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第1章
第51話 後片付け、その1
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『情報提示。脅威個体総数、2体に減少しました。』
風が収まると、魔物だったものがいくつか転がっているだけで、
…
砂礫旋風で無傷に近かった奴らが、ほんの数秒の魔法を受けただけで、原形をとどめている個体は居なくなり、バラバラのドロドロに溶け落ちた残骸がほんの少し残っているだけ…
思った以上にエゲツない威力だった…
「…ナビさん、残りの敵は…どこに?」
『情報提示。村の裏手に疾風蟷螂2体の反応があります。』
残りはカマキリだけ…それも2体だけなら他に任せても大丈夫じゃないかな?
「ナビさん、行動提案は?」
『行動提案。毒麻痺霧及び毒液の檻の解呪、その後冒険者ガジャノ、冒険者ルルヘットに対処を任せることを提案。』
ルルヘット?…護衛のもう1人か?
でも…後2体なら、俺が倒しに行った方が早くないか?
「ナビさん、なんで他人に任せるんだ?」
『情報提示。これ以上の魔法使用による生体魔素転換路への負荷は、今後の活動に支障をきたす恐れがあります。』
支障…それは魔法が使えなくなるかもってことか?
それは困るな…
「ナビさんの提案を受け入れるよ。毒麻痺霧と毒液の檻、展開解呪。」
周りから薄黄色の毒液が、空気に解けるように消えていった。
元々無色の霧に関しては、消えたかどうか分からないが…多分大丈夫だろう。
よし、この辺の片付けと、残敵の処理はガジャノ達に任せるとしよう。
ゆっくり歩いて村に戻りながら、途中にいるガジャノに声をかけた。
「おい、ガジャノ。あんたとあんたの仲間、冒険者なんだろ?毒液と毒霧はもう消した。後は任せたいがどうだ?」
「君は凄いな…さっきの魔法はなんだい?」
ガジャノに声をかけると、彼は驚いた様子で問いかけてくる。
質問に質問で返さないで欲しいんだが…
「…俺の魔法のことを答える気は無い。それより、俺は疲れてるんだ。後のことは任せていいのか?どうなんだ?」
「…そうだな…後のことは私達が処理させてもらう。」
ガジャノは、そう言って頷いてくれた。
後はこいつらに任せて、俺は村に戻るとしよう…
流石に疲れたし、やることも残っているからな…
「…すまない、今回は迷惑をかけた…」
「…本当にな…あと、村の裏手に2体残ってるから、それも頼むね。」
「な!君、それは…」
名前しか知らないが、冒険者なんだろう?カマキリ2体くらい余裕だろ…
殆ど俺が倒したんだ、最後くらい仕事をしてもらわないとな。
「落とし前…つけてくれるんだろう?」
ガジャノは、まだ何か言いたそうにしていたが、俺はこれ以上構うつもりはない。
「…ってわけで、後はよろしく。」
何か言っていたようだが、無視だ無視。
そのままガジャノを置いて村の方に歩いていく。と、村の方から誰かが歩いて…いや、走ってきた。
「君凄いね!」
こちらに走ってきたのは、明るい銀髪を後ろで結んだ綺麗な女性だった。
俺より少しだけ背の低い彼女は、人懐こそうな笑顔を浮かべて俺の手を握る。
「…痛!ちょ…あんた…いや、ガジャノの仲間だろ?俺に構わなくていいから、向こうを手伝って…」
握られた手を振りほどき、暗に離れろと伝えたのだが、彼女、ルルヘットは少し驚いただけで、今度は腕を絡めてくる。
「良い!君、ウチらと組もうよ!ね?」
「な!?ちょ…痛いからはな…」
「あん…もう…どこ触ってんの?」
「は!?俺は…なにも…」
突き放そうとした時に、俺の手がルルヘットの胸に触れたらしい…
両腕負傷してるんだぞ?それなのに抱きついてくる方が悪くないか?
こんなん不可抗力…だろ?
「ニヒヒ!ウチ、魔導士いないからさ、ちょうど良かったよ!」
「いや、入るなんて言って…」
俺が困っていると、ルルヘットがニヤリと笑った気がした。
「えぇ~…人の体、こんなに触っておいて断るの?」
自分から腕を絡めてきて、今も胸を押し当てるように腕を引き寄せながら、無茶苦茶なこと言い出した…
「おい、あんたが俺に…」
「ね?この事は他の人には黙っててあげるからさ、ウチに入っ…」
「ルル。良い加減にしろ。…これ以上迷惑をかけるな。すまなかったな、後は私が引き受けるよ。」
後ろからガジャノがやってきて、ルルヘットの腕を取り俺から引き剥がしてくれた。
「えぇ~ガジャ待ってよ~」
「待たない、まだ魔物は居るんだ。最後くらい仕事をしろ。」
「も~…君~また後でね~」
ガジャノがルルヘットを、引きずって行ってくれたが、いったい何だったんだ…
ーーーー
作者です。
定期便の護衛は、彼等2人でした。
詳しいことは次…いや、その次くらいかな?
感想その他、お時間あれば是非。
風が収まると、魔物だったものがいくつか転がっているだけで、
…
砂礫旋風で無傷に近かった奴らが、ほんの数秒の魔法を受けただけで、原形をとどめている個体は居なくなり、バラバラのドロドロに溶け落ちた残骸がほんの少し残っているだけ…
思った以上にエゲツない威力だった…
「…ナビさん、残りの敵は…どこに?」
『情報提示。村の裏手に疾風蟷螂2体の反応があります。』
残りはカマキリだけ…それも2体だけなら他に任せても大丈夫じゃないかな?
「ナビさん、行動提案は?」
『行動提案。毒麻痺霧及び毒液の檻の解呪、その後冒険者ガジャノ、冒険者ルルヘットに対処を任せることを提案。』
ルルヘット?…護衛のもう1人か?
でも…後2体なら、俺が倒しに行った方が早くないか?
「ナビさん、なんで他人に任せるんだ?」
『情報提示。これ以上の魔法使用による生体魔素転換路への負荷は、今後の活動に支障をきたす恐れがあります。』
支障…それは魔法が使えなくなるかもってことか?
それは困るな…
「ナビさんの提案を受け入れるよ。毒麻痺霧と毒液の檻、展開解呪。」
周りから薄黄色の毒液が、空気に解けるように消えていった。
元々無色の霧に関しては、消えたかどうか分からないが…多分大丈夫だろう。
よし、この辺の片付けと、残敵の処理はガジャノ達に任せるとしよう。
ゆっくり歩いて村に戻りながら、途中にいるガジャノに声をかけた。
「おい、ガジャノ。あんたとあんたの仲間、冒険者なんだろ?毒液と毒霧はもう消した。後は任せたいがどうだ?」
「君は凄いな…さっきの魔法はなんだい?」
ガジャノに声をかけると、彼は驚いた様子で問いかけてくる。
質問に質問で返さないで欲しいんだが…
「…俺の魔法のことを答える気は無い。それより、俺は疲れてるんだ。後のことは任せていいのか?どうなんだ?」
「…そうだな…後のことは私達が処理させてもらう。」
ガジャノは、そう言って頷いてくれた。
後はこいつらに任せて、俺は村に戻るとしよう…
流石に疲れたし、やることも残っているからな…
「…すまない、今回は迷惑をかけた…」
「…本当にな…あと、村の裏手に2体残ってるから、それも頼むね。」
「な!君、それは…」
名前しか知らないが、冒険者なんだろう?カマキリ2体くらい余裕だろ…
殆ど俺が倒したんだ、最後くらい仕事をしてもらわないとな。
「落とし前…つけてくれるんだろう?」
ガジャノは、まだ何か言いたそうにしていたが、俺はこれ以上構うつもりはない。
「…ってわけで、後はよろしく。」
何か言っていたようだが、無視だ無視。
そのままガジャノを置いて村の方に歩いていく。と、村の方から誰かが歩いて…いや、走ってきた。
「君凄いね!」
こちらに走ってきたのは、明るい銀髪を後ろで結んだ綺麗な女性だった。
俺より少しだけ背の低い彼女は、人懐こそうな笑顔を浮かべて俺の手を握る。
「…痛!ちょ…あんた…いや、ガジャノの仲間だろ?俺に構わなくていいから、向こうを手伝って…」
握られた手を振りほどき、暗に離れろと伝えたのだが、彼女、ルルヘットは少し驚いただけで、今度は腕を絡めてくる。
「良い!君、ウチらと組もうよ!ね?」
「な!?ちょ…痛いからはな…」
「あん…もう…どこ触ってんの?」
「は!?俺は…なにも…」
突き放そうとした時に、俺の手がルルヘットの胸に触れたらしい…
両腕負傷してるんだぞ?それなのに抱きついてくる方が悪くないか?
こんなん不可抗力…だろ?
「ニヒヒ!ウチ、魔導士いないからさ、ちょうど良かったよ!」
「いや、入るなんて言って…」
俺が困っていると、ルルヘットがニヤリと笑った気がした。
「えぇ~…人の体、こんなに触っておいて断るの?」
自分から腕を絡めてきて、今も胸を押し当てるように腕を引き寄せながら、無茶苦茶なこと言い出した…
「おい、あんたが俺に…」
「ね?この事は他の人には黙っててあげるからさ、ウチに入っ…」
「ルル。良い加減にしろ。…これ以上迷惑をかけるな。すまなかったな、後は私が引き受けるよ。」
後ろからガジャノがやってきて、ルルヘットの腕を取り俺から引き剥がしてくれた。
「えぇ~ガジャ待ってよ~」
「待たない、まだ魔物は居るんだ。最後くらい仕事をしろ。」
「も~…君~また後でね~」
ガジャノがルルヘットを、引きずって行ってくれたが、いったい何だったんだ…
ーーーー
作者です。
定期便の護衛は、彼等2人でした。
詳しいことは次…いや、その次くらいかな?
感想その他、お時間あれば是非。
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