41 / 48
婚約じゃない
しおりを挟む
「え?どういうこと…?婚約継続って言ってたじゃない…。」
「そうなんだけど、在学中でも成績や両親の了承など条件をクリアすればできないことはない。
つがいの加護を入れた指輪を使えば良いんだ。
そうすれば、アリスの危機に俺の指輪と連動してアリスを安全確保できるし。婚約者のままじゃずっと危険にさらされてしまうだろ?」
「つがい?指輪?」アリスは俺の突然の提案に驚いている。
ああ、もっともらしい理由を並べ、どさくさに紛れてアリスを囲うなんて良くないな。
違う、ちがう。こんな事を伝えたいんじゃない。俺が言いたいのはこう言うことだ。
「俺がアリスを失いたくない。誰かに取られたくない。ずっとアリスといたいんだ。ほとんど俺のわがままかもしれない。でも、アリスが好きで愛しているのは誰にも負けない自信はある。
アリス=ドルーさん、俺と結婚してください。」
ちゃんと言えた。
この言葉を保健室で言うとは思っていなかった。
卒業パーティーの後ドレスアップして夜景の見える綺麗な景色の中でドラマティックに言おうと思っていたけど、そんなことどうでもいい。これが俺の思い全てだ。
「どうかな?アリス?」
アリスはきょとんとした表情から涙を流した。
アリスは俺のプロポーズを受けて泣いている?
まさか、結婚とマリーナ嬢の侍女の件すごく迷っているとか?
一瞬不安がよぎる。でも、
「もちろんです。私で良ければすぐ結婚してください。よろしくお願いしますアレックス=モーガンさん。」
って笑顔で言ってくれた。
「もしかして、今回の事で婚約破棄を言われてるのかと思っちゃった。
突然プロポーズされたからびっくりしてすぐ言葉が出なかったわ。」アリスが涙を流しながら笑っている。
!!!!!全身に歓喜の鳥肌が立った。今、アリスがプロポーズを受け入れてくれた…。
やった~!婚約破棄なんてするはずない!結婚だ、結婚!今人生のすべての運を使い果たした感があるが、俺の脳内に祝福の鐘が鳴り天子様たちが美しい花びらをまき散らしてくれている。おっと、いけない、いけない。
「アリス、俺を受けれてくれて本当にありがとう。俺アリスに見合う男になるよう頑張るよ。
実は、アリスの容姿を知ってから更に俺はアリスに捨てられる日が来るんじゃないかって思いが強くなっていたんだ。いや、そうならないよう立派な男になってみせる。」
「捨てられるだなんて、アレクったら。そんなことある訳ないじゃない。」優しい顔で笑ってくれた。
俺はアリスの両手を取り、誓いを立てる。
「俺アレックス=モーガンはアリス=ドルーを生涯かけて幸せにすることを誓います。
これからもよろしくお願いします。」
アリスは俺の手を握り返して
「私アリス=ドルーもアレックス=モーガンをいかなる時も愛し続けます。
こちらこそよろしくお願いします。」
俺たちはお互いに誓った。
「フフフ。すごく嬉しい。」
「俺も嬉しい。いや、俺の方がこの嬉しさは何倍も感じているぞ。」
「え?そんなことないわ。私の方が嬉しさを実感しているわ。」
「いいや。俺が。まあいっか。」
お互い笑い合ってから無言で見つめ合う。
「誓いのキス、しても良い?」
「ええ。」アリスが照れながら目を閉じた。
そしてゆっくり二人の唇を重ねる。アリスの唇やわらかい。一度顔を離すとまたアリスと目が合う。
もう一度お互い無言で顔を向きなおしてキスをした。ああ、ずっとこうしていたい…。たまらない。
俺は至福の時間を過ごしていたが、突然バターンとあわただしく扉が開いた。
「ごめんごめん。マリーナ嬢の応急処置してたら遅くなっちゃった。ああ、君たちがさっきの騒ぎに巻き込まれた子たちだね。さあ、手当しようか!」
そうだ…。ここ保健室だった…。
良い雰囲気だったのに…。いや、保健室でキスしていた俺も悪いかもしれないがもう少し登場の仕方を考えてほしかった。
この保健の先生は母ちゃん先生と言われていて、いい先生なんだけど色々雑なんだよな。
今のアリスとのラブラブシーン見られてたかな?
