俺の婚約者は地味で陰気臭い女なはずだが、どうも違うらしい。

マリーナ嬢？

マリーナ嬢の口から血が流れていた。


「あーあ！すごく痛い！やってくれたわね。女の大事な顔を殴るなんてどこまでも最低な男ねあんた！」
マリーナ嬢はルイスを睨みつける。


マリーナ嬢の後ろでアリスが震えているがマリーナ嬢がかばってくれたことに気づいたようだ。


「ま、マリー？」アリスが震えた声でマリーナ嬢を呼ぶ。

「遅くなってごめんねアリス。こんな最低くず男早くどこかにやりましょう。」

「おい！女！お前誰にものを言っているんだ！余は公爵ぞ？お前、あの新聞に載っていた女だな！
たかが侯爵の分際で図が高いわ！お前も消してやる！！」ルイスは目を向いて激怒している。
何をしでかすかわからない。護衛二人もマリーナ嬢に向かっていくよう体制を整えている。

「おい！女の子相手に何するんだ！ふざけるな！」と俺が言っても押さえつけられたままで何の威嚇にもならない。

「あんた、今殴ったのはたかが侯爵令嬢とお思い？」

「そうだ。何を言っているんだ。余は公爵ぞ？お前なんぞどうとでもできるわ。」


「へえ、あのね教えてあげる。私はこの国のお妃になる女よ。この国の第一王子の婚約者。
あんたが殴ったのは将来の王妃よ。何が公爵よ。ばっかじゃないの！」



「え？」
「え？」
「え？」



俺もアリスもルイスも他の生徒たちもマリー嬢が何を言っているか誰も理解できなかった。

未来の王妃が何だって？