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壊れた心
魔法
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ぱちりと目が覚めた。
手足が冷たい。
喉の渇きがひどくてガラガラする。
水を求めて歩きたかったけど、体が重くて動けなかった。
助けを求めようと思ったけど、声が出ないからやめた。それに、今まではこんな風に動けなくなったらじっとして体が動くまで寝っ転がっていた。特に食欲もないからちょうどいい。
あれ?・・・今まで?
バタンッ
「アキラっ。大丈夫かいっ」
突然、ヒルダが飛び出してきた。
そして、横たわる私のそばに蜂のように飛んでくると、顔をペタペタと触る。
変な感じだ。
「熱が出てるね。唇もカサカサだ。これはつらいだろう」
そうか、熱が出てたのか。だから寒くて、体が重たいんだ。
「今、治してあげるから少しまって。まずは水を飲もう」
治す?よく聞く薬でもあるんだろうか。まぁいいや。
早くお水が飲みたい。でもヒルダの体じゃ持ってくるのは大変じゃないかなと思う。無理はしてほしくない。
すると、ヒルダの目の前に水色に淡く色づいた光の玉が現れた。そしてもう一つ、透明なガラスのコップ。
水色の玉はだんだんと形を変えて、細く竜巻のように渦巻いてコップの中に吸い込まれていく。
目の前の空間に、数秒のうちに現れた水に私は目を見開いて驚く。
「はい、これをのんで」
ヒルダの手には余ってしまうコップが、だんだんと私に近づいて顔の前で止まった。
しかし、私の体はまるで全身に重りを載せられたように重くて動かすことができず、目がさまよってしまう。
「ああっ、体が動かせないの。そんなにひどいなんて」
ヒルダの瞳がつらそうに陰る。つらいのは私なのになんでヒルダがそんな顔をするんだろう。
なんて私が思考している間に、コップは水差しに変わっていた。そして私の寝ているベッドが形を変えて頭が高くなる。今度は、あまり驚かなかった。
少しだけ起き上がった体にそっと水差しが近寄って、口の中に水が注ぎこまれる。
渇きを覚えていた私は、その水のなんとも言えない甘いような味に驚きながらも、吸い付くように水をむさぼった。
いつの間にかこわばっていたからだがほぐれていく。
中の水がなくなるともう一度ねだるようにヒルダを見た。ちゃんと、ヒルダは意図を読み取って水を足してくれた。
そうして、また水がなくなるとホット息をついた。その時にはまとわりつくようなだるさと寒さはあっても重りのような感覚はなくなっていた。
「うん、ちょっとはよくなったみたいだね。体も少しはなじんだし。次は、その熱をどうにかしてあげないとね」
そういって、ヒルダはおもむろに目を閉じて祈るように手をくんだ。
あれ?わたしの体、ひかってる?
だんだん体を包むひかりが強くなってきえた。
びっくりしたことに、からだのだるさも全部消えてなくなっている。
ヒルダをみると満足そうな顔で私を見下ろしていた。
とりあえず、いまのは何か尋ねてみる。こえは出ないけど
「今までのは全部魔法だよ。すごくて便利なんだ」
うん、とってもすごい。あと、面白そう。
「やってみたいかい?」
とっても。
「まぁ、どっちにしろ練習はしてもらう予定だけど、アキラが乗り気で良かったやっぱり興味がないと練習は辛いからね」
早く教えてほしい。
「きょうはまだだめ。明日から練習しよう」
そんな。
「もう一度ねむろうか」
こんどは温かいものに包まれるようにねむりにおちていった。
手足が冷たい。
喉の渇きがひどくてガラガラする。
水を求めて歩きたかったけど、体が重くて動けなかった。
助けを求めようと思ったけど、声が出ないからやめた。それに、今まではこんな風に動けなくなったらじっとして体が動くまで寝っ転がっていた。特に食欲もないからちょうどいい。
あれ?・・・今まで?
バタンッ
「アキラっ。大丈夫かいっ」
突然、ヒルダが飛び出してきた。
そして、横たわる私のそばに蜂のように飛んでくると、顔をペタペタと触る。
変な感じだ。
「熱が出てるね。唇もカサカサだ。これはつらいだろう」
そうか、熱が出てたのか。だから寒くて、体が重たいんだ。
「今、治してあげるから少しまって。まずは水を飲もう」
治す?よく聞く薬でもあるんだろうか。まぁいいや。
早くお水が飲みたい。でもヒルダの体じゃ持ってくるのは大変じゃないかなと思う。無理はしてほしくない。
すると、ヒルダの目の前に水色に淡く色づいた光の玉が現れた。そしてもう一つ、透明なガラスのコップ。
水色の玉はだんだんと形を変えて、細く竜巻のように渦巻いてコップの中に吸い込まれていく。
目の前の空間に、数秒のうちに現れた水に私は目を見開いて驚く。
「はい、これをのんで」
ヒルダの手には余ってしまうコップが、だんだんと私に近づいて顔の前で止まった。
しかし、私の体はまるで全身に重りを載せられたように重くて動かすことができず、目がさまよってしまう。
「ああっ、体が動かせないの。そんなにひどいなんて」
ヒルダの瞳がつらそうに陰る。つらいのは私なのになんでヒルダがそんな顔をするんだろう。
なんて私が思考している間に、コップは水差しに変わっていた。そして私の寝ているベッドが形を変えて頭が高くなる。今度は、あまり驚かなかった。
少しだけ起き上がった体にそっと水差しが近寄って、口の中に水が注ぎこまれる。
渇きを覚えていた私は、その水のなんとも言えない甘いような味に驚きながらも、吸い付くように水をむさぼった。
いつの間にかこわばっていたからだがほぐれていく。
中の水がなくなるともう一度ねだるようにヒルダを見た。ちゃんと、ヒルダは意図を読み取って水を足してくれた。
そうして、また水がなくなるとホット息をついた。その時にはまとわりつくようなだるさと寒さはあっても重りのような感覚はなくなっていた。
「うん、ちょっとはよくなったみたいだね。体も少しはなじんだし。次は、その熱をどうにかしてあげないとね」
そういって、ヒルダはおもむろに目を閉じて祈るように手をくんだ。
あれ?わたしの体、ひかってる?
だんだん体を包むひかりが強くなってきえた。
びっくりしたことに、からだのだるさも全部消えてなくなっている。
ヒルダをみると満足そうな顔で私を見下ろしていた。
とりあえず、いまのは何か尋ねてみる。こえは出ないけど
「今までのは全部魔法だよ。すごくて便利なんだ」
うん、とってもすごい。あと、面白そう。
「やってみたいかい?」
とっても。
「まぁ、どっちにしろ練習はしてもらう予定だけど、アキラが乗り気で良かったやっぱり興味がないと練習は辛いからね」
早く教えてほしい。
「きょうはまだだめ。明日から練習しよう」
そんな。
「もう一度ねむろうか」
こんどは温かいものに包まれるようにねむりにおちていった。
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