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石橋君
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俺は草野優成(くさのゆうせい)28歳独身の男だ。
実家は地元では名の知れた裕福な家庭で育った。
親の言われるがままに勉強に取り組み、成績はいつも上位をキープした。
美人と言われる母と男前と言われる父の遺伝子を継いでビジュアルも上位に評価してもらえる外見だ。
そんな俺の初恋は男の子だった。
井出島涼君と言うものすごくかっこいい男の子が近所に住んでいて、その子にいじめられっ子から助けてもらったのが縁で野良猫を一緒に世話をした思い出がある。
しばらくしてから引っ越したようで、その時の猫も居なくなったからきっと涼君に可愛がってもらったんだろう。
涼君は俺の中でずっとヒーローだった。
喧嘩が強くて、かっこよくて、すごく優しい子だった。
いつか彼に会った時堂々と友達として横に並べるようにと勉強もがむしゃらに頑張った。きっと会える日を信じて。
順調に成長した俺は坊ちゃんが多いと言われるK大学に入学した。
坊ちゃんだからエスカレーター式でお気楽に入学したんだろうと思われていたが、それは違う。
成績は外部からの生徒と負けず劣らずの上位をキープしていた。
学部は経済学部。いわゆる文系だ。
周りは内部、外部からの入学者問わずほとんどが裕福な家柄の子が多かった。
勉強はもちろん、遊びも抜かりないキャンパスライフだった。
どれだけ遊んでも少し寝れば体力は回復したし、この大学のブランドとビジュアルをもってすれば短期間にお金を稼ぐのはたやすかった。
ただ、性の対象は男。
あと腐れのなさそうな奴と適当に夜を共にして性欲を処理するのが習慣となっていた。
カミングアウトはしていないし不便さも感じなかったのでそれなりに楽しい生活だった。
順調に学年は上がり、就職活動もいよいよ本腰を入れる時期となった時、俺は出会ってしまった。
かつての初恋の人、涼君と。
あの日珍しく学生食堂で友達と昼食をとっていたら明らかに異様な集団が目に入った。
どこから見ても全員ザ・オタクって感じの冴えない男連中。
留学生もいるけどそいつらも洋風オタクな感じで集団でいると別世界が形成されたかのような禍々しい雰囲気だった。
「なあ、あの眼鏡の集団なに?」
「あれ?優成知らないの?K大名物のキャンパスゾンビ集団だよ。ほら、みんな生きる気力を感じないだろ?あいつらゴリゴリの理系でえぐい教授に毎日しごかれてるらしいぜ。おちおち日本語も使えない環境でずっと研究とレポート作成してるから別名芋虫って言われてるんだ。」
「芋虫?」
「家に帰る時間も惜しんでレポートを仕上げているから寝袋が住みかって噂。だから芋虫。まあ、エリートなのは間違いなんだけどちょっと引くよな。」
「ふ~ん。」確かに異様だ
。あ、でもあの中でもマシな男子いるじゃん。
分厚い眼鏡をかけ髪の毛はぼさぼさで着てる服もダサすぎるけどよく見ればスタイルよさそう…。何か見たことあるような?