「はい、男の子の君から処置するね。さあ、血が出ているところ見せて。うんうん。そんなに深くないね。消毒をしよう。ああ、あと、保健室に誰もいなくてもキスとかしちゃだめだからね。あと、婚約や結婚してても学生の間は学業優先だからさ。男女の情交も卒業まで駄目だからね。一応言っとくから。」
保健の先生は俺の傷の手当てをしながらさらっと忠告した。
アリスは耳まで真っ赤になって恥ずかしそうにうつむいている。
「アレックス君だっけ?君が色々頑張らないとね。」
「は…はい。…ですね。」苦笑しかできなかった。
手当てが終わってアリスと帰宅の準備のために教室に向かう。
廊下を歩ているとき俺はアリスの手をそっと握って謝った。
「アリス、ごめんな。その、嬉しすぎて止められなかった…。」
「ううん。私もいけなかったわ。アレクのせいじゃないし…。キス…。嬉しかったし。えへへ。恥ずかしいな。」
アリスが照れ笑いしている。
ああ、やっぱり血管がもたないかもしれない…。
マリーナ嬢に会いに行きたかったが、顔を殴られたので王子の一存で最高機関の病院で治療を受けており、面会はできないらしい。
俺たちも自宅で聞き取りがあるそうだ。
ルイスとの事もあるが、俺も早く帰って両親に在学中の結婚の相談をしたい。
今日の騒ぎで新聞に載った美女がアリスとばれてしまったから変な取り巻きが出てくるのは時間の問題だしな。
「そうなんだけど、在学中でも成績や両親の了承など条件をクリアすればできないことはない。
つがいの加護を入れた指輪を使えば良いんだ。
そうすれば、アリスの危機に俺の指輪と連動してアリスを安全確保できるし。婚約者のままじゃずっと危険にさらされてしまうだろ?」
「つがい?指輪?」アリスは俺の突然の提案に驚いている。
ああ、もっともらしい理由を並べ、どさくさに紛れてアリスを囲うなんて良くないな。
違う、ちがう。こんな事を伝えたいんじゃない。俺が言いたいのはこう言うことだ。
「俺がアリスを失いたくない。誰かに取られたくない。ずっとアリスといたいんだ。ほとんど俺のわがままかもしれない。でも、アリスが好きで愛しているのは誰にも負けない自信はある。
アリス=ドルーさん、俺と結婚してください。」
ちゃんと言えた。
この言葉を保健室で言うとは思っていなかった。
卒業パーティーの後ドレスアップして夜景の見える綺麗な景色の中でドラマティックに言おうと思っていたけど、そんなことどうでもいい。これが俺の思い全てだ。
「どうかな?アリス?」
アリスはきょとんとした表情から涙を流した。
アリスは俺のプロポーズを受けて泣いている?
まさか、結婚とマリーナ嬢の侍女の件すごく迷っているとか?
一瞬不安がよぎる。でも、
「もちろんです。私で良ければすぐ結婚してください。よろしくお願いしますアレックス=モーガンさん。」
って笑顔で言ってくれた。
「もしかして、今回の事で婚約破棄を言われてるのかと思っちゃった。
突然プロポーズされたからびっくりしてすぐ言葉が出なかったわ。」アリスが涙を流しながら笑っている。
!!!!!全身に歓喜の鳥肌が立った。今、アリスがプロポーズを受け入れてくれた…。
やった~!婚約破棄なんてするはずない!結婚だ、結婚!今人生のすべての運を使い果たした感があるが、俺の脳内に祝福の鐘が鳴り天子様たちが美しい花びらをまき散らしてくれている。おっと、いけない、いけない。
「アリス、俺を受けれてくれて本当にありがとう。俺アリスに見合う男になるよう頑張るよ。
実は、アリスの容姿を知ってから更に俺はアリスに捨てられる日が来るんじゃないかって思いが強くなっていたんだ。いや、そうならないよう立派な男になってみせる。」
「捨てられるだなんて、アレクったら。そんなことある訳ないじゃない。」優しい顔で笑ってくれた。
俺はアリスの両手を取り、誓いを立てる。
「俺アレックス=モーガンはアリス=ドルーを生涯かけて幸せにすることを誓います。
これからもよろしくお願いします。」
アリスは俺の手を握り返して
「私アリス=ドルーもアレックス=モーガンをいかなる時も愛し続けます。
こちらこそよろしくお願いします。」
俺たちはお互いに誓った。
「フフフ。すごく嬉しい。」
「俺も嬉しい。いや、俺の方がこの嬉しさは何倍も感じているぞ。」
「え?そんなことないわ。私の方が嬉しさを実感しているわ。」
「いいや。俺が。まあいっか。」
お互い笑い合ってから無言で見つめ合う。
「誓いのキス、しても良い?」
「ええ。」アリスが照れながら目を閉じた。
そしてゆっくり二人の唇を重ねる。アリスの唇やわらかい。一度顔を離すとまたアリスと目が合う。
もう一度お互い無言で顔を向きなおしてキスをした。ああ、ずっとこうしていたい…。たまらない。
俺は至福の時間を過ごしていたが、突然バターンとあわただしく扉が開いた。
「ごめんごめん。マリーナ嬢の応急処置してたら遅くなっちゃった。ああ、君たちがさっきの騒ぎに巻き込まれた子たちだね。さあ、手当しようか!」
そうだ…。ここ保健室だった…。
良い雰囲気だったのに…。いや、保健室でキスしていた俺も悪いかもしれないがもう少し登場の仕方を考えてほしかった。
この保健の先生は母ちゃん先生と言われていて、いい先生なんだけど色々雑なんだよな。
今のアリスとのラブラブシーン見られてたかな?
