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第1章
第4話 ちょっと意外な初魔法
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なんとか異世界での初戦闘を乗り越えることができたけど、その代償は大きかった。
右腕は痺れて感覚がないままだし、左手は噛み付かれた事で未だに流血してる…
そもそも足が震えて力が入らず、立ち上がることができずに無様に地面にへたり込んでいる…
満身創痍ってこういう事かな?って他人事のように思っていた。
実際にはほんの何秒かの、戦闘とも言えない接触だった筈なのに、その何秒かでずいぶんボロボロにされてしまった…
魔物への恐怖からか、痛みのせいなのかは分からないが、全身から吹き出す汗は止まらないし、息の上がり方も半端じゃない。
疲れた…
(ナビさん、近くに他の魔物はいる?)
正直もう戦いたくない…
無茶苦茶疲れた…
落ち着いてくると、噛み付かれた左腕の感覚が戻ってくる。
ギリっと歯を食いしばり、痛みに耐えていると、ナビさんから回答が来た。
『回答提示。周辺に敵生体の反応はありません。』
ナビさんのセンサーには、反応がないらしい。
ホッと息を吐くが、気を抜いたからなのか、腕の痛みがさらに強くなる。
腕に何箇所も穴が空いているんだ、その激痛は過去に体験したことがないほどで、叫ばなかったのが不思議なくらいだった。
「くそ…いっ…!とりあえず止血しないと…」
地球から持ってきたものの中に、多分包帯と消毒薬くらいある筈だ。
感覚の戻ってきた右手でリストを確認して、必要なものを取り出し、意を決して消毒液をぶちまける。
「うぐぁっ!!!!」
ありえないほどしみるが、感染症なんかにかかったらそれこそシャレにならない。
歯を食いしばって痛みに耐え…牙の痕にガーゼを当ててから包帯でグルグル巻きにしていく。
目の前に痛みで星が飛ぶ感覚は初めてだが、とりあえず集落まで持てば…いや、魔法で回復出来るんじゃないのか?
「…ナビさん、回復魔法は…あるんだよな?」
『回答提示。存在します。』
「使い方は!?」
『情報提示。水属性に親和性がある者が使用出来ます。親和性の有無は、特殊な魔道具を使用して測定するか、実際に魔法を使ってみるしか判別出来ません。
発動には明確なイメージが必要になり、発動に必要な呪文は使用者によって異なるため、詠唱に定型文はありません。』
水属性に親和?
よく分からないが、とりあえず使ってみれば分かるってことだな。
こういう時、物語に出てきた転生者や転移者は、回復魔法が使えるものって決まってるんだ。
…なら俺にも使える…よな?
となると、問題は呪文か…
「よし…癒しの水よ、傷を癒せ!ヒール!」
右手を傷ついた左腕に向け、思いついた呪文を唱えてみるが…
(うん?…何も起きないな…)
よくある様に、パーっと光って傷が治るイメージでやってみたが、イメージが悪いのか?…呪文か?
とりあえずイメージし直して、もう一度…
「優しき水霊よ、我が願いを聞き、傷を癒せ!ヒール!」
………
……
…
自信満々に唱えてみるが、またしても何も起きない。
これは、俺に水属性の親和性がないのか?
それとも魔力がそもそも足りないのか?
…もしかして新手のイジメか?
使えないのに呪文詠唱とか、とんでもなく恥ずかしい…
羞恥心から、少しだけ腕の痛みを忘れることはできたが、根本的な解決にはなっていない…
そんなことをしていると、安全になったのに気がついたのか、優子達がこちらに近づいてきた。
「ぼんちゃ?それ、怪我したの?」
優子は、俺の左腕に巻かれた包帯を見ながら、心配そうな顔で問いかけてきた。
「ん?あぁ、なんとか倒したけど噛み付かれてね。大丈夫、見た目ほど酷くないから。」
「そう…でも、血が出てるよ?」
腕を見ると、滲み出した血で包帯は真っ赤に染まりつつあった。
強がってみたものの、正直大丈夫とは言えない状態だ。
「ぼん、痛い?」
「ぼんさん大丈夫?」
ぬいぐるみ達も心配してくれているのか、口々に話しかけてくる。
痛いのは痛いが、何故だか分からないが我慢できない程ではなくなっていた…
「大丈夫、この程度で死にはしないよ。本当は回復魔法が使えればいいんだけど、俺には使えないみたいだからな。」
「魔法?私なら使えるかな?」
優子が問いかけてくるが、素養があれば使えるらしいし、もしかしたら?