「石橋君、食堂ってごちゃごちゃしてて並ばないといけないから面倒な場所だね。」
「石橋君、昨日のメカ特集テレビで放送してたけど、僕見れなかったからお母さんに録画してもらってるんだ。石橋君もDVDにして焼こうか?」
「石橋君、今日のレポートありがとう。すごく助かったよ。」
異様な集団は『石橋君』とやらが人気らしい。
まあ、あの中ではマシなビジュアルだもんな。
その『石橋君』は穏やかな口調で返事をしている。
へえ、異様な集団だけどあんなタイプもいるんだ。
そんなきっかけで俺は『石橋君』に関心を持っていた。
けど、学部は違うし大学内で男をナンパすることは絶対にしないマイルールがあったから、時々食堂で見かけたら目で追う程度だった。
それに『石橋君』はいつもオタク集団の中心にいたから安易に近づくことが出来なかった。
実家は地元では名の知れた裕福な家庭で育った。
親の言われるがままに勉強に取り組み、成績はいつも上位をキープした。
美人と言われる母と男前と言われる父の遺伝子を継いでビジュアルも上位に評価してもらえる外見だ。
そんな俺の初恋は男の子だった。
井出島涼君と言うものすごくかっこいい男の子が近所に住んでいて、その子にいじめられっ子から助けてもらったのが縁で野良猫を一緒に世話をした思い出がある。
しばらくしてから引っ越したようで、その時の猫も居なくなったからきっと涼君に可愛がってもらったんだろう。
涼君は俺の中でずっとヒーローだった。
喧嘩が強くて、かっこよくて、すごく優しい子だった。
いつか彼に会った時堂々と友達として横に並べるようにと勉強もがむしゃらに頑張った。きっと会える日を信じて。
順調に成長した俺は坊ちゃんが多いと言われるK大学に入学した。
坊ちゃんだからエスカレーター式でお気楽に入学したんだろうと思われていたが、それは違う。
成績は外部からの生徒と負けず劣らずの上位をキープしていた。
学部は経済学部。いわゆる文系だ。
周りは内部、外部からの入学者問わずほとんどが裕福な家柄の子が多かった。
勉強はもちろん、遊びも抜かりないキャンパスライフだった。
どれだけ遊んでも少し寝れば体力は回復したし、この大学のブランドとビジュアルをもってすれば短期間にお金を稼ぐのはたやすかった。
ただ、性の対象は男。
あと腐れのなさそうな奴と適当に夜を共にして性欲を処理するのが習慣となっていた。
カミングアウトはしていないし不便さも感じなかったのでそれなりに楽しい生活だった。
順調に学年は上がり、就職活動もいよいよ本腰を入れる時期となった時、俺は出会ってしまった。
かつての初恋の人、涼君と。
あの日珍しく学生食堂で友達と昼食をとっていたら明らかに異様な集団が目に入った。
どこから見ても全員ザ・オタクって感じの冴えない男連中。
留学生もいるけどそいつらも洋風オタクな感じで集団でいると別世界が形成されたかのような禍々しい雰囲気だった。
「なあ、あの眼鏡の集団なに?」
「あれ?優成知らないの?K大名物のキャンパスゾンビ集団だよ。ほら、みんな生きる気力を感じないだろ?あいつらゴリゴリの理系でえぐい教授に毎日しごかれてるらしいぜ。おちおち日本語も使えない環境でずっと研究とレポート作成してるから別名芋虫って言われてるんだ。」
「芋虫?」
「家に帰る時間も惜しんでレポートを仕上げているから寝袋が住みかって噂。だから芋虫。まあ、エリートなのは間違いなんだけどちょっと引くよな。」
「ふ~ん。」確かに異様だ
。あ、でもあの中でもマシな男子いるじゃん。
分厚い眼鏡をかけ髪の毛はぼさぼさで着てる服もダサすぎるけどよく見ればスタイルよさそう…。何か見たことあるような?
「石橋君、食堂ってごちゃごちゃしてて並ばないといけないから面倒な場所だね。」
「石橋君、昨日のメカ特集テレビで放送してたけど、僕見れなかったからお母さんに録画してもらってるんだ。石橋君もDVDにして焼こうか?」
「石橋君、今日のレポートありがとう。すごく助かったよ。」
異様な集団は『石橋君』とやらが人気らしい。
まあ、あの中ではマシなビジュアルだもんな。
その『石橋君』は穏やかな口調で返事をしている。
へえ、異様な集団だけどあんなタイプもいるんだ。
そんなきっかけで俺は『石橋君』に関心を持っていた。
けど、学部は違うし大学内で男をナンパすることは絶対にしないマイルールがあったから、時々食堂で見かけたら目で追う程度だった。
それに『石橋君』はいつもオタク集団の中心にいたから安易に近づくことが出来なかった。
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