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パーティ終了
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パーティーの出番が終了し、俺たち4人は用意された休憩室で休ませてもらっていた。
パーティーは無事終わった。ダンスの時間も設けていたが、治療薬の発表が思った以上に反響があり、その時間は削ることになった。結局批判する貴族たちもおらず、皆素晴らしい薬ができたと感心していた。
物流や管理の下請けの話がしたいと各々の当主に依頼が殺到した。両親たちは今もてんてこ舞いで休憩を取らずずっと商談している。
アメジストの色がどうこうの話ではない。
皆新しい事業に夢中といった具合だ。貴族であっても現金なものだ。王族の神話なんぞ金にかかればこんなものかとため息が出る。
でも、これでアリスがこの国で窮屈さを感じずに過ごせるなら何でもいいか。
さすが、マリーナ嬢だ。ちょっと、いや結構心配だが。
「マリーナ嬢、アリスのためにここまでやってもらい本当に感謝しかないのだが、あなたは大丈夫なのか?王族から狙われたりしないのか?」
「ああ、アレックスあんたもそう思った?そうよね。結構やばいかもね。でもどうかしら。ここで風向きが変わるかもしれないわ。」マリーナ嬢は何か意味深に笑っている。
王族と言えば、通っている学園にこの国の第一王子が最近在籍したと噂を聞いたが、顔を見たことがない。
忙しいのか病弱なのか学業に専念するからと公務をしていないはずなのに学園で見たことがない。
かなり昔に遠巻きにパレードで見たがあまり顔が思い出せない。マリーナ嬢が王族関係者に何かされなければいいが。
「もう、そんな顔しなくていいの。明日から学園でアリスと一緒に居られるんだから嬉しそうな顔しなさい。ねえ、アリス?」
「え?ええ。そうね。アレクと一緒にいられるのは嬉しいわ。さっきはありがとう。」
眼鏡をしていない美しすぎるアリスに照れた顔で礼を言われた。こ、こ、これは破壊力がありすぎる。うまく言葉が出てこない。俺は口をパクパクさせて固まってしまった。
「え?なになに?壇上に上がるとき二人で何か話してたわよね。何だったの?」
「ええ?それはちょっと言えない。アレクと私の秘密。」マリーナ嬢の質問にアリスが照れながら答えを隠した。
「まあ、仲良しね。それは良いことだわ。ね、セリスさん?」
「ああ、こんなに嬉しい時が来るなんて。アリスが頑張った結果だ。アレックス君という素晴らしい青年に出会えたことに感謝している。アレックス君これからもアリスの事よろしく頼むよ。」セリスさんは美しい顔で安心したように笑った。
「も、もちろんです。」ああ、なんて素晴らしい時間なんだろう。
明日学園もあり、セリスさんも早く隣国に帰国しなければいけないのでこの後俺たちはそれぞれすぐ帰宅した。
ああ、アリスと婚約継続…。嬉しすぎる。アリス…。
寝る前にアリスの顔を思い浮かべると眼鏡姿で笑っているアリスが浮かんできた。
ん?眼鏡姿?そうか、今日の美術品のような美しい女性もアリスだった。どの姿もアリスはアリス。俺の大切なアリスがどんな姿でも何でも良い。さあ、いい気持ちで寝よう。
俺は幸せな気持ちで寝入った。
次の日の朝刊はどの新聞社も大きく新薬開発の内容をトップニュースに挙げていた。
自分で言うのも何だがセリスさん、俺、マリーナ嬢そしてアリス、この四人の写真はかなり目を引くだろう。
特にアリスは謎の美女としてゴシップ欄に言いたい放題書かれていた。セリスさんの生き別れの妹とかどこぞの国の皇女とかよくそんな根も葉もない話を思い浮かべられるもんだ。
ある意味その想像力に関心する。まあ、昨日のアリスの美しさは神々しいものがあったから言いたいことは分かるがな。
そういえば、アメジスト色の差別が緩和されたらアリスはあの分厚い眼鏡やだぼだぼの制服はどうするんだろう?
いや、もしかしたら今日から素顔を明かすのか?