俺ができなかったんだ、そうそう使えるとは思わないけど、試す価値はあるだろう。
「そうだな、試してみるか?」
優子にナビさんから聞いた内容を伝えると、ぬいぐるみ達を下ろしてこちらに手を翳してきた。
「んー…こうかな?傷を癒せ。ヒール」
凄まじく簡単な詠唱だったが、言い終わると同時に俺の左腕が光り始める。
強い光ではなく、優しい光が腕を包み、ほんのりと暖かく感じた。
「まじか…」
ダメ元でだったのに、優子には回復魔法が使えるとか…
テンプレ通りなら、これが人目に触れると聖女だのに祭り上げられることになりそうだな…
そんなことを考えていると、光は徐々に薄くなり、やがて消えてしまう…
光が消えるのと同時に、腕の痛みも無くなっていた。
「どう?うまくいった?」
ぬいぐるみを抱き上げた優子が、心配そうに問いかけてくる。
確認のため、血が滲んでほぼ真っ赤になっていた包帯とガーゼを外して見るが、どこを噛まれたのか分からない程に回復しており、傷跡らしきものは残っていない。
「すごいな…完璧に治ってる…そっちは怠いとかはないのか?」
「ん?んー…別にないよ?」
「これ、血?」
「ダメ。触ると汚れるよ!」
近寄って腕を覗き込む優子と、乾いた血の跡を恐る恐る触ろうとするしろまと、それを止めるでっかちゃん。
ついさっきまで命の危機を感じていたのが、何か悪い冗談だったんじゃないかと思うほど、ノンビリとした雰囲気に肩の力が抜けていくのが分かった。
肩の力が抜け、思考する余裕が出てくると、自分が魔法を使えるのかが気になってくる。
水系の魔法がダメなのか?
それとも回復魔法が使えないだけ?
攻撃に使えそうな魔法は使えるのか?
こんな時は試してみるに限る。
試しに、適当に思いついた呪文を唱えてみることにした。
「万物を溶かす酸の雨よ、天より降りて我が敵を溶かせ!アシッドレイン!」
………
……
…
うん、なんでこんな呪文かは置いておくとして、少し離れた位置にある岩を目標に手を伸ばし、思い浮かんだ中二っぽい呪文を唱えてみたものの、何も起きな…お?
雲一つなかった青空に、小さな黒雲が浮かび上がってきているのが視界の端に見えた。
それは少しづつ大きくなり、やがてパラパラと雨粒を落とし始める。
雨粒が岩や地面に当たると、当たったものが煙を上げながら溶けていっているようで、灰色っぽい煙がそこかしこから上がり始めた。
「まじか…」
自分たちからは離れている場所だが、雨に当たった草や岩が溶けるとか、これ、人に使ったらヤバくないか?
…いやいや、人に向けて使うとかしないよ?そんなん下手したら殺人になっちまうだろ?
…襲われたりしたら別かもしれないけど、これはダメだ。
最悪自分たちも巻き込まれかねないし、見た目が絶対ヤバくなる。
…って、俺は誰に言い訳しているんだ…
「…ほら、もう行くぞ。」
俺は立ち上がり、目的の野営地に向けて歩き始める。
酸の雨はそのうち止むだろうし、こんなもの放置安定だ。
早く離れたほうがいいと、俺の中の何かが叫んでいる気がする。
不思議そうにこっちを見ていた優子も、ぬいぐるみを抱いたままついてきた。
「ねぇ、放っておいていいの?」
「大丈夫、気にするな。」
「でも…」
「気にするな。」
まだ何か言ってるみたいだが、今は早くこの場を離れるのが先決だ。
宙に浮かぶ矢印が指し示す方向へ、俺は少しだけ早足に進んでいく。
(ナビさん、魔法の属性って水以外だとどのくらいある?説明をして欲しい。)
『情報提示。属性は火、水、土、風の4つが基本属性となり、光と闇の特性により其々派生します。』
ナビさんの説明を聞きながら、だだっ広い草原を俺たちは歩いていく。
…ちなみに、酸の雨はそれから暫く降り続き、後に『死の湖』と呼ばれる危険地帯に変わるのだが…
この時の俺は、知る由もなかった…
ーーーー
初魔法で環境破壊してますね…
当初の予定だと、もっと普通な筈だったんですが…
どこで間違えたんでしょう?
