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奴隷契約
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お取込み中だけど、割って入っちゃいますよ。
「貴族ならばこの場に提言してもよろしいのでしょうか?」
私はすっと立ち上がる。
「何だお前は?ただの店子がしゃしゃり出るな!」
「お、お前…。何でこんなところに!」
私の登場にディランが驚いている。先に言っておこうか。
「旦那様、ごきげんよう。
このような場所でお会いするなんて偶然ですわ。
先に申し上げますが、私はたまたまスカウトされてこちらにおりますの。
あなたのように気になる異性を見つけるためではございませんからね。」
「…っ。」
まあ、キャバくらい男同士の付き合いで全然行ってもらっても良いけどね。
私がディランの交友関係にとやかく言う権利はないし興味もない。
「では、先ほどの殿方の発言に便乗させていただきますわ。
この美しい小麦色の肌をした女性、私が買わせていただきます。
おいくらでしょうか?」
「お、おい!その、金は…、奴隷を買うほどの…。」
ディランがアタフタしている。
こっちのマックレーン家にお金がないことぐらいわかってるし。
「旦那様、マックレーン家は由緒正しき家系ですわ。
あなた様には一言、奴隷を買う事を許可すると言って頂ければよろしいのです。」
「…。な、な、ど、奴隷を?」
めちゃくちゃビビってるじゃん。
私はディランに近づき耳打ちをする。
「あなたもマックレーン家の正当な当主なら局面を迎える根性がいるのではありませんか?
しっかりおきばりやす!」
さあ、この喝をもってしても怯んでるんなら当主なんてやめておいた方がええわ。
少しの間ためらいは見られたが、ぎゅっと口を食いしばり息を整えた。
「むう…。分かった、
我がマックレーン家に奴隷を迎えることを許可しよう。」
ちょっと男の顔になったやん。
よしよし。
「と言う事で、ご当主様が許可されたのでそちらの女性買わせていただきます。
わたくしの大切な妹に待女として贈ろうと思いますの。
さあ、この場で主人の契約変更をさせていただきますわ。」
「ちょっと待て!
俺がこの女を買うって先に言ったんだ!
どうせ2000万リズ位だろ?
どれだけ高値でも5000万リズってところだ。
今の主人は誰だ?」
「彼女の契約主人は私です。彼女は見た通り美しい。
この店に来てもらい、稼いでから奴隷契約を解除する予定でした。
5000万リズ?
そんな低く見積もらないでください。
ここのナンバーワンは年間1億リズ稼ぐんですよ。
彼女は今健康上に問題があったとしても2億リズは頂かないと割に合いません。」
「な、何だと?女の奴隷に2億リズ?
ふざけるな!」
「分かりました。その価格で私が彼女を買います。」
「何だと?でたらめ言うな!マックレーン家のそんな金もうないだろ!
しかも、お前、前の旦那が死んで死後離婚されてるの知ってるんだぞ!
大した遺産ももらえず、ぼんくら息子にすがるしかない哀れな尻軽女で有名人だ!」
「言いたいことはそれだけ?
あの女性に2億リズ出せるのか出せないのか聞きたいんだけど。」
「ぐぬぬぬ…。2億なんて法外な金お前だってないはずだ。」
「だから、私の事はどうでも良いの。
お金、出すの?出さないの?
それだけ答えてくださらない?」
「っく。…今は…難しい。」
「はい、なら私がこの場で2億出して彼女を買います。
即決です。さあ、契約を始めましょう。」
「う、嘘だ。おい、こんな落ちぶれた女に2億なんて金あるわけないだろう?」
わめいている初老の男性貴族はまだ言いがかりをつけたいようだ。
「完全に見た目で判断されてますわね。
ふふふ…お馬鹿さん。
これでも複数の事業を抱えている実業家なんですの。
2億リズならすぐ出せますわ。
前夫の遺産じゃありませんわ。私の生み出したお金です。
まあ、事業を立ち上げるきっかけはデイビット様の助言ですから、マックレーン家とも関りがありますわね。
ああ、これが契約書?
