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やっぱり嫌い
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屋敷に着いたけど、誰も出迎えてくれないので屋敷に入らせてもらう。
「お邪魔…します…。」
屋敷の中は静かで寂しい感じだった。
伯爵の屋敷だったらもっと豪華な骨とう品や絵画が飾ってあっても良いはずなんだけど、そんなものは存在しなかった。
あたりをキョロキョロしていると誰かが私に近づいてくる。
メイドさんか執事かな?お茶の一杯でも出してくれるかなと期待していた私の耳にあの厭味ったらしい声が聞こえてきた。
いや、声が悪いわけではない。デイビット様に劣らない良い声なんだけど、あの日からこの声は耳障りになってしまった。
あの思春期男の声だ。
「貴様、本当に来たのか?」
貴様ってひどい言い方だわ。紳士とは正反対な奴だな。
面倒な争いをしたくないので、表面上は穏やかに取り繕う。
「またお会いすることになりました。エレノアです。どうぞ、よろしくお願いいたします。」
きょうもばっちり盛って決めたメイクで挨拶をする。
頑張って笑顔も張り付けておいたぞ。
一応これから1年は一緒に過ごす仲になるんだから。
「父上は死に際に気でも狂ったのだろうか。こんなバカな女を俺の妻にあてがうなんて…。
そこまで憎まれていたとはな。それとも、貴様が耄碌している父上に無理やり遺書でも書かせたか?
貴様、マックレーン家の財を狙っているのではないか?」
はい、こいつやっぱり嫌い。
「…。」
相手があほ過ぎて突っ込む気力も湧かない。
「ふんっ。図星か。まあ勝手にしろ。しかしこの屋敷に男を入れることは絶対あってはならない。」
「ここじゃなければ良いのですか?」別に男連れ込むとかしないけどね。
「勝手にしろと言ったはずだ。貴様と父上のせいでマックレーン家の評判は地に落ちたからな。貴様が外で男とどうなろうと、これ以上下がることはないだろう。」
よく分らない理論だ。
ダイエット中に食べちゃったら一口だろうが三食分だろうが関係なくリミットが外れて食べちゃうと同じ理論か?
あまり深堀しないでおこう。
「そうですか。承知しました。で、私の部屋はどちらに?」
「この屋敷は3棟に分けれている。この扉から向かって正面が『ルーナ』左側が『セレネ』右側が『アルテミス』と名付けられている棟だ。」
「へえ、綺麗な名前ね。」女神の名前ばかりだ。
「正面が本棟である『ルーナ』ここに調理場や入浴場なども設置されている。貴様はその棟だ。
何部屋かあるだろうから好きな部屋を使え。部屋が傷んでいるだとか内装の文句を俺に言うなよ。」
「大丈夫です。家具やリネンなどは好きに購入してもよろしいかしら?」
「勝手にしろ。俺は『アルテミス』にいる。そして『セレネ』にはむやみに入るな。分かったか。」
「承知しました。」
部屋が貰えただけでもありがたい。入れてもらえなければテント暮らしもちょっと考えてたんだよね。
ルキア時代の閉めだしされていたあの日をまた再現するんじゃないかって心配はなくなった。
あとはどうとでもなる。
「ありがとうございます。」ぺこりと頭を下げる。嫌いな相手だけど感謝は伝えないと。
「…、ふんっ。そうやって適当に礼でも言っておけば男は落ちると思っているのだろう?
俺はそんな姑息な手には引っ掛からないからな。」
うん、やっぱり嫌いだわあんたの事。
もう、何か言えば何十倍のストレスを受けることが分かるので黙っておいた。
あ、でも聞いておきたいことがあった。
「あのう、このお屋敷にメイドや執事は何人ほどいるのですか?」
「…。そんな者はいない。期待外れだろうな。この家に嫁いでも貴様ごときに動くメイドなど一人もいない。
自分の事は自分でするんだな。それが嫌ならさっさと出ていけ。俺はそっちのほうが都合がいい。」
スタッフの把握したかっただけなのに何でいちいち私を落とす言い方するかね。
そこまで攻撃してくるってことはこの人よっぽど私が怖いんだろうか?マウントとりすぎやろ。
いちいち相手するのも面倒だ。
「承知しました。」端的にだけ答える。
「ああ、週に1~2回世話係りが来るが、貴様のためのではない。勝手な事をするなよ。」
世話がかかり?誰の?あんたのか?