「はい、男の子の君から処置するね。さあ、血が出ているところ見せて。うんうん。そんなに深くないね。消毒をしよう。ああ、あと、保健室に誰もいなくてもキスとかしちゃだめだからね。あと、婚約や結婚してても学生の間は学業優先だからさ。男女の情交も卒業まで駄目だからね。一応言っとくから。」
保健の先生は俺の傷の手当てをしながらさらっと忠告した。
アリスは耳まで真っ赤になって恥ずかしそうにうつむいている。
「アレックス君だっけ?君が色々頑張らないとね。」
「は…はい。…ですね。」苦笑しかできなかった。
手当てが終わってアリスと帰宅の準備のために教室に向かう。
廊下を歩ているとき俺はアリスの手をそっと握って謝った。
「アリス、ごめんな。その、嬉しすぎて止められなかった…。」
「ううん。私もいけなかったわ。アレクのせいじゃないし…。キス…。嬉しかったし。えへへ。恥ずかしいな。」
アリスが照れ笑いしている。
ああ、やっぱり血管がもたないかもしれない…。
マリーナ嬢に会いに行きたかったが、顔を殴られたので王子の一存で最高機関の病院で治療を受けており、面会はできないらしい。
俺たちも自宅で聞き取りがあるそうだ。
ルイスとの事もあるが、俺も早く帰って両親に在学中の結婚の相談をしたい。
今日の騒ぎで新聞に載った美女がアリスとばれてしまったから変な取り巻きが出てくるのは時間の問題だしな。
19
お気に入りに追加
3,633
あなたにおすすめの小説
性悪という理由で婚約破棄された嫌われ者の令嬢~心の綺麗な者しか好かれない精霊と友達になる~
黒塔真実
恋愛
公爵令嬢カリーナは幼い頃から後妻と義妹によって悪者にされ孤独に育ってきた。15歳になり入学した王立学園でも、悪知恵の働く義妹とカリーナの婚約者でありながら義妹に洗脳されている第二王子の働きにより、学園中の嫌われ者になってしまう。しかも再会した初恋の第一王子にまで軽蔑されてしまい、さらに止めの一撃のように第二王子に「性悪」を理由に婚約破棄を宣言されて……!? 恋愛&悪が報いを受ける「ざまぁ」もの!! ※※※主人公は最終的にチート能力に目覚めます※※※アルファポリスオンリー※※※皆様の応援のおかげで第14回恋愛大賞で奨励賞を頂きました。ありがとうございます※※※
すみません、すっきりざまぁ終了したのでいったん完結します→※書籍化予定部分=【本編】を引き下げます。【番外編】追加予定→ルシアン視点追加→最新のディー視点の番外編は書籍化関連のページにて、アンケートに答えると読めます!!
噂の悪女が妻になりました
はくまいキャベツ
恋愛
ミラ・イヴァンチスカ。
国王の右腕と言われている宰相を父に持つ彼女は見目麗しく気品溢れる容姿とは裏腹に、父の権力を良い事に贅沢を好み、自分と同等かそれ以上の人間としか付き合わないプライドの塊の様な女だという。
その名前は国中に知れ渡っており、田舎の貧乏貴族ローガン・ウィリアムズの耳にも届いていた。そんな彼に一通の手紙が届く。その手紙にはあの噂の悪女、ミラ・イヴァンチスカとの婚姻を勧める内容が書かれていた。
その発言、後悔しないで下さいね?
風見ゆうみ
恋愛
「君を愛する事は出来ない」「いちいちそんな宣言をしていただかなくても結構ですよ?」結婚式後、私、エレノアと旦那様であるシークス・クロフォード公爵が交わした会話は要約すると、そんな感じで、第1印象はお互いに良くありませんでした。
一緒に住んでいる義父母は優しいのですが、義妹はものすごく意地悪です。でも、そんな事を気にして、泣き寝入りする性格でもありません。
結婚式の次の日、旦那様にお話したい事があった私は、旦那様の執務室に行き、必要な話を終えた後に帰ろうとしますが、何もないところで躓いてしまいます。
一瞬、私の腕に何かが触れた気がしたのですが、そのまま私は転んでしまいました。
「大丈夫か?」と聞かれ、振り返ると、そこには長い白と黒の毛を持った大きな犬が!