ここにサインと血判を押すのね。
奴隷を買うなんて初めてだわ。
何事も経験よね旦那様。」
「あ、ああ…。」
ディランは明らかに不気味に笑う私に引いている。
私だって、奴隷を買って魔力で契約するなんて初めてだし、めちゃくちゃ緊張してるんだからね。
そもそも魔力があるかどうかも知らないのに。
まずは、私とオーナーとの契約だ。
3日以内にオーナーに2億リズを所定の口座に振り込まなければ契約違反とみなし、私が奴隷として捉えられる旨が契約書に記された。
明日にでも振り込んでやるわよ。
私は迷わずサインと血判を押す。
その後、彼女の新たな主人としての奴隷契約を結ぶ。
こちらもサインと血判を押すが魔力を契約書に練り込むらしく、私の身体から不思議な光が発現し契約書に吸収されていった。
私の初めて見る魔力は紫と薄紅色の2色が複雑に折り重なった光だった。
彼女の方は主人の変更だけなので血判を押したり魔力を練り込むような工程はないらしい。
私は特に痛みや違和感はなく、あっけなく終わった。
さっきのが魔力だったのかな?何にせよ無事に契約できてよかった。
契約書は奴隷登録を扱う特殊な機関があるらしく、契約をするとすぐ職員がやってきて契約書をその場で登録し保管してくれた。
なんか、いろんな仕事があるんだなあ…と感心してしまった。
「貴族ならばこの場に提言してもよろしいのでしょうか?」
私はすっと立ち上がる。
「何だお前は?ただの店子がしゃしゃり出るな!」
「お、お前…。何でこんなところに!」
私の登場にディランが驚いている。先に言っておこうか。
「旦那様、ごきげんよう。
このような場所でお会いするなんて偶然ですわ。
先に申し上げますが、私はたまたまスカウトされてこちらにおりますの。
あなたのように気になる異性を見つけるためではございませんからね。」
「…っ。」
まあ、キャバくらい男同士の付き合いで全然行ってもらっても良いけどね。
私がディランの交友関係にとやかく言う権利はないし興味もない。
「では、先ほどの殿方の発言に便乗させていただきますわ。
この美しい小麦色の肌をした女性、私が買わせていただきます。
おいくらでしょうか?」
「お、おい!その、金は…、奴隷を買うほどの…。」
ディランがアタフタしている。
こっちのマックレーン家にお金がないことぐらいわかってるし。
「旦那様、マックレーン家は由緒正しき家系ですわ。
あなた様には一言、奴隷を買う事を許可すると言って頂ければよろしいのです。」
「…。な、な、ど、奴隷を?」
めちゃくちゃビビってるじゃん。
私はディランに近づき耳打ちをする。
「あなたもマックレーン家の正当な当主なら局面を迎える根性がいるのではありませんか?
しっかりおきばりやす!」
さあ、この喝をもってしても怯んでるんなら当主なんてやめておいた方がええわ。
少しの間ためらいは見られたが、ぎゅっと口を食いしばり息を整えた。
「むう…。分かった、
我がマックレーン家に奴隷を迎えることを許可しよう。」
ちょっと男の顔になったやん。
よしよし。
「と言う事で、ご当主様が許可されたのでそちらの女性買わせていただきます。
わたくしの大切な妹に待女として贈ろうと思いますの。
さあ、この場で主人の契約変更をさせていただきますわ。」
「ちょっと待て!
俺がこの女を買うって先に言ったんだ!
どうせ2000万リズ位だろ?
どれだけ高値でも5000万リズってところだ。
今の主人は誰だ?」
「彼女の契約主人は私です。彼女は見た通り美しい。
この店に来てもらい、稼いでから奴隷契約を解除する予定でした。
5000万リズ?
そんな低く見積もらないでください。
ここのナンバーワンは年間1億リズ稼ぐんですよ。
彼女は今健康上に問題があったとしても2億リズは頂かないと割に合いません。」
「な、何だと?女の奴隷に2億リズ?
ふざけるな!」
「分かりました。その価格で私が彼女を買います。」
「何だと?でたらめ言うな!マックレーン家のそんな金もうないだろ!
しかも、お前、前の旦那が死んで死後離婚されてるの知ってるんだぞ!
大した遺産ももらえず、ぼんくら息子にすがるしかない哀れな尻軽女で有名人だ!」
「言いたいことはそれだけ?
あの女性に2億リズ出せるのか出せないのか聞きたいんだけど。」
「ぐぬぬぬ…。2億なんて法外な金お前だってないはずだ。」
「だから、私の事はどうでも良いの。
お金、出すの?出さないの?
それだけ答えてくださらない?」
「っく。…今は…難しい。」
「はい、なら私がこの場で2億出して彼女を買います。
即決です。さあ、契約を始めましょう。」
「う、嘘だ。おい、こんな落ちぶれた女に2億なんて金あるわけないだろう?」
わめいている初老の男性貴族はまだ言いがかりをつけたいようだ。
「完全に見た目で判断されてますわね。
ふふふ…お馬鹿さん。
これでも複数の事業を抱えている実業家なんですの。
2億リズならすぐ出せますわ。
前夫の遺産じゃありませんわ。私の生み出したお金です。
まあ、事業を立ち上げるきっかけはデイビット様の助言ですから、マックレーン家とも関りがありますわね。
ああ、これが契約書?
ここにサインと血判を押すのね。
奴隷を買うなんて初めてだわ。
何事も経験よね旦那様。」
「あ、ああ…。」
ディランは明らかに不気味に笑う私に引いている。
私だって、奴隷を買って魔力で契約するなんて初めてだし、めちゃくちゃ緊張してるんだからね。
そもそも魔力があるかどうかも知らないのに。
まずは、私とオーナーとの契約だ。
3日以内にオーナーに2億リズを所定の口座に振り込まなければ契約違反とみなし、私が奴隷として捉えられる旨が契約書に記された。
明日にでも振り込んでやるわよ。
私は迷わずサインと血判を押す。
その後、彼女の新たな主人としての奴隷契約を結ぶ。
こちらもサインと血判を押すが魔力を契約書に練り込むらしく、私の身体から不思議な光が発現し契約書に吸収されていった。
私の初めて見る魔力は紫と薄紅色の2色が複雑に折り重なった光だった。
彼女の方は主人の変更だけなので血判を押したり魔力を練り込むような工程はないらしい。
私は特に痛みや違和感はなく、あっけなく終わった。
さっきのが魔力だったのかな?何にせよ無事に契約できてよかった。
契約書は奴隷登録を扱う特殊な機関があるらしく、契約をするとすぐ職員がやってきて契約書をその場で登録し保管してくれた。
なんか、いろんな仕事があるんだなあ…と感心してしまった。
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