もう、質問するたびにマウントとられるのも嫌なので何も聞かなかった。
「承知しました。」
「今日だけは大人しいようだな。それもいつまで続くことやら。」
皮肉を言って思春期男はどこかに出かけて行った。
相変わらずコチコチのオールバックで、大きなぽっちゃり体形、悪趣味な服装は変わっていなかった。
いや、デイビット様と会った時よりももっと悪趣味な服を着ていた。
あんな姿で外に出かけるとか冒険者じゃん。
まあ、一回指摘してるからもう何も言わないけどさ。
さて、早速自分の部屋作りでもしようか。
好きにしていいと言われた正面棟の『ルーナ』を探検だ。
「お邪魔…します…。」
屋敷の中は静かで寂しい感じだった。
伯爵の屋敷だったらもっと豪華な骨とう品や絵画が飾ってあっても良いはずなんだけど、そんなものは存在しなかった。
あたりをキョロキョロしていると誰かが私に近づいてくる。
メイドさんか執事かな?お茶の一杯でも出してくれるかなと期待していた私の耳にあの厭味ったらしい声が聞こえてきた。
いや、声が悪いわけではない。デイビット様に劣らない良い声なんだけど、あの日からこの声は耳障りになってしまった。
あの思春期男の声だ。
「貴様、本当に来たのか?」
貴様ってひどい言い方だわ。紳士とは正反対な奴だな。
面倒な争いをしたくないので、表面上は穏やかに取り繕う。
「またお会いすることになりました。エレノアです。どうぞ、よろしくお願いいたします。」
きょうもばっちり盛って決めたメイクで挨拶をする。
頑張って笑顔も張り付けておいたぞ。
一応これから1年は一緒に過ごす仲になるんだから。
「父上は死に際に気でも狂ったのだろうか。こんなバカな女を俺の妻にあてがうなんて…。
そこまで憎まれていたとはな。それとも、貴様が耄碌している父上に無理やり遺書でも書かせたか?
貴様、マックレーン家の財を狙っているのではないか?」
はい、こいつやっぱり嫌い。
「…。」
相手があほ過ぎて突っ込む気力も湧かない。
「ふんっ。図星か。まあ勝手にしろ。しかしこの屋敷に男を入れることは絶対あってはならない。」
「ここじゃなければ良いのですか?」別に男連れ込むとかしないけどね。
「勝手にしろと言ったはずだ。貴様と父上のせいでマックレーン家の評判は地に落ちたからな。貴様が外で男とどうなろうと、これ以上下がることはないだろう。」
よく分らない理論だ。
ダイエット中に食べちゃったら一口だろうが三食分だろうが関係なくリミットが外れて食べちゃうと同じ理論か?
あまり深堀しないでおこう。
「そうですか。承知しました。で、私の部屋はどちらに?」
「この屋敷は3棟に分けれている。この扉から向かって正面が『ルーナ』左側が『セレネ』右側が『アルテミス』と名付けられている棟だ。」
「へえ、綺麗な名前ね。」女神の名前ばかりだ。
「正面が本棟である『ルーナ』ここに調理場や入浴場なども設置されている。貴様はその棟だ。
何部屋かあるだろうから好きな部屋を使え。部屋が傷んでいるだとか内装の文句を俺に言うなよ。」
「大丈夫です。家具やリネンなどは好きに購入してもよろしいかしら?」
「勝手にしろ。俺は『アルテミス』にいる。そして『セレネ』にはむやみに入るな。分かったか。」
「承知しました。」
部屋が貰えただけでもありがたい。入れてもらえなければテント暮らしもちょっと考えてたんだよね。
ルキア時代の閉めだしされていたあの日をまた再現するんじゃないかって心配はなくなった。
あとはどうとでもなる。
「ありがとうございます。」ぺこりと頭を下げる。嫌いな相手だけど感謝は伝えないと。
「…、ふんっ。そうやって適当に礼でも言っておけば男は落ちると思っているのだろう?
俺はそんな姑息な手には引っ掛からないからな。」
うん、やっぱり嫌いだわあんたの事。
もう、何か言えば何十倍のストレスを受けることが分かるので黙っておいた。
あ、でも聞いておきたいことがあった。
「あのう、このお屋敷にメイドや執事は何人ほどいるのですか?」
「…。そんな者はいない。期待外れだろうな。この家に嫁いでも貴様ごときに動くメイドなど一人もいない。
自分の事は自分でするんだな。それが嫌ならさっさと出ていけ。俺はそっちのほうが都合がいい。」
スタッフの把握したかっただけなのに何でいちいち私を落とす言い方するかね。
そこまで攻撃してくるってことはこの人よっぽど私が怖いんだろうか?マウントとりすぎやろ。
いちいち相手するのも面倒だ。
「承知しました。」端的にだけ答える。
「ああ、週に1~2回世話係りが来るが、貴様のためのではない。勝手な事をするなよ。」
世話がかかり?誰の?あんたのか?
もう、質問するたびにマウントとられるのも嫌なので何も聞かなかった。
「承知しました。」
「今日だけは大人しいようだな。それもいつまで続くことやら。」
皮肉を言って思春期男はどこかに出かけて行った。
相変わらずコチコチのオールバックで、大きなぽっちゃり体形、悪趣味な服装は変わっていなかった。
いや、デイビット様と会った時よりももっと悪趣味な服を着ていた。
あんな姿で外に出かけるとか冒険者じゃん。
まあ、一回指摘してるからもう何も言わないけどさ。
さて、早速自分の部屋作りでもしようか。
好きにしていいと言われた正面棟の『ルーナ』を探検だ。
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