でも、話しかけてきた声は旦那様らしきものでしたのに、旦那様の姿がどこにも見当たりません!
「犬が喋りました! あの、よろしければ教えていただきたいのですが、旦那様を知りませんか?」「ここにいる!」「ですから旦那様はどこに?」「俺だ!」「あなたは、わんちゃんです! 旦那様ではありません!」
※カクヨムさんで加筆修正版を投稿しています。
※史実とは関係ない異世界の世界観であり、設定も緩くご都合主義です。魔法や呪いも存在します。作者の都合の良い世界観や設定であるとご了承いただいた上でお読み下さいませ。
※クズがいますので、ご注意下さい。
※ざまぁは過度なものではありません。
始まりはよくある婚約破棄のように
メカ喜楽直人
恋愛
「ミリア・ファネス公爵令嬢! 婚約者として10年も長きに渡り傍にいたが、もう我慢ならない! 父上に何度も相談した。母上からも考え直せと言われた。しかし、僕はもう決めたんだ。ミリア、キミとの婚約は今日で終わりだ!」
学園の卒業パーティで、第二王子がその婚約者の名前を呼んで叫び、周囲は固唾を呑んでその成り行きを見守った。
ポンコツ王子から一方的な溺愛を受ける真面目令嬢が涙目になりながらも立ち向い、けれども少しずつ絆されていくお話。
第一章「婚約者編」
第二章「お見合い編(過去)」
第三章「結婚編」
第四章「出産・育児編」
第五章「ミリアの知らないオレファンの過去編」連載開始
婚約破棄宣言は別の場所で改めてお願いします
結城芙由奈@12/27電子書籍配信中
恋愛
【どうやら私は婚約者に相当嫌われているらしい】
「おい!もうお前のような女はうんざりだ!今日こそ婚約破棄させて貰うぞ!」
私は今日も婚約者の王子様から婚約破棄宣言をされる。受け入れてもいいですが…どうせなら、然るべき場所で宣言して頂けますか?
※ 他サイトでも掲載しています
【完結済】次こそは愛されるかもしれないと、期待した私が愚かでした。
こゆき
恋愛
リーゼッヒ王国、王太子アレン。
彼の婚約者として、清く正しく生きてきたヴィオラ・ライラック。
皆に祝福されたその婚約は、とてもとても幸せなものだった。
だが、学園にとあるご令嬢が転入してきたことにより、彼女の生活は一変してしまう。
何もしていないのに、『ヴィオラがそのご令嬢をいじめている』とみんなが言うのだ。
どれだけ違うと訴えても、誰も信じてはくれなかった。
絶望と悲しみにくれるヴィオラは、そのまま隣国の王太子──ハイル帝国の王太子、レオへと『同盟の証』という名の厄介払いとして嫁がされてしまう。
聡明な王子としてリーゼッヒ王国でも有名だったレオならば、己の無罪を信じてくれるかと期待したヴィオラだったが──……
※在り来りなご都合主義設定です
※『悪役令嬢は自分磨きに忙しい!』の合間の息抜き小説です
※つまりは行き当たりばったり
※不定期掲載な上に雰囲気小説です。ご了承ください
4/1 HOT女性向け2位に入りました。ありがとうございます!
婚約白紙?上等です!ローゼリアはみんなが思うほど弱くない!
志波 連
恋愛
伯爵令嬢として生まれたローゼリア・ワンドは婚約者であり同じ家で暮らしてきたひとつ年上のアランと隣国から留学してきた王女が恋をしていることを知る。信じ切っていたアランとの未来に決別したローゼリアは、友人たちの支えによって、自分の道をみつけて自立していくのだった。
親たちが子供のためを思い敷いた人生のレールは、子供の自由を奪い苦しめてしまうこともあります。自分を見つめ直し、悩み傷つきながらも自らの手で人生を切り開いていく少女の成長物語です。
本作は小説家になろう及びツギクルにも投稿しています。
婚約者を奪われた私は、他国で新しい生活を送ります
天宮有
恋愛
侯爵令嬢の私ルクルは、エドガー王子から婚約破棄を言い渡されてしまう。
聖女を好きにったようで、婚約破棄の理由を全て私のせいにしてきた。
聖女と王子が考えた嘘の言い分を家族は信じ、私に勘当を言い渡す。
平民になった私だけど、問題なく他国で新しい生活を送ることができていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる