攻撃魔法職を選んだの。ハーマイオニーみたいで、かっこいいじゃん」
「そう? ウチは『封神演義』の黄天化みたいに、剣の宝貝をブンブン振り回すほうが良いわ。剣でモンスターをバッサバッサと斬っていく感覚が、たまんないのよねぇ」
「てか、『封神演義』って何よ? あたしは知らないんだけど」
「もう、風音は相かわらず、本を読まないんだから……。古代中国の殷と周との、仙人どうしの戦争を描いた小説よ」
このように、あまり似ていない双子の姉妹だったが、後には互いに深く関係することになるとは、このとき予想だにしていなかった。
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