右腕は痺れて感覚がないままだし、左手は噛み付かれた事で未だに流血してる…
そもそも足が震えて力が入らず、立ち上がることができずに無様に地面にへたり込んでいる…
満身創痍ってこういう事かな?って他人事のように思っていた。
実際にはほんの何秒かの、戦闘とも言えない接触だった筈なのに、その何秒かでずいぶんボロボロにされてしまった…
魔物への恐怖からか、痛みのせいなのかは分からないが、全身から吹き出す汗は止まらないし、息の上がり方も半端じゃない。
疲れた…
(ナビさん、近くに他の魔物はいる?)
正直もう戦いたくない…
無茶苦茶疲れた…
落ち着いてくると、噛み付かれた左腕の感覚が戻ってくる。
ギリっと歯を食いしばり、痛みに耐えていると、ナビさんから回答が来た。
『回答提示。周辺に敵生体の反応はありません。』
ナビさんのセンサーには、反応がないらしい。
ホッと息を吐くが、気を抜いたからなのか、腕の痛みがさらに強くなる。
腕に何箇所も穴が空いているんだ、その激痛は過去に体験したことがないほどで、叫ばなかったのが不思議なくらいだった。
「くそ…いっ…!とりあえず止血しないと…」
地球から持ってきたものの中に、多分包帯と消毒薬くらいある筈だ。
感覚の戻ってきた右手でリストを確認して、必要なものを取り出し、意を決して消毒液をぶちまける。
「うぐぁっ!!!!」
ありえないほどしみるが、感染症なんかにかかったらそれこそシャレにならない。
歯を食いしばって痛みに耐え…牙の痕にガーゼを当ててから包帯でグルグル巻きにしていく。
目の前に痛みで星が飛ぶ感覚は初めてだが、とりあえず集落まで持てば…いや、魔法で回復出来るんじゃないのか?
「…ナビさん、回復魔法は…あるんだよな?」
『回答提示。存在します。』
「使い方は!?」
『情報提示。水属性に親和性がある者が使用出来ます。親和性の有無は、特殊な魔道具を使用して測定するか、実際に魔法を使ってみるしか判別出来ません。
発動には明確なイメージが必要になり、発動に必要な呪文は使用者によって異なるため、詠唱に定型文はありません。』
水属性に親和?
よく分からないが、とりあえず使ってみれば分かるってことだな。
こういう時、物語に出てきた転生者や転移者は、回復魔法が使えるものって決まってるんだ。
…なら俺にも使える…よな?
となると、問題は呪文か…
「よし…癒しの水よ、傷を癒せ!ヒール!」
右手を傷ついた左腕に向け、思いついた呪文を唱えてみるが…
(うん?…何も起きないな…)
よくある様に、パーっと光って傷が治るイメージでやってみたが、イメージが悪いのか?…呪文か?
とりあえずイメージし直して、もう一度…
「優しき水霊よ、我が願いを聞き、傷を癒せ!ヒール!」
………
……
…
自信満々に唱えてみるが、またしても何も起きない。
これは、俺に水属性の親和性がないのか?
それとも魔力がそもそも足りないのか?
…もしかして新手のイジメか?
使えないのに呪文詠唱とか、とんでもなく恥ずかしい…
羞恥心から、少しだけ腕の痛みを忘れることはできたが、根本的な解決にはなっていない…
そんなことをしていると、安全になったのに気がついたのか、優子達がこちらに近づいてきた。
「ぼんちゃ?それ、怪我したの?」
優子は、俺の左腕に巻かれた包帯を見ながら、心配そうな顔で問いかけてきた。
「ん?あぁ、なんとか倒したけど噛み付かれてね。大丈夫、見た目ほど酷くないから。」
「そう…でも、血が出てるよ?」
腕を見ると、滲み出した血で包帯は真っ赤に染まりつつあった。
強がってみたものの、正直大丈夫とは言えない状態だ。
「ぼん、痛い?」
「ぼんさん大丈夫?」
ぬいぐるみ達も心配してくれているのか、口々に話しかけてくる。
痛いのは痛いが、何故だか分からないが我慢できない程ではなくなっていた…
「大丈夫、この程度で死にはしないよ。本当は回復魔法が使えればいいんだけど、俺には使えないみたいだからな。」
「魔法?私なら使えるかな?」
優子が問いかけてくるが、素養があれば使えるらしいし、もしかしたら?