いやいやいや、アリスの素顔を見せたら今まで関心を寄せていなかった男どもが群がるのが目に見えている。
ましてや学園の噂では俺がアリスとの婚約解消を進めているといまだに言われている。
1回目の紅茶事件のやり取りを見ていた生徒たちが大勢いたし、あの時アンジェリカがまだ在学していたからすごいスピードで情報が回ったんだろうな。
マリーナ嬢の情報ではモーガン家嫡男婚約解消と国外にも伝わっているらしい。
勘弁してくれ…。ああ、この新聞にはアレックス=モーガン婚約破棄目前に謎の美女と妖艶なやり取りって書いてある。
ただアリスを励ましただけだろ!大好きよって言われたんだぞ、正式な婚約者に言われて何が悪い。
新聞を見てもうんざりすることばかりなので、早めに家を出て学園に向かった。
パーティーは無事終わった。ダンスの時間も設けていたが、治療薬の発表が思った以上に反響があり、その時間は削ることになった。結局批判する貴族たちもおらず、皆素晴らしい薬ができたと感心していた。
物流や管理の下請けの話がしたいと各々の当主に依頼が殺到した。両親たちは今もてんてこ舞いで休憩を取らずずっと商談している。
アメジストの色がどうこうの話ではない。
皆新しい事業に夢中といった具合だ。貴族であっても現金なものだ。王族の神話なんぞ金にかかればこんなものかとため息が出る。
でも、これでアリスがこの国で窮屈さを感じずに過ごせるなら何でもいいか。
さすが、マリーナ嬢だ。ちょっと、いや結構心配だが。
「マリーナ嬢、アリスのためにここまでやってもらい本当に感謝しかないのだが、あなたは大丈夫なのか?王族から狙われたりしないのか?」
「ああ、アレックスあんたもそう思った?そうよね。結構やばいかもね。でもどうかしら。ここで風向きが変わるかもしれないわ。」マリーナ嬢は何か意味深に笑っている。
王族と言えば、通っている学園にこの国の第一王子が最近在籍したと噂を聞いたが、顔を見たことがない。
忙しいのか病弱なのか学業に専念するからと公務をしていないはずなのに学園で見たことがない。
かなり昔に遠巻きにパレードで見たがあまり顔が思い出せない。マリーナ嬢が王族関係者に何かされなければいいが。
「もう、そんな顔しなくていいの。明日から学園でアリスと一緒に居られるんだから嬉しそうな顔しなさい。ねえ、アリス?」
「え?ええ。そうね。アレクと一緒にいられるのは嬉しいわ。さっきはありがとう。」
眼鏡をしていない美しすぎるアリスに照れた顔で礼を言われた。こ、こ、これは破壊力がありすぎる。うまく言葉が出てこない。俺は口をパクパクさせて固まってしまった。
「え?なになに?壇上に上がるとき二人で何か話してたわよね。何だったの?」
「ええ?それはちょっと言えない。アレクと私の秘密。」マリーナ嬢の質問にアリスが照れながら答えを隠した。
「まあ、仲良しね。それは良いことだわ。ね、セリスさん?」
「ああ、こんなに嬉しい時が来るなんて。アリスが頑張った結果だ。アレックス君という素晴らしい青年に出会えたことに感謝している。アレックス君これからもアリスの事よろしく頼むよ。」セリスさんは美しい顔で安心したように笑った。
「も、もちろんです。」ああ、なんて素晴らしい時間なんだろう。
明日学園もあり、セリスさんも早く隣国に帰国しなければいけないのでこの後俺たちはそれぞれすぐ帰宅した。
ああ、アリスと婚約継続…。嬉しすぎる。アリス…。
寝る前にアリスの顔を思い浮かべると眼鏡姿で笑っているアリスが浮かんできた。
ん?眼鏡姿?そうか、今日の美術品のような美しい女性もアリスだった。どの姿もアリスはアリス。俺の大切なアリスがどんな姿でも何でも良い。さあ、いい気持ちで寝よう。
俺は幸せな気持ちで寝入った。
次の日の朝刊はどの新聞社も大きく新薬開発の内容をトップニュースに挙げていた。
自分で言うのも何だがセリスさん、俺、マリーナ嬢そしてアリス、この四人の写真はかなり目を引くだろう。
特にアリスは謎の美女としてゴシップ欄に言いたい放題書かれていた。セリスさんの生き別れの妹とかどこぞの国の皇女とかよくそんな根も葉もない話を思い浮かべられるもんだ。
ある意味その想像力に関心する。まあ、昨日のアリスの美しさは神々しいものがあったから言いたいことは分かるがな。
そういえば、アメジスト色の差別が緩和されたらアリスはあの分厚い眼鏡やだぼだぼの制服はどうするんだろう?
いや、もしかしたら今日から素顔を明かすのか?
いやいやいや、アリスの素顔を見せたら今まで関心を寄せていなかった男どもが群がるのが目に見えている。
ましてや学園の噂では俺がアリスとの婚約解消を進めているといまだに言われている。
1回目の紅茶事件のやり取りを見ていた生徒たちが大勢いたし、あの時アンジェリカがまだ在学していたからすごいスピードで情報が回ったんだろうな。
マリーナ嬢の情報ではモーガン家嫡男婚約解消と国外にも伝わっているらしい。
勘弁してくれ…。ああ、この新聞にはアレックス=モーガン婚約破棄目前に謎の美女と妖艶なやり取りって書いてある。
ただアリスを励ましただけだろ!大好きよって言われたんだぞ、正式な婚約者に言われて何が悪い。
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