俺ができなかったんだ、そうそう使えるとは思わないけど、試す価値はあるだろう。
「そうだな、試してみるか?」
優子にナビさんから聞いた内容を伝えると、ぬいぐるみ達を下ろしてこちらに手を翳してきた。
「んー…こうかな?傷を癒せ。ヒール」
凄まじく簡単な詠唱だったが、言い終わると同時に俺の左腕が光り始める。
強い光ではなく、優しい光が腕を包み、ほんのりと暖かく感じた。
「まじか…」
ダメ元でだったのに、優子には回復魔法が使えるとか…
テンプレ通りなら、これが人目に触れると聖女だのに祭り上げられることになりそうだな…
そんなことを考えていると、光は徐々に薄くなり、やがて消えてしまう…
光が消えるのと同時に、腕の痛みも無くなっていた。
「どう?うまくいった?」
ぬいぐるみを抱き上げた優子が、心配そうに問いかけてくる。
確認のため、血が滲んでほぼ真っ赤になっていた包帯とガーゼを外して見るが、どこを噛まれたのか分からない程に回復しており、傷跡らしきものは残っていない。
「すごいな…完璧に治ってる…そっちは怠いとかはないのか?」
「ん?んー…別にないよ?」
「これ、血?」
「ダメ。触ると汚れるよ!」
近寄って腕を覗き込む優子と、乾いた血の跡を恐る恐る触ろうとするしろまと、それを止めるでっかちゃん。
ついさっきまで命の危機を感じていたのが、何か悪い冗談だったんじゃないかと思うほど、ノンビリとした雰囲気に肩の力が抜けていくのが分かった。
肩の力が抜け、思考する余裕が出てくると、自分が魔法を使えるのかが気になってくる。
水系の魔法がダメなのか?
それとも回復魔法が使えないだけ?
攻撃に使えそうな魔法は使えるのか?
こんな時は試してみるに限る。
試しに、適当に思いついた呪文を唱えてみることにした。
「万物を溶かす酸の雨よ、天より降りて我が敵を溶かせ!アシッドレイン!」
………
……
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うん、なんでこんな呪文かは置いておくとして、少し離れた位置にある岩を目標に手を伸ばし、思い浮かんだ中二っぽい呪文を唱えてみたものの、何も起きな…お?
雲一つなかった青空に、小さな黒雲が浮かび上がってきているのが視界の端に見えた。
それは少しづつ大きくなり、やがてパラパラと雨粒を落とし始める。
雨粒が岩や地面に当たると、当たったものが煙を上げながら溶けていっているようで、灰色っぽい煙がそこかしこから上がり始めた。
「まじか…」
自分たちからは離れている場所だが、雨に当たった草や岩が溶けるとか、これ、人に使ったらヤバくないか?
…いやいや、人に向けて使うとかしないよ?そんなん下手したら殺人になっちまうだろ?
…襲われたりしたら別かもしれないけど、これはダメだ。
最悪自分たちも巻き込まれかねないし、見た目が絶対ヤバくなる。
…って、俺は誰に言い訳しているんだ…
「…ほら、もう行くぞ。」
俺は立ち上がり、目的の野営地に向けて歩き始める。
酸の雨はそのうち止むだろうし、こんなもの放置安定だ。
早く離れたほうがいいと、俺の中の何かが叫んでいる気がする。
不思議そうにこっちを見ていた優子も、ぬいぐるみを抱いたままついてきた。
「ねぇ、放っておいていいの?」
「大丈夫、気にするな。」
「でも…」
「気にするな。」
まだ何か言ってるみたいだが、今は早くこの場を離れるのが先決だ。
宙に浮かぶ矢印が指し示す方向へ、俺は少しだけ早足に進んでいく。
(ナビさん、魔法の属性って水以外だとどのくらいある?説明をして欲しい。)
『情報提示。属性は火、水、土、風の4つが基本属性となり、光と闇の特性により其々派生します。』
ナビさんの説明を聞きながら、だだっ広い草原を俺たちは歩いていく。
…ちなみに、酸の雨はそれから暫く降り続き、後に『死の湖』と呼ばれる危険地帯に変わるのだが…
この時の俺は、知る由もなかった…
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当初の予定だと、もっと普通な筈だったんですが…
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